第一話 龍王の気まぐれ
てん、と目の前を首が転がった。
そう広くはない山沿いの崖道は白い雪で覆われており、そこは今しがた制圧された賊の血しぶきで一帯が赤く染まっている。いつか絵巻物で見た雛罌粟のようだとライラは見つめた。
賊の身なりはきれいで、防寒具も襤褸ではないし、鋼の防具もつけている。金目のものではなく、ライラを狙った誰かの手の者だろう。
しかし誰かの目論見は外れ、賊は一陣の風のような一団によって瞬く間に制圧されライラはまだ生きている。
「無事か」
馬上から涼やかな男の声が降ってきた。
その手には血でしとどに濡れた曲刀が握られている。
幾重にも布と毛皮を重ねた分厚い防寒具ではっきりと見えないが、漆黒よりなお黒い髪と青みを帯びた銀色の瞳が龍王のそれであると知らせていた。
輿入れのための雪馬車は破壊され、従者は皆殺しにされ、放り出されたライラの肌を鋭い雪氷がなぶる。
入念に準備をしてきたつもりだったが、ノルシエの冬は余所者を嘲笑うかのような厳しさで、気を抜けばすぐさま命を落としてしまう――寒さというよりもはや痛みに似た感覚だった。
襲われるのが事前にわかっていたのだろうか。
龍王と近衛が計ったかのようなタイミングで賊を討伐してくれなければ、ライラも殺されていたか、逃げ延びたとて凍死していただろう。
「無事か」
寒さと賊に襲われた衝撃とで口を開けずにいると、龍王が重ねて問うた。
ライラははっと気を取り戻すと慌てて頷いた。
「ならばいい。僕は舜龍。この冷極の王。歓迎しよう、我が花嫁よ。この賊はほんの茶番。この地の厳しさが、君を疎んじる者どもがこの先も君を拒むやもしれぬ。それでも僕とともに来る覚悟はあるか」
龍王が血脂を拭って曲刀を鞘に納めると、激しい風にあおられて雪氷が地から天へと吹き上がる。馬が嘶いた。
文字通り刺すような痛みの中で、ライラは震える足を叱咤し膝立ちになった。
ドレスを広げる故郷の作法ではなく、手を組み合わせ頭を垂れるノルシエ風の跪拝の作法である。
「ライラと申します。龍王陛下。はるか砂絹より嫁いでまいりました。幾久しくよろしくお願い申し上げます」
迷いはなかった。
これはライラの戦いである。
故郷は貧しく乾いた土地であった。目ぼしい富は長い歴史の中で枯れ、四方を大国に囲まれた土地柄、常にあちらこちらの戦に巻き込まれて疲弊していた。
ライラは女である。剣を取り、武功を立てて民を守ることはできない。北の大国であるノルシエに嫁ぎ、後ろ盾を得て民を守る。それが王族の長姫に生まれたライラの務め。
これはライラにとって退けぬ戦いであった。
龍王は跪拝するライラに手を差し伸べ、軽く頷いた。
「乗れ。一人では馬に乗れまい」
龍王が馬上から降りてライラを自らの馬に乗せる。その後ろにひらりと跨ると、自らの防寒具の中にライラを引き込んだ。
とたんライラを包む人肌の熱さと白檀の香りにくらくらとした。
「冷えたな。宮についたら茶でも淹れさせよう」
革の手袋に覆われた龍王の手がライラの頬をやさしくなぞった。
ライラはせめて手綱さばきの邪魔にならぬようにと毛皮のマントの内で縮こまるしかできない。
「まだ寒いか」
「いえ……殿方に抱かれたのは初めてでして」
「なるほど? 緊張していると。これから褥もともにするというのに?」
「…………っ」
頬を紅潮させて息を吞むライラを龍王はくつくつと喉の奥で笑った。
血潮さえも凍りついた極北の蛮族。
白い悪魔。
人心のわからぬ戦闘民族。
ノルシエを悪しざまに言う声は大きく、ライラ自身、どんなに酷な扱いを受けてもめげてはならないと心を固くしてきた。
けれど目の前の青年王の声は驚くほどに軽やかで柔らかい。
王が柔和で安心した、というようなことをライラがぽつりと呟くと龍王はまたくつくつと喉の奥で笑って「お手本のような世間知らずの箱入り」としたたかにライラを評した。
