66、襲われた理由
66話です
俺がゆっくりとカグヤに骨を鳴らしながら近づいて、脅しをかけたらそのまま後ろに倒れてしまった。
・・・少しだけ脅したつもりだったんだけどな。
それにカグヤの後ろ、お焚き上げしてるしめっちゃ狐集まってるしどういう状況なんだ。
「姉様と村のみんなを殺すのは止めてくれ!!」
いきなり横から白い狩衣を着た小さな白髪の10歳くらいの男の子が泣きながら俺の目の前に立ちはだかった。
もちろんだがこいつにも耳としっぽはついている。
それに怖いせいか小さく震えている。
だっ、誰だこの子でもこの声聞いた覚えがあるんだよな。
それに姉様ってことはカグヤの弟?
「お前は誰だ?」
「ぼっ、僕はククモだ!」
「え?お前人形になれたん?それに姉様?」
「え?怒ってんじゃないのか?」
お互いに驚きながら見つめあった。
いや、怒ってるか怒ってないかで言われたら攻撃されたわけだから怒ってはいるけど。
まぁ、今までの戦闘の中ではそこまできつくもなかったからな。
プチおこって感じか?
そんな事よりククモが人形になった驚きの方が怒りに勝っただけだしな。
「いや、別に殺すつもりはねーよ少しだけ脅しただけだ。
それよりククモ何でもいいから水を酌んで持ってきてくれ。」
「み、水か?わかった待っていてくれ。」
ククモが何処かに走っていった。
すると姉ちゃんとネリーがこっちに向かって歩いてくる。
「やっぱりミツキさんは大丈夫でしたね。」
「二人とも無事だねお姉ちゃん心配だったんだよ。」
「僕は無事だったけどみんなはどうやってあれを突破したの?」
取り敢えず気になったので聞いてみることにした。
「私はもちろん偽物ごと切り飛ばしてから普通に出てきたけど。」
姉ちゃんはそんな事だとは思ったけど。
「私は魔法の打ち合いをしてましたね。
最後に決めようと強めに放った魔法でいきなり空間が壊れたのですが。」
まさかあの空間でフレアなんて放ってないよね。
俺もあんな感じの派手な魔法を作った方がいいかな?
何か拳だけで戦うってのも考えようだよな。
もし物理効きませんって敵にあったら俺は詰むよな。
「ミツキさんはどうやったのですか?」
「僕?偽物ごと空間を殴ったよ。」
「あの魔法を拳でぶち破るなんてどんなふうに殴ったんですか!」
「どんなって、体に練り上げた魔力を拳にまわしてから思いっきり殴り付けただけだけど。」
「魔力ってそんな使い方でしたか?」
ネリーが驚いていた。
いや、別に魔法とか使いたいけど、フェンリルが物理攻撃主体だったからどちらかと言うと魔法はからっきしなんだよな。
「それでいっくんこの後どうするつもりなの?」
「取り敢えず今そこに伸びてるカグヤを起こしてから事情を聞こうかと思うんだけど。」
「水持ってきたぞ!」
ククモが桶を一生懸命運んでいた。
少しこぼしそうで不安があったがどうにか俺の前まで持ってきてくれた。
「ありがとうククモ。」
「いったい何するつもりなんだよ?」
「見とけば分かるさ。」
俺はククモから桶を貰って真っ直ぐにカグヤのところに歩いていく。
俺はそのまま桶の水をカグヤの顔面にぶちまけた。
『バシャッー』と豪快な音を鳴らしながら水がカグヤの顔と体を濡らした。
その様子を見ていた狐達が息を飲みながら眺めている。
「何事じゃ!」
カグヤがいきなり起き上がって叫び出した。
そして俺と目を合わせた瞬間に顔がひきつっていた。
すぐさま目をそらしてうつむいた。
「おいカグヤ殺したりしねーから何でこんなことをしたのか話せよ。」
うつむいた状態のカグヤに語りかける。
「・・・仕方がなかろうが!
我らの種族は普通の魔法は使えんのじゃ。
相手を騙し、欺く幻術しか使うことが出来ないのじゃ。
もしここが人間どもにばれたら狩られてしまうのじゃ!
我らの種族の毛皮は綺麗な毛で高く取引されておるのでな!
それでこの山に人間どもが入ってこぬようにお前たちを見せしめにしてやろうとしただけじゃ!
我は村を守るためにしたまでじゃ!
