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産声

まずはこのページを開いていただきありがとうございます。小説を書くのは初めてなので正直手探りなので上手く書けているかは全く分かりませんが読んでいただけると嬉しいです。ジャンルとしてはライトノベル的な感じになるのではないでしょうか。

「眠れぬ悪夢の塔」


第一話「産声」


ある日の幸せな夢のお話

二人の男女が楽しく中庭で談笑している。背後には天まで届きそうなほど高い塔がそびえたっている。談笑している人物のうち一人は真紅の髪に蒼穹(そうきゅう)色の瞳を持ったスタイルの良い男性。もう一人は鮮やかな群青色の髪に琥珀色の宝石が埋め込まれたような瞳を持つ穏やかな雰囲気の女性だ。最近なにか良いことがあったのだろうか。女性は特に嬉しそうに男性と話をしている。庭園というには程遠いが質素な庭の中には完成された小さな芸術のような美しさがあり、自然の植物とチェアなどを上手く組み合わせている。男性は少し座りにくいので椅子を動かそうとするが女性に止められているので庭の配置はどうやら女性の方の趣味なのだろう。そんなどこにでもあるとは言えないがこれ以上ない何気ない幸せが続いていた。そんな日だった。ある日天からその周辺に悪夢が降り注ぎ彼女達の世界が悲しみや闇に染まっていく。逃げようとしたってどこまでも追いかけてくる。そんな絶望だった。どうすれば逃げれたのかな…私はもうこの悪夢から逃げることはできないのかな…。誰かを苦しめ続けることなんてきっと楽しいことじゃない。ねぇ、やめて...お願い。どうしてこんなことになるの?私達がなにをしたの...?もう分からないよ...。誰か助けて...。

どのぐらい時間が経ったのだろう。


長く終わらないあの悪夢の始まりから




ここは悪夢の塔。その最も地下の牢屋である。その中で高校生ぐらいに見える短い藤紫色の髪に、宝石が嵌め込まれたような翠玉色の瞳を持っている少女が寝ている。しかし彼女がここがどこかを知るのはあと少しだけ先のお話。悪夢というのは強いストレスや不安、危機的状況に寝不足、硬いものの上で寝ることなどによって血流が圧迫されるなどの理由で見やすくなると言われている。そういう面で言えば彼女はなにかそういう状況にあるのだろうか?

夢によって飲み込まれた意識が朝の目覚めとともにやってくる。暗くじめじめとした空間で目が覚めるのはある意味それはそれで悪夢かもしれない。

「はぁはぁ...。今のは...夢?よかったぁ…」夢にはよく分からない人達が出てきたけどとにかく困ってたよね…夢でよかったぁ…。そう安堵するがよく見ると安堵していられる状況ではないようだ。

「ちょ、ちょっと待って…な、なにここ?」

初めて見るような暗い石室、正面に嵌められた鉄格子、悪趣味な装飾の数々、まるで別の世界に飛ばされたような感覚に襲われる。

「しかもこれベッドじゃなくて硬い石板みたい...」

その上に枕が乗っているだけのベッドと呼ぶのはかなり厳しい…。ボ、ボクこんな物の上で寝かされてたの...?そ、それは悪夢も見るよね…。でもボクはそもそもなんでこんなところにいるんだろ…。昨日はなにして…ってあれ?「昨日何したんだろ?全く覚えてないや…」

昨日だけじゃない。それ以前のことも何も覚えてない。というか思い出せない。こ、こんなこと普通ないよね…。ボクには今記憶がないってこと?でも普通に喋れるし物の名前とかは分かるのに…思い出だけが何も無くて…。昨日のことでも身近なことでもそれ以前のことでも何も自分の中にエピソードがない。だから自分が何故こんなところにいるのかも当然思い出すことはできない。どうして…?思い出がなにもないってこんなに不安なんだね…。お母さんとかお父さんとかはどんな人で何処にいるのかな…?

