断章、カーミラ ネリー
下手くそですみません
m(__)m
私の名前は、カーミラ・ネリー。
――しがない吸血鬼です。
そもそも吸血鬼というものは、人々に忌み嫌われる存在。
だから正体を隠し、生きなければならない。
世間で言われる「吸血鬼の弱点」は、こうです。
銀に弱い。
日光を浴びると死ぬ。
炎で焼かれると死ぬ。
十字架が苦手。
ニンニクが苦手。
水に触れることができない。
鏡に映らない。
血を吸わないと死ぬ。
血を吸われたら眷属になる。
……などなど。並べてみれば、もはやギャグです。
これだけ弱点があったら、どうやって生活するんですの? と。
本当は、こう。
銀は確かに苦手。
好意を寄せた相手の血が欲しくなる。
傷はすぐ治るけれど、首を落とされれば死ぬ。
成長が止まり、寿命が長い。
血を吸えば力は増すが……少し色っぽくなる。
弱点は、これだけです。
嘘が広まったのは、恐怖が作った噂にすぎません。
ちなみに子の話。
男の吸血鬼なら、子は吸血鬼として生まれる。
けれど女の吸血鬼が子を産めば、その子は父親の種族になる。
だから数が増えにくいのです。
その代わり、血に刻まれた知識や魔法は受け継がれる――吸血鬼が種として強い理由。
私は、人間の母と吸血鬼の父との間に生まれました。
両親の顔を見たことはありません。
父は行方不明、母は私を産んで亡くなったと聞かされています。
屋敷で育ててくれたのは、執事のアーラン爺や。母の旧知で、とても優しい人でした。
けれど私は「吸血鬼だから」と屋敷の外に出してはもらえず、エンフィールド王国で生まれ育ちながら、外の景色を見たこともなかったのです。
十五歳になったある日、唐突に告げられました。
「もう育ったのだから、勝手に生きろ」と。
……追い出し、ですね。
出立の前にアーラン爺やが渡してくれたのは、母が使っていたマジックトランク。
「十五になったら渡すように」と託されていたそうです。
私は部屋にあった荷物をぜんぶ放り込みました。ざまあみろ、という気持ちでしたね。
けれど正直、解放感のほうが大きかった。
屋敷なんて、もう二度と戻りたくありません。
だから、船で島を出ることに決めたのです。
ちょうど港には、同年代の子供が大勢集まっていました。ああそうだ、この時期は――学校の入学試験でしたね。
私は船に乗り込み、することもなく部屋で眠ろうと思っていました。
その途中――階段を降りてきたときです。
前から歩いてきたのは、水色の長い髪をした小さな獣耳の少女。
……ひどく野暮ったいローブを羽織っていました。
私は、その顔を見た瞬間――動けなくなった。
少女がすれ違って去っていく。
私は数秒してようやく気づきました。
(……わたくし、今――見とれていた?)
しかも、相手は女性。
思考が一瞬で混乱する。
慌てて振り返ったときには、もう姿がなかった。
私は心臓の音を抑えきれないまま甲板へ駆け戻り、少女を探す。
――いた。
夕焼けの海を背に、長い髪を揺らす後ろ姿。
胸がどくん、と跳ねた。
心臓がうるさい。どうしても静まらない。
まるで恋する乙女。
……いや、否定できない。
逡巡の末、私は意を決した。
「少しよろしいですか?」
声をかけた瞬間、自分でも頬が熱くなるのを感じた。
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| △△
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