~謁見の間①~
グレイから、主要な者達を集めたと執務室で話し込んでいた俺たちに連絡が入り謁見の間へと移動をした。
謁見の間に入るとマツバの名付け大会に参加していた幹部、ブライ、オーガスト、ヒルデ、ルゥ、シェリー、ネロ、ミリアリア、ゼネガー、ラゴール、ラベンダー、ガーネット、小犬族のコスケとヤスケ、森の民族ハルラス=アディスン、ファウンロド=アディスン、小鬼族ゾル=ホーンとプリズナー、蜘蛛人族アルラ=アリアドネ、イリア=イエンザ、猿人族 ダグラス=リングアンドア、ヂヂ=アームライト、鍛冶士組合会長ドルフ=ベインの他に、外交交易大臣のマウワー公、財政運用大臣のシンドルフ公、総務政策大臣のウィンストン公、それに各部族から10名ほどが召集されていた。
アルディ=オズワルド王と共にミーアに来ていた守護騎士のライルとエルザもその場に参列していたが、玉座にアルを案内し、王が鎮座すると誰かに言われずとも直ぐ様、玉座の両側に移動し就いていた。
玉座の前には三段の小段が設けてあり、アルが玉座に座した後、その二段目に俺が立ち一段目の左側にグレイとマツバが右側に6人の魔王が並びたった。
召集された者たちは少しザワついていた。
右側に立つ見知らない6人を、集められたミーアの者たちは不思議そうに見てはいたが、新たに街に呼んだ者だろうとあまり気にはしていなかった。
「グレイ、始めてくれ。」
「はっ。」
グレイが召集した者達に向けて、声を出した。それは、後列まで聞こえるような大きな声だった。
「これより、ジル=ヴァンクリフ辺境伯様からの御言葉がある。静に聴くように。また、本国よりアルディ=オズワルド国王様がお越しである。粗相が無いよう心掛けるよう。良いな!!」
「「「「「 はっ!!! 」」」」」
グレイの一言により、ザワついた謁見の間は一瞬で静かになった。それを見計らい、俺は皆に向けて言葉を発した。
「各自仕事で忙しいとこ悪いな。今回の急な召集に驚いた者もいるだろうが、皆に伝えておかなくてはならない事由ができた。実はな………俺、魔王になっちゃった。」
「「「「「 …………………………………………………………………!!!! 」」」」
謁見の間が静寂に包まれたと思ったが、次の途端………。
「「「「 ……はぁーーーーーーーーーーー???!!! 」」」」
地響きにも似た盛大な、「はぁ?!」が俺に襲ってきた。
(グレイが静かにしたってのに一瞬で騒々しくなっちまった………。)
一番でかい「はぁ?!」を出したのはもちろんブライだったが、それよりも、俺を見るブライの目が怒りを露にし、額には血管が浮かび頭と口から煙まで出ている様に見えた。
(こ 怖ぇーーー………!!!)
ブライに目を合わせないように、皆に周知してもらう為、執務室で起きたことを一から説明した。もちろん俺やアルが転生している事は黙っておく事にする。
~ 一時間後 ~
説明が、思ったより長引いた。その主な原因は、ブライから俺への公開説教が終わらなかったからだ。
(トホホ……誰も、ブライを止めてくれないなんて薄情な奴等だ……。)
気を取り直し、これからが本題だ。『七贖』『迷い人』『咎人』の事は、皆に周知できただろう。今後、これらがこの世界に大きく干渉するのは明白である。
説明を聞いていた、ダグラスとヒルデが、俺に問いかけてきた。
「御館様、その『異世界人』とやらは、確かに存在するので??言葉を疑う訳じゃありませんが、今まで見たことも聞いたことも無かったものですから……。」
(いつから、ダグラスは俺の事『御館様』って呼んでんだ??まぁいいけど。)
「私もそう思います。異世界から来たのならば、戦う戦わないは別にしても、まずは人のいる場所を目指し助けを求めると思います。そのような者に会ったことなんてありませんよ。」
ダグラスとヒルデが言うことも一理ある。
見知らぬ世界に飛ばされた人間がまず始めることといえば、助けを求めることだろう。
「二人が言うことも、もっともだ。生き延びる為には、そう行動するだろうな。しかし、その行動をするのは『迷い人』だけだと思う。だが、『咎人』はそんな事はしないだろう。」
「何故ですか??」
「それは、『咎人』には、力と悪知恵があるからだ。」
「力と悪知恵……ですか??」
「そうだ。力がある者ならば、わざわざ助けを求めはしないだろ?悪知恵があれば、世界を逆手にとり上手く立ち回れる事だって可能だ。」
「それならば、余計に街を目指すのが定石でしょう?」
「そうだろうな。だがな………。」
俺は神妙な面持ちでその答えを言った。