「でもボクがいるのって明らかに牢屋だよね…だったらボクってもしかして悪いことしちゃったのかな…」

記憶がないだけで自分がなにかしたのではないか?そんな不安に襲われるがよくよく考えるとおかしな点がある。

「普通の刑務所ならもう少し明るくてもいいし…ベッドもせめて藁とかだよね…。なによりあんな悪趣味なものないよね…」

彼女の前には様々な人を模した石像のようなものや多くの生物が混ざり合った異形の怪物の石像のようなものがあった。そうなるとどう考えても合法的な施設じゃあないよね…。だから誘拐だってことは前提で考えといた方がいいかな…。ただ逃げようと思っても記憶がない。どこに逃げるのか家族はいるのか…どうやって育ってきたのかなど。そうなると…

「ボ、ボクってもしかして今すごいピンチなんじゃないかな…」

正直どう考えても大ピンチとしか思えないし安心できる材料がなにもない。だがしかし行動しないことにはどうにもならないので一旦牢屋の中を探索してみようと立ち上がろうとしたその時足元からジャラっと音がした。

「うぅ…お、重たい…あ、足枷…?こんなもの嵌められたことないよ…」彼女の右足には金属製の足枷が嵌められており鎖で牢屋の壁に繋がれていた。

「でも鎖の長さ的に牢屋の中だけなら歩けそうだね」

右足を引きずりながら正面の鉄格子の方に向かっていく。扉の鍵が空いているなんてことは無く触ってみると冷たく金属光沢が反射してきて本当に牢屋なんだと実感させられる。だけど…手は鉄格子の間を通れそうだから鍵があったら中からでも開けられるかも…?でもそんなに都合良く鍵なんて落ちてないよね…。牢屋の中は正面に扉付きの鉄格子が嵌めてあり後ろにベッドがありその近くには机や植木鉢などが申し訳程度に置いてある。

「う〜ん…これじゃあなにもできないし何か覚えてることないかな…そうだボクの名前…」

ボクの名前は莉々(りりみや) 甘音(あまね)お父さんとお母さんが付けてくれたはずの大事な名前だ。今はその二人のこともなにも覚えてないんだけど…。ただすることもないので、不安な気持ちを押し除けながら探索を続ける。「あれ?あんなところに窪みがあるよ?なんだろう?」ただ、ベッドの上の少し高い位置にあるのでベッドに登り背伸びをしてなんとか覗いてみる。足枷の鎖の長さ的にはかなりギリギリだ。

「あ!これ鍵だよ!もしかして牢屋の鍵かな?」

よし…これがあればここから出られるかな?あ、でも足枷もあるし第一こんなところに鍵なんて置いておくわけないよね…じゃあなんの鍵だろ?で、でも一応扉にも試してみようかな…。縋るような思いで鉄格子の隙間から腕を出し鍵を差し込んでみる。

「あ…空いた!?」予想外のことに開いた方が塞がらない。ほ、本当に開くんだね…。でも足枷をどうにかしないと外には出られないし…。も、もしかしてボクをぬか喜びさせるための罠!?でもそんなことする理由もないよね…。結局はこの後どうするかは思い付かず途方に暮れてしまった。

「う〜ん…一旦大人しくしとこうかな…誰か来るかも分からないよね」

莉々宮はベッドに腰を下ろして深く息を吐いた。いきなり見知らぬところに囚われて記憶がないのだから無理もないだろう。数分後…

「だ、誰も来ない…」まだ数分しか経ってないしそういうものなのかな?い、いやでもそれにしても物音一つしないというかボク以外誰も居ないのかな…。

「よし。考えてもしょうがないし鎖を引っ張ってみよう!ボクの想像よりも鎖が脆いかもしれないからね」

扉の前に行き地面に踏ん張って全力で足を動かす。

「はぁ…はぁ…お、重いし痛いよ…」

全力で足を動かしても鎖は無慈悲にビクともせず鎖の音が鳴るたびに囚われてることを実感させられる。足枷は外れる気配はなく鍵穴のサイズも扉の穴とは違いそうだ。

「う、うん…あ、痛…」

足に力を込めすぎた代償か思わず地面にへたり込み尻餅をついてしまう。ただ、その時地面に奇妙な模様が描かれていることが目に入った。鉄格子と足枷が合体したようなデザインのものとそれを握る人の腕のようなものが描かれている。「さ、さっきまでこんなのあったのかな…?も、もしかしてボクの注意力が低いだけ…?」