「油断してくれるなよ。この国は君が思うほど甘くない。君が死んだら面倒だが、悼み悲しむほどの思い入れはまだ僕にもない。忙しい身でね。毎回今みたいに助けてやれるわけじゃない。ゆめゆめ殺されないように」
「なぜここで襲われると? なぜ助けてくださったのですか」
「華燭の典に花嫁がいなかったら無駄な諍いが起きるだろう。国のためだ」
端的な応えにライラは安堵した。
龍王は信頼にたる王だ。
国のためであれば余所者にも情けをかける。今はそれで充分だった。
蹄が氷を踏む音がしばらく響く。
ノルシエの集落まではあと少しの距離だったらしい。ずんぐりとした毛の長い馬が野晒しであちこちに繋がれている。
集落の至る所に赤い旗が凍りついている。
よく見るとライラの御印であるアネモネが染め抜かれていた。
ライラは背後の龍王を振り仰いだ。
「中央から極北にわざわざ輿入れしてくるなんて数代ぶりだから。一応歓迎のつもりなのさ。受け入れてやってくれ」
すべてが凍りついてしまう地で、それでも自分を思ってアネモネを飾ってくれた人々がいること。
ライラはこの国でどんなに虐げられようと、この日のこの景色を忘れないようにしようと目に焼きつけた。
「川を渡ったら王城だ」
龍王が顎をしゃくった。
急に石畳になった道の向こうに、川と呼ぶにはあまりに広く大きな氷面が横たわっている。
そして見渡す限りの地平を埋め尽くす石壁の先に巨大な王城がそびえたっていた。
故郷の国ひとつ丸ごと入ってしまうかもしれない。
そんな錯覚を起こすほど広大な敷地に多種多様な建造物が並んでおり、迂闊に散策でもしようものなら永遠に彷徨いそうだ。
跳ね橋を渡ると城門塔で壮年の男が控えていた。
「戻ったぞ、星睿。ライラを頼む」
「承知いたしました。お部屋はどちらに」
「南がいいだろう」
馬からライラを降ろしながら龍王が告げた場所に、それまで一言も発しなかった近衛がざわめく。
星睿と呼ばれた男もまた「南でございますか」と真意を確かめるように尋ねた。
「ああ、あそこが一等いい――ライラ、上手くやれ」
顔の防寒具を緩めて龍王が意味ありげな悪い笑みを寄こす。
初めて見る夫となる人の面差しは、凄絶に美しく聡明な光を湛えていた。
ライラは彼の意図が読めず、わずかに首を傾いだ。
寡黙な近衛たちがさざめく部屋だ。物置のような場所なのかもしれない。
それでも全く構わなかった。この厳寒と飢えをしのげて、恥にならぬ程度に身を整えられればいい。
「こちらへ」
馬上の龍王と近衛団はあっという間にいずこかへ去って行ってしまった。
行く当てもないので星睿が誰なのかもわからないまま、手招く方へただ黙ってついていく。
文官だろうか。長い上衣には乱れがなく、シャツは襟首まで白い。白髪混じりの短髪や爪に至るまで丁寧に手入れされており、几帳面な印象の男だった。
「改めまして星睿と申します。陛下より様々な御用を仰せつかっております。傍仕えとでもご認識ください。なにか不自由がございましたら私めに」
「ライラと申します。中央の砂絹より参りました」
星睿が重たい扉を開くと冷気がもうもうと白く室内に吹き込むのが見えた。扉の内側は暖かく一瞬で身体の強ばりがほどける。
扉のすぐそばから見えないほど遠くの回廊の果てまで艶やかな黒色で統一された女たちがずらりと並んで跪拝の礼をとっていた。髪も上衣も下穿きも靴までもが黒い。彼女たちの髪紐だけが際立って朱色だった。
「ここが南の宮、ライラ様の宮でございます。これらは南に侍る侍女たち。すべてが貴女様のものですからご自由にお使いください」
「そうですか……えっ?」
「なにか」
「今、すべてと仰いました? この宮とこの方々もすべて?」
玻璃と金で細工された途方もない広さの宮と、ひと月かけても全員と挨拶できなさそうな人数のこの侍女たちがすべて?