殺すなら我だけ殺すがよい村人に手出しはするでない!」
カグヤがやれとばかりに両手を広げて目を瞑り俺にゆだねる。
だから俺達を歓迎しなかった訳か。
「カグヤ様!貴方に死なれたら私達はどうしたらよいのですか!」
「お願いします。カグヤ様を殺さんでほしい。」
「それなら俺を殺せ。」
周りの狐達が叫び出した。
何で殺さない言ってんのに俺がカグヤを殺す前提で話が進んでんだよ。
「だから!、こ・ろ・さ・な・い・って言ってんだろうが!うるせーから黙れ!!!!」
「ヒイッ!」
俺が思いっきり叫んだ。
洞窟のせいか俺の声がよく響き渡った。
俺の声にびびってカグヤは耳を押さえてしゃがみ出した。
他の狐達も耳を押さえて伏せの状態になっている。
後ろを見たらネリーと姉ちゃんは笑顔で見守っていた。
「カグヤが俺達を狙った理由はわかった。正直襲われないように助けてやりたいが僕には特に出来ることは無い。ギルドには狩らないように一声言っておくがあまり期待しないでほしい。」
「そうでもありませんよミツキさん。」
いつの間にかネリーが俺の後ろに近づいていた。
姉ちゃんは暇だったのか子狐を捕まえて抱きしめていた。
その姉ちゃんの周りに親狐だろうか?おろおろと姉ちゃんの周りをうろうろしている。
子狐は嬉しそうに姉ちゃんにすりついているが。
「え?何で。」
「ひとつありますよ!」
「どんな方法が?」
「魔神の保護を受ければいいのですよ!」
「え?それって俺がこの狐族を守るのか?」
「そうですよ!この山ヒイラギ山をミツキさんの物にしてしまえばいいのですよ!」
そんな事して許されるわけ無いだろ。
魔王と何だ変わりが無いような気がするのは俺だけなのだろうか。
「本当かの!それなら我は氷の魔神殿の配下に加わるのもやぶさかではないぞ。
この山を人が入らぬようにしてくれるのであれば我は何でも魔神殿の言うことを聞くぞ!」
俺はまだ何にもいっていないのだが。
カグヤが期待と羨望の眼差しを向け始めている。
何て現金な奴なんだこんな奴がよく裏切るようなタイプだよな。
「じゃぁ、もしだ、もしやるとしてもどうするんだ?」
「簡単ですよこの地方の王様にヒイラギ山は僕のものだから触んなよって言ちゃえば大丈夫ですよ。
ミツキさんは魔神なのですからわがままの1つや2つくらいは押し通せますよ。」
ネリーが屈託の無い笑顔でとんでもないことを提案し始めた。
「却下で!!!」
「そんな!我ら一族を見捨てると言うのか!」
「そんな暴君のようなことが僕に出来るか!
魔王を討伐する前に僕が冒険者達に襲われるわ!」
「何を言っておるのじゃ?氷の魔神は昔から暴君とよく言われていると耳にするがの。」
「うるせー!今の僕はフェンリルみたいなアホなことはしないんだよ!」
「???。」
カグヤが何を言っているのか訳がわからないと言ったような顔で俺を見ている。
「この件もどうにかしないといけないけど僕達はドラゴンをさがしに来たんだよ!
カグヤお前はドラゴンの居場所を知らないのか!」
「知っておるぞ、奴らは今はこの山につがいでいるようじゃ。
でも何故レッドドラゴンがこの地方におるのか訳がわからないのじゃ。」
「え?どうしてだ。」
「普通このような穏やかな気候の地域に現れるとしたらグリーンドラゴン辺りのはずなのじゃが。
レッドドラゴンはどちらかと言うとヴォルケーノ地方の山なんかに居るはずなのじゃ。」
「へーそうなんだ。」
「まぁ、幻術をこの近くは張り巡らせておるからの、人間どもと違って単純だからこの村にたどり着くことは出来ぬがの。」
カグヤが黒い笑みを浮かべながら笑っている。
こいつ腹黒そうだな。
「取り敢えずそのドラゴンを倒しに行くから案内してくれよ。」
「この山を荒らされてはおるしのおちおち外も出れないのは確かじゃの。
案内は誰がよかろうかの?」
「俺に行かせてくれ!」
いきなり俺の背後から声がかかつた。
声のした方に振り替えるとククモが挙手をしていた。
「駄目じゃ!」
「何でですか!姉様!」
「人前ではカグヤ様と言えと言っておろうが!!」
「ご、ごめんなさい、カグヤ様!
でも何故駄目なのですか!」
「ククモお前に行ったところで自分の身も守れないような半端者が案内してどうなるのじゃ!
ドラゴンの恐ろしさは知っておるはずじゃ!」
「それでも今回は俺のせいで村やみんなに迷惑をかけたんです。
何かしら罪滅ぼしをさせてもらえ無いでしょうか!」
ククモが真剣な表情でカグヤを見つめていた。
その言葉を聞いてカグヤが目を瞑りながら腕を組んで考えている。
「・・・わかったのじゃ。
ククモお主に任せよう!」
「ありがとうございます!」
ククモが頭を勢いよく下げてお礼を言った。
「魔神殿案内の間どうかククモを守っていただけないかの。」
「別にそれくらいなら構わないけど。」
「感謝するのじゃ。」
「それじゃぁ取り敢えず、ドラゴンを倒せそうなら倒してくるから。
ネリー行こっか!」
「わかりましたミツキさん。」
「ククモも案内頼んだよ。」
「任せてくれよ、この山ならほとんど走り尽くしてるから何処でも行けるぞ。」
「姉ちゃんそろそろ出発するからいい加減その子狐をもふるの止めてこっちに来てよ。」
「えーー!もう行くのいっくん、もう少し堪能したかったのに。」
姉ちゃんがしぶしぶ子狐を胸から下ろした。
周りをうろうろしていた親狐がほっとした表情をしてた。
すいませんねうちの姉がお宅の子をなで回しちゃって。
俺は心のなかで一応謝っておいた。
そんなこんなで俺達4人は村の出口の方に歩きドラゴンを探しに向かった。
最近寒すぎて眠れない。




