マグロの筋力ってすごいらしいよ
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「さて、ショータイムだぜ!」
扉から出るときには火魔法を使ったが、外では大きな魔法は使えない。
民家からは少し離れているとはいえ、ここは村の中だからだ。
どうしようもない場合は別だが、できるだけ村を破壊しないように戦いたい。
「まずは串刺しだな!」
万宝袋から生弓を出して天に向けて構える。
弦を引き絞ると、光の矢が現れる。
限界まで張り詰めた弦を放すと、光の矢が天に向けて飛びだした。
「うらぁ!」
空に向かって180本の光の筋が走る。
弧を描いてフィッシュマンたちに降り注ぐ。
まるで光の矢の雨だ。
「なんだそれ!?」
ジレが目を丸くしている。
フィッシュマンたちは、何本もの矢に撃たれ貫かれて倒れていく。
不気味な叫び声、悲鳴なのだろうか。
視界を埋めていたフィッシュマンが三分の一に減った。
矢に倒れたのは後ろのほうのやつらだ。
最初に向かってきていた集団は、すでに目の前に来ている。
「おい、ムイチ! きたぞ、おい!?」
武器を構えたフィッシュマンが殺到する。
無機質な黒い目は不気味だ。
槍や棒きれ、それぞれが武器を手にしている。
頭は悪そうだが、純粋な殺意って怖いよな。
まあ、実力差があるので脅威にはならないが。
ジレが慌てている。
キクムさんは落ち着いて槍を構えている。
左手に天地理矛を持ち、右手に生太刀を握る。
左半身を前に出して、半身の構えとなる。
「スゥーーーッ」
俺は思い切り息を吸った。
突き出した左手の天地理矛を一瞬引いてから、呼気とともに突き出す。
「ドラララララララ!」
一秒間に18回の突き、十文字の刃がきらめく矛先は肉眼でとらえることはできない。
一突きごとにフィッシュマンたちの残骸が宙を舞う。
そして、左足で蹴って時計回りに回転して、その勢いで飛び上がる。
「回転斬り(フューリー)」
時計回りに回転しながら、フィッシュマンの群れに突っ込む。
右手の生太刀が近くを切り裂き、その軌道の後をロングレンジの天地理矛が斬り飛ばす。
一回転して着地、すぐさま逆回転、独楽のように回りながら、フィッシュマンを斬り飛ばしていく。
「すげえ!」
ジレが叫んだ。
四回転で60体のフィッシュマンを倒した。
扉の前にキクムさんとジレがいて、俺はその前で戦っている。
まわりには、フィッシュマンの死体が積みあがっていく。
たしかにこいつらは見た目のサイズに似合わず、ものすごい怪力だ。
しかし、俺の膂力はそんなものじゃない。
こいつらが束になってかかってきたところで、俺にとっては雑草を刈る作業でしかないのだ。
フェイントも駆け引きもない、力まかせの攻撃。
まさに群れてくる魚群のようだ。
数と勢いの暴力は、力が及ばない者たちには、それは脅威になることだろう。
しかし、俺は大波流免許皆伝だ。
こんな安易な攻撃がどれだけ打ち込まれても、なんら脅威に感じることはない。
動きの起こりから、どこに攻撃が向かってくるか瞬時にわかってしまうのだ。
これは、叡智の祝福の思考加速と並列演算によって、さらに反応速度と予測精度を上げている。
フィッシュマンの数が減ってきた。
もう20体もいないが、こいつらはある意味勇敢だ。
なにせこれだけやられても逃げるやつがいないのだ。
動物として生存本能があれば、ありえないことだと思うのだが、強烈な催眠とか洗脳でも施されているのだろうか?
さて、あと少しだ。
気が緩みかけたとき、それがきた。
「ムイチあぶない!」
キクムさんが叫ぶ。
唸りをあげて巨大な石が飛んできた。
後ろにはキクムさんとジレ、そして扉があるから避けるわけにはいかないな。
「っつぅ」
生太刀で弾いて次弾に備えるが、次はこない。
そして、そいつらが姿を現した。
「マグロ?」
ちょっと目が点になった。
後方から現れたのは、黒くて巨大なフィッシュマンたちだ。
今までのがサバだとすると、これはマグロってところか?
3メートルはある巨体、手足も太い。
それが4体ほどのしのしと歩いてきた。
向かってくるフィッシュマンを倒し終わって、残るはマグロだけになっている。
「シャアアアア」
「うお、吼えた!?」
マグロが吼えた。
ジレは恐怖で座り込んでいる。
まあ、たしかにでかいし怖いが、俺が脅威を感じるほどではない。
飛び込んで天地理矛で、左端のマグロの頭を斬り飛ばした。
「サッ」
残りの三体が一斉に俺に向けて武器を振り下ろしてきた。
「トゥ」
生太刀で払うと、マグロたちは体勢を崩した。
武器を払った勢いのまま、生太刀を振り下ろして、マグロたちの足を斬った。
崩れ落ちるマグロたちの頭を、天地理矛の三連撃で突き斬ると、地響きを立ててマグロたちは地に倒れ伏した。
「やったな! ムイチ!」
ジレが喜んでいる。
キクムさんはあたりを警戒しているようだ。
「終わりかな?」
あたりはフィッシュマンの死体が積み重なっている。
魚臭くて気持ち悪いな。
一箇所にまとめて焼くことにした。
ジレとキクムさんと一緒に、200近くあるフィッシュマンを集めて山にした。
「いったいなんだったんだろう?」
火魔法の温度を上げて焼き尽くした。
水魔法で消火した後、風魔法で臭気を飛ばした。
「残党がいるかもしれん。村の見回りをしよう」
俺たちは村の周囲を調べることにした。
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