身に余るという意味で呟いたライラの言葉は星睿には真逆に取られて、生真面目な表情が少し歪むのがわかった。
「ご不足でしょうか。ただ。ライラ様のほかに三人のご側妃がいらっしゃいまして東の宮はそれぞれがお使いなのです。北と西はお使いになられても構いませんが、ここより陽当たりが悪く少々古い建付けですのでおすすめいたしません」
「不足なんてとんでもないこと。そうではなくて……三人のご側妃?」
「ええ。陛下は正式に側妃とお認めになられていないのですが遠縁の娘が三人ほど。お嫌であれば陛下にお伝えして宮を辞していただきましょう」
ちらとでも思案する素振りを見せれば、すぐにでも側妃たちを追い出しにかかりそうな星睿に慌てて首を振る。
他にも側妃がいるとは聞いていなかったが、後宮は余所者が我が物顔で振る舞っていい場所ではないことも重々承知している。
ライラは内心冷や汗を拭いながら、自らにこの宮が宛がわれた意味を探る。
新参者や異邦人は南という決まりでもあるのだろうか。
それであれば近衛の驚きが解せない。側妃同士であれば他の三人と同じ宮に集めたほうが色々と効率がよさそうなものだが、やはり下女に似た扱いを受けると思った方がよいか。
「いえ、初耳だったものですから少し驚いてしまって。東がご側妃の宮なのですね。わたくしもいずれは東へ?」
「いいえ。ご正妃はこの宮をお使いいただくしきたりでございます」
「ご正妃」
予想していなかった答えだった。そんな話だったろうか。
「先ほど陛下が南へと仰られました。すなわちご正妃としてお迎えになるという意味です。――お輿入れの際に何もお話はなかったのですか?」
「わたくしは、供物、ですので――……」
そう。ライラはノルシエという盾を得るためだけの龍王への供物である。
たとえ痛めつけられようと、疎んじられようと、側妃であろうと愛妾であろうと何でもいい。ただ龍王に嫁いだという事実だけが重要なのだ。
正直、正妃として立てるほどの――龍王にとって利益となるほどの国力が故国にはない。
「そうですか。では陛下は供物を大変お気に召したということです。我が国にとっても彼の国にとっても喜ばしいことでございましょう」
「何かの間違いでは」
「陛下がお間違えになることは何一つございません」
狼狽えるライラを星睿がにべもなく切って捨てる。己の主が間違えることなどないと本気で信じている口ぶりだった。
「道中お疲れでしょう。まずは湯殿で身体を温められてはいかがでしょうか」
星睿は南の宮からライラを動かす気はないようだった。
話を切り上げるように侍女たちに指で合図すると黒い女の中から数人が立ち上がり、ライラの前で再び跪いた。
「ご案内申し上げます、妃殿下」
***
砂絹では湯あみは贅沢な嗜みだった。
乾いた国土で水は貴重な命の糧であったから、おいそれと無駄遣いはできない。
ライラは王族なので宮城に浴場があったけれど市井では基本的に公衆浴場を使う。それも毎日ではない。
今ライラは砂絹最大の公衆浴場と引けを取らない大きな湯殿からとめどなく湯水があふれるのを眺めながら、薔薇の香油をすりこまれている。
ひどく疲れた身体に温かな湯気と侍女たちの巧みな手技が沁みる。
侍女たちは小鳥が囀るように可愛らしい声音でライラを褒めそやした。
まとまりの悪いただ伸ばしただけの黒髪は「ハリコシのある健康的な御髪」になったし、貧相で女性らしさに欠ける胸は「慎ましやかで繊細なお胸」になった。吊り目がちの男顔は「理知的で凛としたお顔立ち」に。
