番外編13.5話 吸血姫による吸血鬼の為の吸血レポート
あたしが力を取り戻してから1ヶ月後、時刻は深夜3時、極秘任務を遂行する──
「ヒヒ、よ~く寝てるネ……」
あたしはルーク。
巷では伝説の吸血姫と呼ばれている。
あたしが今から何をしようとしているのか。
寮の自室にあるベッドの上ですやすや眠っている、あたしの契約者──ユウの血をチューチューしちゃおうと思います!
本来あたしが吸血鬼なんだから、血を吸うのはあたしのジョブだもん!
だから、血を吸われるあたしを楽しみにしてる人はごめんネ?
「さてさて、まずは──ディープスリープ」
間違ってもユウが起きないように更に眠りの世界へ落ちてもらう。
ユウの上の服を脱がして……と。
「やだ……ユウってば結構いいカラダ……」
っと、見惚れてる場合じゃなかった。
あたしはユウを仰向けにし、馬乗りの状態になる。
「1ヶ月も一緒に寝てるのに全然手を出して来ないユウが悪いんだからネ……」
あたしはゆっくりとユウの体に自分の体を重ね、まずは凛々しい唇を奪う。
「ん……」
キスするだけであたしの胸は破裂しそうなくらい脈打っている……
残念ながら舌を入れることは出来なかったけど、まぁいいか……
キスの余韻を残しつつ、ゆっくりと愛しい彼の首筋に舌を這わせる。
あたしの好みの首筋の場所は肩と首の丁度境目、相手の肩に頭を預けて血を吸うのが好きなの。
「……ユウ、我慢してネ……」
あたしは犬歯を剥き出しにして絶好のポイントにゆっくりと、沈めていく──
──ピクッ
「!!」
び、びっくりした。
やっぱりちょっと痛かったのかな。
ユウの首筋から、うっすらと血が出た所で体が少し反応してしまったので、さっさと血を戴いてしまうことにした。
しかし、
「え?ユウ……!?」
ユウが寝返りを打ってあたしに覆い被さってきた。
これはまずい。
何がまずいって彼の口元にあたしの首筋があることだ。
「え、待って嘘でしょ、ユ……!」
あろうことか、彼はそのままあたしの首筋に牙を突き立てて来た。
「あ……!い、いた……い!」
吸血鬼の本能だろうか。
眠っているのにも関わらずあたしの首筋の敏感な所を、遠慮無しに掻き乱す。
「……吸う……なっ、バカ……」
ユウは流れ出た鮮血を1滴足りとも溢すこと無く、その喉に染み込ませている。
本当に眠っているのか──
そう考える間も無く、今度はあたしの服の中をまさぐり出した。
「ふぇ……!?」
あたしの下着の上からあまり自慢できる程ではない胸を優しく、左手で包み込んでいる。
依然として、血を吸われながらそんな所まで弄りだすユウに、抵抗なんて──出来る筈が無かった。
「仕方ない英雄なんだから……」
あたしはユウの体に手を回し優しく抱き留める。
左手が胸から離れ、あばら、おへそ、そして──
「っ!──ん……ッハア……!」
今、あたしもユウの血を飲んだらきっとあたしはもう止まれ無くなる。
ただそれだけは理解できた。
だから──
「……名残惜しいけど、ここまでダヨ……」
初めてはちゃんとユウと見つめあってしたい。
ユウの体から離れ、彼の首筋から僅かに流れ出ている血に気付いた。
「ま、まぁ……ちょっとだけなら……」
ペロっと一嘗め。
──遠い記憶、懐かしい初恋と同じ味がした。




