サイドストーリーず おばあちゃんとおじいちゃんのはなし
「ねーねー、おばあちゃん」
「ん? なんだい、菖蒲」
「おばあちゃんとおじいちゃんは、いつから一緒なの?」
「そうだねえ、寺子屋からかね」
「へえ、小さい頃から一緒だったんだ」
「ばあさんがついて回ってたんだよな」
「なに言ってるんだい。あんたが悪さばっかりしてたからだろ」
「そうだったか?」
「そうだよ」
「へえ、おばあちゃんがお姉さんだったんだ」
「歳は下なんだけどね」
「おじいちゃん、いつからおばあちゃんを好きになったの?」
「もう、昔のことなんか忘れた」
「あら、約束したのは寺子屋だったでしょう」
「えっ?! そんな小さいとき?!」
「そうよ。これからずっと一緒にいてくれって」
「あれは、お使いに行ったときだろ」
「あら、そうでしたかねえ。お使いの後に、これからもって言われたような」
「そうだったか?」
「そうですよ」
ふふふ。
おばあちゃんが楽しそうに笑ってる。
「じゃあ、いつから一緒に暮らし始めたの?」
「あれは、おれが独り立ちしたときだよなあ」
「そうだねえ。師匠から家を建ててもらったんだよね」
「へえ、そうだったんだ」
「そういえば、菖蒲」
「はい?」
「あんた達の家も建てなきゃね」
「えー、いや、まだまだですよ、わたし」
「そうなのかい? 赤ちゃんには興味があるみたいだけど」
「いや、赤ちゃんは好きですよ。でも、相手がね、いないし」
「おまえ、籐吾がいるだろ」
「籐吾兄さんには御形姉さんがいるから」
おばあちゃんとおじいちゃんが顔を見合わせる。
「なに、今更みたいなこと言ってるんだい」
「でも……」
「あんたも小さい頃から一緒じゃないかい」
「そうだけど、小さいときは違うし……」
「じいさんや」
「ん?」
「あんた、小さい頃と今と、何か違うかい?」
「何がだよ?」
「まあ、いろいろだけどね。何かが違うから一緒にいるのかい?」
「は? なんも変わらなくないか? 歳とっただけで」
「寺子屋の頃とおんなじだよねえ」
「そうだなあ。一緒にいたいだけだよな」
「だってよ、菖蒲。そんなもんさ。あんたは難しく考えすぎだよ」
「……」
「そうだな。一緒にいたいってだけで充分じゃないか?」
「でも、姉さんや兄さんがどう思ってるかは……」
「そんなの、聞いてみればいい」
「んーーーー」
「まあ、機会があれば聞きなさい」
「……なんか、わたしが言い聞かされてるし」
なんか悔しい。
わたし、おじいちゃんとおばあちゃんの話を聞いてたんだけどな。
あっ、そうだ!
「おばあちゃん!」
「ん?」
「ちゅうはいつしたの?」
「寺子屋だったかねえ。ほっぺに」
「はやっ!」
「あんたはいつ籐吾にしたの?」
「寺子屋ですね。ほっぺに」
「一緒じゃないか。悩むだけあれだよ」
「むう……」
おばあちゃんは、にこにこしてる。
おじいちゃんも笑ってる。
なんだか、すっかり丸め込まれた気がする。
やっぱり。
おばあちゃんには敵わないなぁ。




