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大国主になりました!

ブックマークや評価ポイントありがとうございます!

 目覚めるとノキの城の一室だった。


 鳥の鳴き声、朝の匂い、なんだかのどかな雰囲気だ。


 どのくらい寝てたのだろう?

 最近働きっぱなしだったし疲れていたのかもしれない。


 そこで俺は修羅場のことを思い出した。

 眠りについてたわけじゃない。

 ヤカミとスセリに問い詰められて意識を失ったんだった。


 そして、俺はさらに気づいてしまった。


 俺のベッドの左右にスセリとヤカミがいることに・・・。


「おはようございます。オオナムチさん」


 スセリがにこやかに笑いかけてきた。


「オオナムチくん、よく眠っていましたね」


 ヤカミも微笑んでいる。


「え?」


 なんだ?

 なにがどうなった?


 なぜ二人とも笑ってるんだ。

 まさかこれは夢か?

 夢ならば二度と覚めないでほしい。


 いや、待て。

 なにかの罠か?


 もしやこれから処刑で、今から最後の朝食とか?

 最後のやさしさ?


 混乱が加速して止まらない。

 しかし、事の成り行きをたずねるほどの勇気は、持ち合わせていないのだ。


 聞くのコワイヨ。


「どうなされたのです? 困った顔をしておられます」


 スセリが俺の顔をのぞきこんできた。


「いやあの、どれくらい寝てたのかなって思ってさ」


 とりあえず無難なところから探ろう。

 慎重にならなければいけない。

 なにせ、まわりはすべて(やぶ)で、蛇があふれている。

 どこを突いても安定して蛇が出る厄介な仕様だ。

 まあ、俺が仕込んだんだけどね。


「昨夜は早くおやすみになられたので、12時間くらいでしょうか。お目覚めはいかがですか?」


 どこまでも丁寧で愛想がよいスセリ。

 なぜだ?

 わからない。

 ヤカミも静かに微笑んでいる。


 うー、これではラチがあかない。

 幸いにもここにはヤカミとスセリの二人だけだし、思い切って昨夜のことを聞いてみることにした。


「あのさ。昨日の件ってどうなったのかな?」


 ヤカミがビクっとして顔を伏せた。

 少し顔が青ざめている。


「えっ? なに?」


「なんでもありませんよ。昨夜のお話ですね?」


 スセリは満面の笑みだ。


「オオナムチさんが倒れられる直前のことは、錯乱していたということで不問となりました。なので后はわたしたち二人になります」


「えっ?」


 なんだっけ? ああ、たしかにヤケになって誰とでも結婚するみたいなこと言ったような気もする。

 あれがチャラになって結婚するのは、ヤカミとスセリとの二人だけになったってことか。


「って、ええっ?」


 ちょっと待て!

 ヤカミとスセリの二人と結婚することにまとまったのか?

 なにがどうなった?


「スサノオ大王が戻り次第、婚姻の儀を行います。わたしが正妻となり、そこに控えるヤカミも后となります」


 スセリがヤカミのほうを見ると、ヤカミがさらに青ざめて目を伏せた。


 これは・・・。

 ヤカミの怯え方で俺は理解してしまった。


 スセリが脅したのだろう。

 ひょっとしたら暴力を振るったのかもしれない。


 スサノオ大王の娘であり、英雄イタケルを物陰で何度もボコボコにしているスセリ。

 実力は十分だと言える。


 あれ、しかしなんでヤカミとの結婚まで許可したんだろう?


「スセリとヤカミと、二人と結婚っていいの?」


 夫婦になるのだ。

 疑問に思ったことは素直に聞こう。


 スセリがヤカミを見つめる。


「ヒッ」


 ヤカミが小さな悲鳴をあげた。


 間違いない。

 これは・・・やってる。


「本意ではありませんが、いたしかたありません。ヤカミさんはイナバ国王の息女なのです。ヤカミさんを娶ることで、イズモ国と同規模の勢力を誇るイナバ国がワ国に統合されるのです。戦を無しに無血で事を成すことは、我が主人であり大王となるオオナムチさんにとって、とても大きなことなのです」


 スセリは丁寧に告げた。

 スセリは俺の妻ではなく、大王の后という立場で判断したのだ。

 嫉妬深いほうなのに、かなり無理をしたのだろう。


「そうか、わかった」


「本意ではありませんけどね」


 スセリの言葉にビクっと肩を震わせるヤカミ。

 かわいそうなんだけど、小動物みたいでかわいいな。


「ヤカミはそれでいいの?」


「うん」


 小さくうなずくヤカミ。


 やばい、二人とも嫁になるってことだろ?

 現実味はないけど、この世界に来てからはそんなことばかりなので慣れた。


 まあ、こんな美少女を二人とも嫁にって、ちょっと心が高揚してどうにかなりそうだけどね。

 まあ、なんとかなるだろう。


「わたしとヤカミさんとの婚姻の話を正式に外交で広めます。これでオオナムチさんが、正式に次期大王として認められることになるでしょう。港湾都市ミホで話し合った国造りを加速させることができるのです。期待していますね」


 スセリが真剣な顔で告げた。


「ああ、必ず幸せにしてみせる」


 俺は大きく頷いた。


 もうすぐ秋だ。

 冬になる前に権力を掌握できたのは大きい。


 イズモの国主と副国主に話を通し、副国主のヤエは俺の配下になった。

 スセリとヤカミ、ミナ、ムル教官と教え子の貴族たち、そしてホヒ、ホヒの連れてきた3万人、ヒナはまだわからないな、まあ、手駒も充実してきた。


 冬の間に死者が出ないように、食料の備蓄や防寒対策の充実に取り組もう。


 そして、同時に交易と海路について視察し改善していきたい。


 気がついたらこれはもう大国主だ。


 いいぜ、やってやる。


 俺は厨二だ!


 最高で最強の国を造ってやるぜ!

これにて第六章完結です。

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