1.運命の事故
俺の名前は柳沢純。今日から高校二年生になる。
「じゃあ母さん、行ってくるよ」
「ええ、気をつけてね~」
母に見送られて家を出る。学校へ向かう俺は少し早足になっているかもしれない。クラス替えの結果が待ち遠しいからだ。
俺には小さい頃から仲の良い幼馴染みが三人いる。もしそいつらと一緒なら楽しく過ごせるだろう。
そうでなくても、新しい友だちを作れる楽しみがある。何にせよ、学校へ行くのが楽しみで仕方ない。
学校までの道のりは徒歩十分くらいなので、あと数分で着くな、と思っていた時だった。
「ん?」
道路のど真ん中に何かがいた。あれは……猫か? 首輪をつけていないので、どうやら野良猫のようだ。
「あんなところにいたら危ないだろ」
まあでも野良猫なら、もし車が来てもひょいと逃げていけるのだろう。
俺が気にすることでもないか。そう考えて通り過ぎようとしたところ、前方からトラックが猫に向かって走ってきた。
――――けれど何故か、猫はその場から動かない。
「おい、何で逃げないんだよ!?」
早く逃げないと本当に轢かれるぞ……? と、猫が動かないことを疑問に思い、足を止めて猫の方を見る。そこで俺は気づいた。
その猫の体は痩せ細っており、明らかに弱りきっていた。
さらによく見ると、体がプルプル震えている。もしかして、動きたくても動けない状態なのか……?
しかしトラックは、その猫に気づかず猫の方へ向かってくる。このままでは、確実に猫は轢かれてしまう。
「くそ、何とか助けられないのか……!」
とは言うものの、トラックとの距離はもう近い。今助けに行っては自分の身も無事では済まされないだろう。
でもこのまま猫を見殺しにすることは、俺にはできなかった。
「くっ……うおおお!!!」
俺は意を決して、勢いよく道路の真ん中に飛び込み、猫を抱きかかえた。そこから何とか逃げ出そうと歩道の方に目をやる。
だがもうトラックはすぐそこまで来ており、逃げる時間は残されていなかった。
「くそ、間に合わねえ!!」
目の前には大きなトラック。
ビーーーー!! ドゴンッ!!!
甲高く鳴り響くクラクションの音と、鈍い衝突音と共に、とてつもない衝撃が俺の身体を襲った。
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