い、いや流石にそんなことないよね…こんなものさっきまで無かったはずだしボクが鎖を引っ張ってる間に誰かが魔法で描いたのかな…でも一体誰がそんなことしたんだろ…。

「でも誰かが描いたってことは意味があるはずだよね?なら…鉄格子と足枷を一緒に握ればいいのかな?」

両手を後ろについて手のひらに力を込めてまた尻餅を着きそうになるのをなんとか我慢して立ち上がる。足枷の嵌められた右足はまだ重く鉄格子に向かう足取りは心なしかゆっくりになっていた。莉々宮の頬も疲れと蒸し暑さのせいかほんのり赤らんでいた。

「足を引きずりながら歩くの結構恥ずかしいんだよね…ボクが悪いことをしたみたいな気分にもなってくるし…」

そんなことを考えながらも鉄格子のとこまで辿り着き、足枷に触れるようにしゃがみ込む。これに足枷を掴んで力を込めたらいいのかな?左手で鉄格子を掴んで右手で足枷を掴んで…

「えい!」

莉々宮がこの二つを強く握った瞬間鉄格子の一部と足枷が光り輝き、鉄格子の一部が溶けて莉々宮の体の中に入ってくる。え、え?ど、どういうこと…鉄格子がボクの体の中に入って…。

そのまま莉々宮の体を通り抜けてその光は足枷の中へと入っていく。すると足枷もそれに応えるように形を変えて変化していく。

「これは…ヌンチャク?足枷と鉄格子が合体してヌンチャクに変化しちゃったってこと!?」

原理はよく分からないがどうやらそういうことらしい。このヌンチャクはなにかあるかもしれないので念のため持って行っておこうと思う。普通に考えたら有り得ないしこれがボクの魔法ってことなのかな?鉄格子と足枷をくっつけちゃう魔法…。うん。なんの魔法なのか全然見当がつかないや…。

「で、でもこれで足枷が外れたってことだよね!よかったぁ…この牢屋からじゃあ出てみよう」

莉々宮はヌンチャクをもって牢屋から出てみる。牢屋の外は少しひんやりしており、うっすらと風が吹いている。大きく背伸びをして外を満喫するが外というにはまだ程遠い。

「やっぱり監獄みたいなとこなのかな?でもダンジョンみたいな感じもするね…」

周りを観察してみるが他に牢屋は見当たらない。どうやら他の施設などとは離れた場所にあるみたいだ。「ボクだけ離れたところに捕まってたのかな?他にも捕まってる人がいるかもしれないしちょっと周りを探してみようかな」目の前にはさっきほど見かけた生物が混ざり合ったような石像も置いてある。この石像なんなんだろう…普通の動物とか魔物でもないし気味が悪いや…。牢屋と石像の配置的に石像に監視されているみたいだしこんな所にずっと入れられてたら気が滅入っちゃいそうかも…。懲罰房的な部屋なのかな?誘拐犯がそんな施設を持っているとも思えないけど…。

「こんなもの見ててもいい気分はしないしあっちに分かれ道があるから行ってみようかな」

進んだ先には分かれ道があり右側と左側に分かれておりどちらの道からも微かに物音が聞こえてきます。う〜ん…どっちに行くべきなのかな?一旦物音が大きい左の方に行ってみようかな?誰かいるかもしれないし…。

左側の通路は道が大きく開けているが魔法の灯りが少ないため壁を触りながら歩かないとすぐ方向感覚がおかしくなってしまいそうでもあった。

「これじゃあ早く進めないなぁ…もしかしてボク以外の捕まえた人達が牢屋から出た後に早く逃げ出さないために暗くしてあるのかな?」ボク以外にも、もしかしたら捕まえてるって考えるとそういうこともあるかもしれないし…。壁に沿って歩いていると徐々に反対側が見えてくるが少し開けた明るそうな雰囲気の場所ということがここからでも分かった。

