守る
村。
男は慣れない手つきで畑の手入れをしている。まだ、収穫までは時間がかかるようだ。
筋肉痛がひどくて身体を動かしにくいな、男はそう持っている。
◇
同じ男だが、街の中、雑草を抜いて回っている。屋根の修理をしているもの達に声をかけられて手を振る。
悪いが、話す元気がないんだ。男はそう思っている。
◇
今回のツアー客はかなり多い。
各住戸へ案内している男は、客からの質問に答えている。
水道、電気は各住戸にありますよ。
あ、ガスはここでは使えないです。
いや、昔はもちろんありましたが、、。
男はそんな話をしている。
◇
やれやれ、やっと帰れる。
男は、同じようなほっとした顔をしている同僚達とともに、街へ向かうバスに乗り込む。
車窓からは廃線となった線路が見える。
この辺は朽ちるに任せているのか、草木に覆われている。
そのうち、線路は見えなくなるだろうな、男はそんなことを思っている。
◇
街だ。ようやく帰って来れた。
人口減少、エネルギーの効率化、そうした理由でこの国の選択したものは、集住。
コンパクトな街を作り、他の地域は放棄した。
男に限らず、かなりの人々は放棄した地の維持という職業についている。
その時代を懐かしむ人たち向けのツアーは設けられているが、当初予定されていたと聞く帰還の時は果たして来るのだろうか、世代を重ねるにつれてそのことを望む人々は減ってきている。