こそばゆいほど何もかもを褒めてくれる。
砂絹では痩せぎすで特徴のない長姫という立ち位置だったので、暫定的にでも大国の正妃となるとこんなに扱いが変わるのかと新鮮に驚いた。
「さすがは砂絹のご長姫。お肌が吸いつくように滑らかでお美しいですわ」
「お国ではどんなお手入れを?」
「……いえ、まともな手入れなど何ひとつ。しいていえば書庫にこもるのが好きで日焼けをしなかったことくらいでしょうか」
「それでこんなにもきめ細やかな象牙のお肌なのですね」
「ライラ様は書物を嗜まれるのですか」
「ご聡明でいらっしゃいますのね」
「どのような書を好まれますか」
ライラは言葉に詰まった。言わなければよかった。
詩歌を鑑賞するが自ら詠うのは苦手だ。普通の姫君たちのように恋愛話にもさほど胸躍らない。
ライラはこの世の不思議が好きだ。星空のこと、古代の国のこと、文明を開いた人々のこと。叶うことなら思う存分学問をしてみたかった。
――とてもじゃないが姫君らしくない。こんなことを言えば、奇妙な姫として龍王にも煙たがられてしまうだろう。
結局、質問を返すことで茶を濁した。
「ノルシエではどんな書が流行りですか」
「やはり胸を焦がす恋愛物が人気ですわね」
「私どもは学がないので絵巻物を読むのが精いっぱいですけれど」
「先ごろでは身分違いの恋物語が流行っておりますわ。ただの小姓だった若者が武功を立て、皇帝の側妃である小燕の下賜を願い出るのです。ひたすら一途に慕いあっていた二人が結ばれる場面には思わず目頭が熱くなりました」
香油でライラの身体中をこねまわしながら侍女たちがきゃらきゃらと楽しげに語る。
やはり恋愛物か……とライラは気のない相槌を時折挟むにとどめた。
身体を拭われ、肌が透ける薄絹の衣装を着せつけられる。
ノルシエの宮は湯から上がってもひやりともしない。
無防備に外を歩けば寒さでたちまち皮膚が裂け凍傷を起こすノルシエでは薄絹の衣服こそが富の象徴であった。
豪奢な刺繍と煌びやかな宝飾具でいくらか紛れているが、肌にぴったりと沿う布地がライラの痩身を浮きだたせた。年頃の娘らしい匂いたつ色香がない。凛とした麗人というには迫力がない。
それに比べ、一目だけ見た夫の美しいことと言ったら。
しみひとつない陶器の肌に磨き抜かれた金剛石の怜悧な双眸、すっと通った鼻梁に整った口元。何より筆舌に尽くしがたい凄みがあった。
姿見で見る己にライラは少し落胆する。
「みすぼらしくはないでしょうか」
「何を仰います。とてもお麗しゅうございます」
「――……他のご寵姫はどんな方々なのでしょう」
豊満で可憐な美貌の持ち主ばかりであったら目も当てられない。
夫の愛は畢竟なくても構わないが、夫の好みがどうであるかは参考までに聞いておきたいのだった。
「ライラ様がご正妃であることは陛下がお決めになられたこと。陛下はお揺るぎになられません。そしてお三方とも側妃を名乗られてはおられますが、陛下はあの姫君たちをお認めにはなられておりません」
侍女たちもまた真実、龍王に間違いはないと信奉しているようだった。
そして上手くはぐらかされた気がする。
聞きたいのはライラの地位の正当性ではなく、それぞれの人となりだ。
とはいえ、三人の側妃たちは、龍王が見初めていないのに乗り込んできたということ。
いずれも自分に自信のある良家の美姫たちなのだろう。
正妃とは後宮の女主人。