「でも罠とかは今のところないんだね。ダンジョンとか監獄みたいな雰囲気の場所だし罠とかが置いてあってもおかしくないと思ったけど…」

通路を渡り終えると予想通り開けた場所に出た。体育館のホールのようだがドーム状にになっておりよく見ると闘技場のような雰囲気も感じられる。壁の付近は穴になっており底が見えないぐらい深く続いているようで落ちたら帰ってくることはできないだろう。ひぇ…ここは絶対に落ちないように気をつけないと…。壁の上部分に魔法の灯りが灯っており幸い明るさは確保されているようだ。穴の手前には石像や武器に樽なども設置されているが用途は今のところよくわからない。前方には大きな石の扉があるが鍵穴があるわけでもドアノブがあるわけでもなくシャッターのような仕組みになっており開く気配はなかった。うーん…ここには何もないのかな?何か物音がしたと思ったけど…それなら反対側に行ってみるしかないかな…。そう思った矢先まるで見計らったように正面の扉が段々と上に向かって上がっていき中からなにかが出てくる。驚いてそっちを見てみると中からは狼の姿に尻尾の部分に蛇がついており、コウモリの翼というキメラとも微妙に違う生物が出てきた。しかもサイズ的には普通のオオカミよりもかなり大きく3メートル急のサイズである。

「あ、あれは…魔獣!?ボクが来たのを見計らって誰かが解き放ったってことだよね!?で、でも誰がどうしてそんなことを…」

莉々宮がそんなことを考えているが、無慈悲にも魔獣は待ってくれない。魔獣というのはこの世界に生息している凶暴な生物で人間も捕食対象としている。そのため魔獣が出ないように街道には魔獣避けが定期的に設置されており、基本的には山や森、火山など人気(ひとけ)が少ないところに生息している。また普通の動物などと比べると知能が高く罠で捕えることは高度な罠でないと難しく街中に行くと兵士などがいるので街中には近づかないようになっている。つまり魔獣から見た莉々宮の認識は生きた餌を与えられた程度のものである。ど、ど、ど、どうしよう…魔獣と戦った記憶なんて無いしどうすればいいのかな…ま、まあ他の記憶もないけど…。魔獣が翼を広げ莉々宮を目掛けて滑空しながら襲いかかってくるのでなんとか左にローリングで避ける。莉里宮のスカートの先に少し魔獣の翼があたったが間一髪で回避することができた。魔獣は莉々宮の予想外の速度に驚き空中で減速することができずに軽く地面に頭から衝突した。流石の魔獣もこれには応えたようでよろけながらも空中に飛び上がり体勢の立て直しを計っている。幸い莉々宮は小柄で運動能力も高い方なのである程度は逃げ延びることができるだろう。ボク多分だけど誘拐されてるんだよね?なんで魔獣に襲われる見世物みたいになってるの!?莉々宮はそんな理不尽に襲われて正直泣きたい気持ちだろうが、次の行動を考えなければならない。周りに樽があるよね?あれぶつけたら魔獣でも結構痛いんじゃないかな?そんな淡い希望を抱きつつも莉々宮は樽の近くに全速力で駆け寄る。魔獣は滑空を初め莉々宮に躱された時、地面に衝突した反動でまだ少しよろけているようだ。流石に飛んでいる時は届かないし…近づいてきたとこを狙うしかないのかな?多分さっきと一緒でボクの方に突撃して来ると思うしさっきよりはゆっくりくるからぶつけやすいんじゃないかな?莉々宮の予想通り魔獣は翼を大きく羽ばたかせながら先ほどと比べて少しゆっくりに突撃してくる。莉々宮は恐怖で腕がプルプルと震えているがしっかりと樽を持ち上げて魔獣に向かってタイミングよく投げつける。

「よいしょ。これを持ち上げて…えい!」

樽は勢い良く宙を舞い魔獣の体に衝突し黒い液体を撒き散らしながら破裂する。木の破片が魔獣の体に突き刺さりその皮膚を傷つけていくが決定打となるようなダメージは感じられないが確かに莉々宮の攻撃が通っているということは感じられた。しかも樽の中には墨が入っておりそれが魔獣の顔面に広がり視界を奪う。

