1、魔神なんていかがですか?
実際転成したらまず大抵の人は魔物にあったら逃げんじゃねー?どうなのそこんとこ?
俺の名前は鏡 一樹(かがみ、いつき)17歳だ。
普通で平凡な高校2年だ、いきなりだか俺は正直人が嫌いだ。
別に俺も最初っから嫌いだった訳じゃない。
もしそうだったらよほど暗い人間だろう。
俺は中学2年生の時に軽い虐めにあっていた、体が細くて小さく、不細工だった俺は標的としてはちょうど良かったのであろう。
昼休みになればプロレス技をかけてきたり、座っていたらいきなり殴られたり、女子生徒からは影口を言われたりとまあ、上げたらきりがないが。
いじめている側にはそんな事もわからないだろうが。
1番辛かったのは、仲の良かった人達が俺から去っていった事だ。
正直言いたかった、俺がなにかしたかよと。
そんな事もあれば人間不振にもなってしまうだろう。
だから高校に入ってからは、人と距離を取るようになった。
人の表情をよみ、どこまで踏み込むか考えて、優しい奴を演じていた。
だから周りからは、優しくていい奴と言われるようになった。
当たり前だ、そう言われるように演じているのだから。
だから友達がいないわけじゃない、そこにいればしゃべってもらえるくらいの薄く浅い友達が出来る。
今も、うわべだけの友達と飯を食べてたわいも無い会話をしていた。
そして昼休みが終わって授業が始まっていつものように放課後を向かえる。
俺は弓道部に入っていた、幽霊部員だがな。
部活も終わって夜になって駅のホームに向かった。
夜のホームは人もそれなりにいる。
同じ学校のふざけあっている男子グループ、おしゃべりな女子グループ、会社帰りのおっさんから電話をしているOLまで。
俺はそんななか一人で椅子に座って、スマホのアプリゲームでMMOのオンラインゲームをしていた。
ちょうど欲しい装備をドロップさせるために何度も何度もボスに挑んでいたが落ちない。
「ドロップ率どうなってんだよ!」と小さくぼやきながらやっていた。
すると向こうから電車のくる音が響いてきた、俺はゲームをやめてホームの端のほうに立った。
「ハー、つまんね」とぼやきながら電車を待っていたら、ふざけあっていた学生の男子グループの1人が突き飛ばされて、おっさんとぶつかりよろけたおったさんの肩が俺の背中に当たった。
俺の時間がゆっくりになった。
体が線路へと投げ出される。
え?それくらいしか頭から出ずに、俺は訳がわからなかった。
ゆっくり迫ってくる電車をただ呆然と眺め、鈍い音が響きわたると同時に俺の意識が無くなった。
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「あれ、ここはどこだ?」
真っ白な世界のなかにうつ伏せの状態で寝転んでいた。
見渡す限り白、壁と天井すらわからない謎の空間にいた。
色のついていない真っ白なキャンバスノートに乗せられているような気分だった。
俺は起き上がって取り敢えず考えた。
確か俺は電車に引かれたはずだよな、おっさんに背中を押されたはず・・・。
と言うことは死んだと考えていいんだよな?