ライラのような姫とは名ばかりの面白みのない痩せぎすにはとてもじゃないが束ねきれる気がしない。
龍王に嫁いだ事実だけあればよかった。
側妃として後宮の隅にでも置いてくれればそれで十分だったのだ。
ライラは美しい夫の気まぐれに薄くため息をつく。
「今宵、お部屋に陛下がお出でになります」
嫁いできたのだから、当然、夜伽もある。ライラとてそれぐらいはわかる。
ただ着飾ってなお、男である夫よりだいぶ見劣りする自分を思うと気が重い。
冴えない女を抱かなければならない龍王にも申し訳ない気分だった。
「よい夜をお過ごしくださいませ」
ダメ押しのように侍女が告げる。
ライラは所在なく薄絹の裾をいじりながら、夫の気まぐれが一夜限りではないことを願ってまた薄くため息をついた。
***
「ゆっくりできたか?」
案内された寝所にはすでにくつろいだ龍王の姿があった。
普通、初夜は女のほうが寝所で殿方を待つのでは……とライラは思ったが、すでにいるのだからどうしようもない。近く寄れと龍王に命じられるまま、寝台の端に腰かける。
「大変お待たせし申し開きのしようも……」
「いい、いい。侍女たちが張り切ったんだろう。僕だって南宮に妃を置く意味は知ってる。それが周りにどう影響するのかも」
「――畏れながら、なぜ」
「惚れたからとでも言われたいか?」
はいともいいえとも違う気がしてライラはしばし黙った。
龍王が一目惚れをするとも思えなかったし、万が一したとして、臣下の絶大な信頼を思えば、色恋だけで正妃を即断するようにも見えなかった。
「……砂絹は歴史だけは古いですが、ノルシエにとっての利益は差し上げられない。わたくしを正妃に置かれて、陛下の御為になるようなことは何ひとつございません。自らが決して美姫でもないのを自覚しております。ですから畏れ多くはございますが、まことに不可思議とも思っております」
「僕の直感が妃に足り得ると告げていた。今日のところはそれだけだ」
「直感、にございますか」
龍王はにやりと白い顔に笑みを浮かべた。
「賊に襲われ極限の中、それでもお前は僕を一目で王と判別しノルシエの跪拝の礼をとった。意図的であれ無意識であれ、なかなか興味深い演出だった」
龍王は寝台の端のライラをさっと抱きすくめて横になった。額にくちびるを落とされる。
初夜がはじまるかと思うと、自然ライラは身を固くした。
「いいよ、ライラ。別に今日無理に抱くつもりはない。疲れただろうから少し話してゆっくり眠ろう。正妃だからといって夜伽を無理強いする気はないさ」
「しかし陛下……お抱きにもならないのならば、いよいよわたくしが差し出せるものがございません」
弱々しく眉を下げたライラに龍王はつまらなさそうに鼻を鳴らした。
「僕は対等な婚姻のつもりだったんだが、お前はどこまでも供物なんだな。まあいい。じゃあ寝物語でも話してくれ」
「物語、ですか」
「不眠症ぎみでね」
「……陛下はどのようなお話を好まれますか」
「ライラが最近興味深いと思った話を」
「わたくしの興味深い話」
初夜を放り投げられたライラはほとほと困り果てた声を上げた。
侍女たちとの世間話もままならないのに龍王に捧げる気の利いた話などあるはずもない。
「なんでもいい。眠くならないから暇つぶしを探してるんだ」
「――……本当につまらぬお耳汚しですが」
腹を括ってライラは語り始めた。
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