よし…これなら今のうちにヌンチャクで攻撃を…。

そう思うが魔獣が樽に当たったことで暴れだしあたりで大きく羽ばたく。

「うわぁ!?」

莉々宮の体を目掛けて魔獣の翼がまるで刀のようにやってくる。そのままぶつかれば軽傷では済まないだろう。ヌンチャクを自分の体と魔獣の翼の間に入れてなんとか体への傷を防ぐが後ろへの衝撃には耐えられず飛ばされて壁に一直線。ま、まずい…このままじゃあ穴の下に落ちちゃうから…体を傾けて…。莉々宮は体を少し前傾にして足を壁側に向けて足で壁を蹴り反動で中心側に戻ってくる。ふぅ…あ、危なかった…後一歩で落ちちゃうところだったよ…。でも樽をぶつけるのは上手くいったね。でもボクも服が一部破けてちょっと擦り傷ができちゃったけど…。いや、まだ魔獣を倒さないと安心できないかな?頑張らないと…。魔獣は興奮状態になっており、激しく飛び回っている。視界は遮られ嗅覚が一時的に麻痺しているので莉々宮を見つけるには時間がかかりそうだが、聴覚は働いていると思われるため動くとすぐ見つかってしまう可能性が高い。迂闊には動けないよね…。ヌンチャクで戦ってもあの巨体だと暴れられてるうちに力負けしちゃう気がするし…どこか弱点とかないのかな?と、莉々宮がそんなことを考えていたその時魔獣が莉々宮の方向を目掛けてタックルをしてきた。ま、まずい…こっち来るよね…。でも逆にチャンスかも。あの魔獣に飛び乗っちゃえばかなり戦いやすいかもしれないからね。目は見えてないはずだし…ならこうすればいいかな?莉々宮は軽く地面をヌンチャクで叩き音を発生させる莉々宮の予想通り魔獣は魔獣は音の方に一直線で向かって来たので莉々宮は急いでその場を飛び退いて離れる。魔獣は音の方に来ても空振りだったことに困惑しているが今は少し動きが鈍くなっている。

よし…これで飛び乗れば…。そう思い莉々宮は横側から魔獣に近づいて飛び乗る体勢を取り高くジャンプする。だが、そこで一つ想定外の出来事があった。魔獣の尻尾の部分になっている蛇と目があったのだ。その瞬間バサりと魔獣が羽ばたいた。

「うわぁ!」

流石の莉々宮もこれには対処できないようで魔獣の翼が直撃し後ろに大きく弾き飛ばされ、腕の辺りから多少の出血がある。も、もしかしてあの蛇に見られたから魔獣に飛び乗ろうとしてることがバレたってこと…?

余談だが蛇の視力はあまり良くないのだが動いているものを捉えるのは得意であるため今回は莉々宮がジャンプしたことを認識してそれを本体の魔獣に伝えたため、魔獣に莉々宮の場所がバレたという感じだ。

正直言って状況的にはかなり不味い。莉々宮はあまり決定打となる攻撃の手段がないが魔獣はあと数発攻撃を当てるだけで莉々宮を倒すことが可能だろう。ボクは一旦どうすれば…あの羽根さえなければもう少し戦える気もするんだけど…。あ、でも頑張れば羽根をなんとかできるかも?一か八かだけど…やってみるしかないよね!

莉々宮は覚悟を決め魔獣に向かって素早く走り込むが魔獣は軽く羽ばたいてそれを避けようとする。狙うなら垂れ下がってるあそこだよね。莉々宮はジャンプしてヌンチャクを魔獣の尻尾である蛇に目掛けて振り回した。後ろ側には魔獣も攻撃手段が無く上に羽ばたいて避けようとするが莉々宮の攻撃が当たる方が一足早い。だが蛇に直撃したわけではなく軽く当たった程度なので時間が経てばまたすぐ目が覚めるだろう。だが視覚を共有している蛇が一時的に気絶したことで魔獣は少し高度が下がり慌て出した。

今がチャンスだよね!ここで魔獣に飛び乗って羽根を使えなくしないと…。莉々宮はジャンプで魔獣の背中に飛び乗って一旦魔獣に跨り、魔獣の毛を掴む。魔獣も莉々宮を振り落とそうと体を左右に揺らして応戦する。

結構動きが激しいけどこのぐらいならなんとか耐えるよ。じゃあこのヌンチャクを羽根に巻き付けて…。莉々宮は立ち上がり羽根の上部分に一瞬でヌンチャクを巻き付けていく。

このままじゃあすぐ解けちゃうからヌンチャクの先と先を手で持ってくっつけて…

「えい!」

莉々宮がヌンチャクの先同士をくっつけると両端が光輝き接合され、魔獣の羽根を上手く一巻きに縛り上げる。羽根が縛られた魔獣は浮力を失い地面に落下し、そのまま石像に衝突する。その衝撃で石像からは石の破片が飛び散り魔獣のあちこちにも傷が見られるようになった。だが大きく落下した衝撃で莉々宮も魔獣の背中から振り落とされ、ごろごろと転がっていく。