だとしたら案外あっけない死に方したな、しかもかなり迷惑な。
いじめられてた俺にはぴったりってか。
思わず卑屈な言葉が生まれてしまう。
もう何を言っても仕方ないか、いいやどうせ学校も楽しくはなかったし、うわべだけで生きるのも疲れたし。
あ、でも俺が費やしたゲームデータは消えんのかそこは許しがたいな。
「で、俺はここでいったい何をすればいいんだ。」
「目が覚めましたか、一樹さん。」
後ろから女性の声が聞こえた。
俺は後ろを振り替えって顔を見ると微笑みながらこっちを見ている。
いかにも女神ですよって感じのキトンを着た、長くウェーブのかかった赤髪の女性が立っていた。
かなり若い人でとても美しい女性だった。
見ていて安心するそんな気配を纏っている。
「どちら様ですか?」
「えーと、私はマリアと申します、一応神様をやっていますよ。
一樹さんは、死んでしまったことに関しては理解をしているみたいですね、なら話が早いですね。」
マリアさんか、自己紹介からいきなり言わせてもらいたいのだが・・・何で一応神様やってますって言った。
一応って要らないだろ。
てか、さっさと天国行くなら連れてけや。
「一樹さんいきなりですけど、あなたは魔神になってみたくないですか?」
「はい?」
「魔神です、ちょーど氷の魔神が亡くなってしまって枠が空いているんですよ。」
何だよ氷の魔神て、いきなり言われても訳がわからねーよ。
氷の魔神が死んでしまったから代わりやりませんかって、バカだろ。
物凄く殴ってやりたいわこの人。
「そんな物騒なこと考えないで下さいよ、恐いじゃないですか。」
心のなか読まれてる!!!俺は思わずドキッとしてしまった。
「しゃべらなくもわかりますから、気にしなくていいですよ。」
まぁ、神だからそれくらい出来ても不思議じゃねーか。
ほんとかどうかは知らんけど。
それにしても神ね、胡散臭いなこの人としゃべっているとどうしても。
「それで、魔神ってのは一人だけなのか?」
「いいえ、全部で6柱の魔神がいますよ。
火の魔神のフェニックス。
風の魔神のジン。
水の魔神のクラーケン。
土の魔神のベヒモス。
氷の魔神のフェンリル。
雷の魔神のキリン。
ですが今フェンリルが殺されてしまって一樹さんあなたにその穴を埋めていただこうかと。」
「殺されたって誰に殺されたんだ?」
「私はこの世界を管理しているだけですからそこまではわかりませんよ。」
はーー、分かりませんね、そんな訳がわからない命の危ねー所に
つれていこうとするなんて、神じゃなくて悪魔なんじゃないですかねこの人。
行こうとする先で命が狙われるのが決まってるとかどこのデスゲームですか?
「それで俺が断ったらどうなるんだ?」
「それはただ普通に地獄に落ちますね。」
「何で地獄なんだよ!!そこは普通天国だろ、ふざけんな転生するに決まってんだろ。」
ほんとにふざけてんのか、転生したらデズゲーム、止めたら地獄とかどこの無理ゲーですか?
おい、責任者呼んでこい!!
本当に死んでも虐めに合うとか俺にどれだけ罰を与えれば気がすむんですかね!神様よ。
「ほんとですか、ありがとうございます。」
はーー、疲れる、この人がたとえ本当の神様だとしても俺は絶対に信じないね。
あーー、この笑顔を殴ってやりたい衝動に駆られてしまう。
もう今すぐにでもどっかに消えてしまいたいが、そんな事しても意味は無い上に後悔するだろうから、我慢して質問をする。
「魔神と言うだけあって強いんだよな?」
「普通の生き物よりは強いですけど、それはその人次第ですよ、まぁ、違うところは想像魔法を使えるところですね!」
「想像魔法?字の通り想像すんのか?」
「そうですね、普通の魔法は詠唱によって決まった形の魔法しか発動出来ませんが。
詠唱は要らずに頭で考えた形の魔法を発現できますよ、つまり自由です。」
なるほどね、だから使う人次第なのか、で氷の魔神とやらは何をすればいいんだ?
「いえ、特にはありませんけどそうですね~、魔王が現れたら討伐を手伝ってもらえたら嬉しいですけど基本的には勇者の仕事ですね、まあ、基本的に自由ですね。」
俺、魔神になる必要を感じないのは俺だけなんだろうか。
「何で俺が魔神にならなきゃいけねーんだよ。」
「そうですね、あなたは人生は楽しかったですか?」
はあ? 楽しかったわけねーだろ、楽しかったのなら今ここで泣き叫んでるはずだろ。
「楽しく、無かったよ!」
俺は怒ってるつもりはなかったが、自然と言葉が強くなった。
「だったら2度目の人生を楽しめばいいじゃないですか。
人生を楽しくするか、つまらなくするかはその人したいですから。」
はいはい、出ましたよすぐいいこといってごまかそうとするやつ。
いるんだよね、すぐ何か深そうな事言ってくる奴。
その言葉が吐けるのは成功したから吐けるんであって、失敗してるやつには何も響かねーんだよ。
「まあ、私としては貴方には素敵な人生を送って欲しいです。」
「はいはい、どうでもいいからさっさと転成させるんなら送ってくれよ。」
「えぇ、そうですね、ではフェアリーワールドにようこそ。
それでは、いってらっしゃいませ。」
俺は神様の後ろから現れた光に飲み込まれた。
「出来れば貴方に生きることの楽しみを知って欲しいものですね。」
神がポツリと呟いた。
あと1話のせましゅ。(ФωФ)すみません噛みました。