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大国主になった厨二 古事記世界でチート無双  作者: かぐけん&亜美会長
第七章 海人族とイト国の女王編
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焼魚ってとてもおいしいよね

ブックマークや評価ポイントありがとうございます!

 俺がこの世界に来て最初に訪れた村、そこが魔物に襲われているという。

 ルウの故郷でもあるし、次に行こうと思っていた場所だ。


 ここからは半日の距離だ。

 そして、危機を知らせる使者がここに来ているということは、魔物が襲ってきたのは少なくとも半日以上前だということになる。


 俺の移動は速いが、それでも足りない。

 どうする?

 なにができる?


「スセリ、後はまかせた」


「え? どうなさるのですか?」


「先に行く」


 俺は両手を前に突き出した。

 俺は村に意識を集中して、そこに空間をつなげるようにイメージして魔力を高める。

 ゲートとか転移ってやつだ。

 いつか試してみようと思っていたが、やるなら今だろう。


「この魔力は!?」


 高まった魔力が、俺から威圧の形で吹き出されている。

 アマ国王たちが怯えている。


「なにが起こるのですか?」


 突き出した俺の両手の前に、小さな黒い穴が出現した。

 この穴を広げて村につなげるのだ。


 この世界には生命力と魔力というステータスが存在する。

 俺はそれをステータスの表示で確認することができた。


 そして、婆さんから魔法を習ったときに確信したのは、この世界の魔法というのはイメージを魔力で具現化しているだけだってことだ。

 強いイメージを持ち、そこに魔力を込めれば実現できてしまう。

 それが魔法の正体だ。


 たとえば婆さんは五行の(ことわり)の術を使うが、スセリはまた別の術を使う。

 系統がたくさんあるのは、もともと定まった形が無いということなのだ。

 ただ、人におしえるには形に定める必要があるから、魔力が高くてイメージ力の強い者が術者となって、その術を広めたりしているのだろう。


 俺は現代日本の厨二だ。

 現代日本はイメージの宝庫だ。

 アニメ、ゲーム、映画、漫画、ラノベ、ありとあらゆるファンタジーが溢れている。

 魔法や術式の効果や概念、視覚イメージまで、オタクの俺は膨大に知っているのだ。


 その知識の中で、いつかやってみようと思っていたのが転移ゲートだ。

 遠い場所に一瞬で移動できるというのは、ロマンであり実益も高い。


 今まさに俺は、その転移ゲートをやろうとしているのだ。


 村をイメージする。

 どこへ飛ぶか指定するのだ。

 頭の中に村の光景が流れる。

 次第に場所が定まっていき、ピントが合うようにクリアになっていく。


 もう少しだ。もう少し。


「キタ!」


 カチリと何かがはまるように固定されたのは、婆さんがいる洞窟だった。


 その瞬間、黒い穴が人が通れるくらいのサイズに拡がり、薄暗い地面が見えた。


「後から来い!」


 スセリやヤカミが驚いている。


 俺が穴に飛び込むと、一瞬だけ違和感があって薄暗い洞窟に着いた。

 家の庭から飛ばされたとき、女神ツクヨミにこの世界に飛ばされたときの感覚だ。


「よし!」


 転移ゲート成功だ。


 穴は一瞬で閉じた。

 はじめてだし、一人で試してみたのだが、いずれは他の人が通れるのか試してみる必要があるな。


「ムイチさん!?」


 声がするほうを向くと、部屋には村人達が大勢集まっていた。

 声をかけてきたのはキクムさんの奥さんだ。

 突然に現れた俺に驚いている。


「おひさしぶりです。なにがあったんですか?」


「海から魔物があらわれて海岸で漁をしていた男達が襲われました。知らせを聞いてすぐに村人はこの洞窟に避難したのですが、魔物は村を襲いました。今は夫や婆様が入り口で防いでいます」


「わかった。俺も行くよ」


 怯えている子供たちに、だいじょうぶだと手を振って、俺は洞窟の入り口に向かった。

 入り口に着くと、キクムさんたちが入り口の扉を板や丸太で補強して、魔物の侵入を防いでいるところだった。

 男達が四人と婆さんだ。

 ジレの姿も見える。


 外からは、叩きつけるような音や、うなり声のようなものが聞こえる。

 地鳴りもしているし、かなりの大軍のようだ。

 みんな必死な顔だ。


「キクムさん!」


 俺が声をかけると、キクムさんが振り向いた。


「ムイチ!?」


 懐かしい再会だが、なごんでいる暇は無い。


「なぜじゃ? なぜここにいる?」


 婆さんが驚いている。


「話は後です。今の状況をおしえてください」


「海から魚人間が攻めてきた。村人は全員ここに避難していて、ここで持ちこたえている状態だ」


「魚人間?」


「なんだかわからん。魚の顔をしていて全身に鱗がある人間だ。言葉は通じないが知能はあるようで、槍とかこん棒を使っていた。100匹くらいいるようだが、増えているかもしれん」


 海から魚人間が攻めてきた?