「あ、あの落下でもまだ動けるの...?」莉々宮は落下の衝撃であまり早くは走れず、体中にもある程度傷が目立ってきている。ど、どうしよう…。ボクの見立てでは石像にぶつかったあと衝撃で壁の周りの穴に落ちる予定だったんだけど…。

先ほど気絶させた蛇も目を覚ましており、少し動いたら場所がバレてしまいそうである。ヌンチャクも使っちゃったし…どうにかしてあいつを落とせないかな…。その時魔獣が聴覚を頼りに莉々宮に向かってタックルしてくる。こ、こんな所で終わりなの…?そんな思いが頭をよぎりなにかできることはないかと先ほど砕けた石像の破片をえいと投げつける。こんなものを投げた所でどうにもならないと思うけど…。ふらつく体で投げられた石は魔獣を外れ壁付近の穴落ちてゆく。その石に魔獣の尻尾の蛇が反応した。魔獣が方向転換を進め、その石の方に飛び込んでいく。だが当然石が落ちていったのは先の見えない奈落であり、翼の縛られた魔獣はその果てのない奈落から逃れることはできず真っ逆さまに落ちていく。先程も解説したが、蛇というものは目があまり見えておらず動いているものに反応する。つまりこの瞬間最も激しく動いていた石のことを莉々宮だと勘違いして本体の魔獣に報告したということである。

「え…?」ボ、ボク大丈夫だったの…?か、勝てたってこと…?緊張が一気に解けたのか莉々宮は地面にどっと尻餅をつく。「あ、痛た…」

で、でもボク生き残ったんだよね!?よ、よかったぁ…。魔獣には勝てたけどもう体はボロボロだよ…。それにあの魔獣も一応生き物なんだよね…。莉々宮の胸にはどうしようもない虚しさも残っていたがそれを気にしていてはここからやっていけない。静かになった闘技場を背にゆっくり立ち上がり、莉々宮は来た道を引き返していく。

「反対の物音がしたほうに行ってみようか…誰かいるかもしれないからね」

そんな莉々宮の背中を砕けた石像が見つめていた。


悪夢はまだまだ始まったばかりである。



最後まで読んでいただきありがとうございます。冒頭のやつはよく分からなくていと思いますがまだよく分からなくて大丈夫です。というかむしろ今理解されたら怖いですから。私は小説は割とキャラの細かい会話とかをうだうだ書きたい派なんですがやっぱり小説だと会話だけしてて展開が進まないってわけにもいかないのでわりとスピーディーに行く感じになるかなって思いますね。まあそもそもキャラが一人しか出てきてないので会話をすることもまだできないんですが、次ぐらいには新キャラも出てくると思います。ただ、学校の説明が下手な先生とか会社の説明がよくわからない人とかと一緒で自分は背景とかが分かってるからしないといけない話を省いちゃって逆に描写不足になるってことはたくさんあると思うんですよね。だから書かないといけないとことあえて書かないとことかはしっかり見極めていかないとダメな感じがしますね。牢屋の中に鍵が置いてあったりとかはまあ描写不足もいいとこですけど一応それは終盤ぐらいに理由が判明するというかまあ予想できるぐらいになるのかな?鍵はまあ考察要素ぐらいですかね…。そんな熱心にこれを読んでくれる人がいる可能性は低いですけど…一応まあ作っときますって感じですね。戦闘シーンとかもかなり書くのが難しいんですよね。語調とかもどうすればいいかが難しいんですよね。有名な小説の好きなやつがあるのでやっぱりそれを読み返しながら書いた方がいいかなって感じがしますね。なんか本編で宣伝をしたらダメみたいなことを書いてましたけど、ここでは別に名前出してもいいのかな?まあそんな感じでなんとか上達して行きたいですね。魔獣の倒し方のあたりとか理解できましたでしょうか。戦いの勝ち方は意外と現実路線的な感じになる予定ですが、後半になってくると段々ファンタジー感が増してくるんじゃないかなって思っています。今回の文字数的には本文が8500字程度ですがこれを書くだけでも結構大変ですね。投稿的には週一ぐらいのペースで一応頑張りたいと思っていますが二週間に一回ぐらいが現実的なのかなという気がします。今回の作品を気に入っていただけましたら是非次回も見ていただけると嬉しいです。

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