告白
きっちりと正装し、真剣な眼差しの若い王を前に、ルランは早くも失神しかかっていた。
そろそろ日も暮れようかという頃、なんの告知もなしに軍を連れて出て行った王が、今度は白く美しい龍に乗って戻ってきた。それを見た国民はびっくりしたが、誰かが「きっと白の姫君だろう」と言ったのが広まり、国は一気に祝典モードになった。先に帰って来ていた兵士たちは婚儀の支度に入り始め、侍女たちがドレスの発注を始め、城が慌ただしくなっている中。
「ルラン、俺と結婚してくれないか」
ルランは王陛下から告白されていた。
「え、えと、あの・・・ル、ルイ?」
「・・・俺とは嫌か?」
「い、嫌じゃないよ?嫌じゃないんだけど・・・」
返事の仕方が全く分からない。しかも考えれば考えるほど恥ずかしくなって言えなくなってくる。
赤くなり可哀想なくらい狼狽えているルランを見て、ルイはため息をついた。
「角と羽根を発現させるくらい俺のことが好きなのに、結婚したくはないのか」
「したいに決まってるでしょ!・・・え、今なんて?」
「本来なら婚儀の後に発現する羽根を、俺に会えないと言う理由だけで発現させたんだろう?」
「な、な、な・・・なんで知ってるの・・・」
「なんだ、図星か」
魔術師に教えられて失神したことは敢えて言わず。ニヤニヤしながら顔を隠しているルランの反応を待っていると、いきなりバサッと音を立てて仕舞っていた羽根が発現した。
「し、仕方ないでしょ!?ルイのこと考えると胸は痛むわ顔は火照るわ心臓は暴れるわ、抑えられるわけないじゃないの!!どこに惚れたか分からないけど、これだけは言っとくわ!私以外の女の人を好きになったら許さないからね!大好きよこの馬鹿ぁ!!」
ルランは大声でそう捲し立てると、手と羽根で顔を覆ってしまった。素直じゃない告白に顔が真っ赤になりながらも、柔らかな羽根ごとルランを抱きしめる。
「俺だって、驚かしただけで失神するくらい病弱なのにお転婆な馬鹿娘にいつ惚れたのか、聞きたいくらいだ」
「・・・なんですって?今馬鹿って言った?」
「言った。・・・でも、お前は俺がいなきゃ直ぐ倒れるし寝てる間も泣くし、何よりお前が大事なんだ。・・・もしお前が龍だったらって考えた時、誰かに見られるくらいなら俺が殺してしまおうかと思った」
「殺さないの?」
「ああ。だって、俺のことが好きで発現したんだろ?ならどこかに行くこともないし、元よりお前は俺の嫁だ。・・・なぁ、ルラン」
「・・・なぁに?」
「結婚しよう」
「・・・うん」
体を離すと、いつの間にか羽根は小さくなっていて、真っ赤になっているルランが潤んだ目で見上げてくる。
「ルイ、貴方真っ赤」
「お前だって同じだろ」
約束通りそっと口付けると、ルランの羽根がふるふると震えた。愛おしい気持ちが押し寄せ、ルイは最愛の人を抱きしめた。
***
翌朝、婚儀は厳かに勧められた。誓約を交わし、誓いのキスをすませた二人だが、お披露目のために国民の前に出た途端、あまりの人の多さに白の姫君が倒れてしまった。思わず息を飲んだ人々の前で、予想していたのかと思うほどスマートに妻を抱き上げた王は、魅力的な笑顔を浮かべて城に戻って行ったという。
そしてルランは「史上最も儚く美しい白龍の女王」とされ、国民に長く愛される女王となった。