 魔物は一匹ではなくて、かなりの大軍のようだ。

 しかし、魚人間ってなんなんだ?


「今までにこういうことは?」


「ない。わしですら見たことが無いし、言い伝えにもない」


 婆さんですら知らないのか。

 本格的にわからないな。


 扉への攻撃は激しさを増している。

 俺は土魔法で扉を補強した。

 1メートルの固めた土で補強したので、外からの音もあまり聞こえなくなった。


「これで大丈夫だと思いますよ」


「ふう、すまない。もう持ちこたえられないと思っていたところだ。助かった」


 キクムさんが額の汗をぬぐった。


「どうやってここに来たのじゃ?」


 婆さんがあやしむように俺を見る。

 まあ、突然に現れればそれはもう不審だろう。


「転移ゲートでアマ国王城から飛んできました」


「転移ゲート?」


「別の場所と空間をつなげて、そこへ一瞬で行くことができる魔法です」


「なんじゃと? そのような術は聞いたことがないわい」


「まあ、俺もはじめて使いましたからね。成功してよかったですよ」


「なんじゃそれは・・・」


 婆さんは不可解そうな顔でぶつぶつ言っている。


 俺はキクムさんとジレに、そこらの板を置いてテーブルを作ってもらって、万宝袋(まんぽうぶくろ)から熱いお茶を出した。


「まあ、一服しましょう」


 茶碗に注いでいく。

 この茶碗は土魔法と火魔法の練習に作っておいたものだ。


「ああ、すまんな」


 キクムさんは茶を飲むと、いくらからリラックスできたようだ。


「どうします?」


「いかんな。もう一晩ここに詰めているのだが、ここには食料が無い。このままだと衰弱で死人も出るだろう。退却を待つのは得策ではないな。体力があるうちに討って出る必要がある」


「そうでしょうね」


 キクムさんはさすが族長だけあって、的確な判断だ。

 しかし、浮かない顔をしている。


「どうしたんです?」


「いや、敵は多いからな。村には戦えるものがおらんのだ」


「魚人間ってどんな感じなんです?」


「背は子供くらいで頭が魚だな。見た目のサイズからは想像できないくらいに力が強い。動きも素早いな」


 うーん、よくわからない。

 まあ、見てみよう。


「ちょっと見てみます」


 俺は土魔法で固めた扉に魔法で小さな覗き穴を開けた。


「なんだこれ!?」


 視覚強化で見てみると、外にはうじゃうじゃと魚人間がいた。

 まさに魚人間。

 半魚人ってやつか。

 青魚が人間になったみたいな感じだ。

 テラテラと光る鱗、黒くて無機質な目玉。

 口からは鋭い歯がたくさんのぞいているから、肉食系なのだろうか?


 槍なんかの武器を持っている。

 この意味不明な生物、まあひさびさにステータスを鑑定してみよう。


LV22 フィッシュマン

HP 240/210

MP 46/46


 微妙・・・。

 フィッシュマンって魚人ってことか。

 そのまんまじゃねーか!

 わかったようなわからないような、とても微妙な感じだ。


 ワ国兵士の半分くらいの強さだな。

 はっきり言って雑魚だが、この村の戦士のHPは10とかだから、村人から見たら恐ろしい敵だろう。


「キクムさん、俺やりましょうか?」


 この程度の敵なら100だろうが1000だろうが余裕だ。

 最近ずっと船造りでおとなしくしてたから、ひとつ暴れてやるとするか。


「ならば俺も行く。ムイチだけを危険な目にあわせるわけにはいかん」


 この程度なら危険なんてないんだけどな。

 しかし、キクムさんは族長としての立場もあるのだろう。

 どうしても行くと聞かなかった。


「じゃあ俺たちが出たら外から扉はふさぎます。敵を一掃したら扉を開けますよ。そんなに時間はかからないと思います」


 俺は万宝袋(まんぽうぶくろ)から天地理矛(あめつちのことわりのほこ)生太刀(いくたち)を取り出した。


「なんじゃそれは・・・!?」


 神級武具(ゴッズウェポン)の威容に、婆さんも目を見張っている。


 扉の前に立つ。


「キクムさんいいですか?」


「いつでもいい」


「ムイチ、がんばってくれ!」


 ジレが声援を飛ばしてきた。


「よし、行きましょう」


 俺は土魔法を解除して、扉を外側に開き、火魔法で扉の前にいたフィッシュマンたちを焼き飛ばした。


「出ます!」


 そして、期待のまなざしで俺を見送ろうとするジレの腕を掴んで、キクムさんとともに扉の外に出た。

 素早く扉を閉めて外から土魔法で封じる。


 むお、焼魚くせえ!w


 おや、100どころじゃなかったか。

 視界いっぱいのフィッシュマンが俺たちに殺到してきた。


「え? え?」


 ジレが目を白黒させている。

 留守番のつもりだったのだろう。

 茶目っ気で連れて出てしまった。


「さて、ショータイムだぜ!」

いつも読んでいただいて感謝しています。

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