表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第3章】フォレスト・レンズ家編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/264

【第157話】本物の騎士

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理矢理すぎだろ」など思うかもしれませんが、そこはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

アクロ・アイト

オリビエ・ペル

メアリー・フォレスト・レンズ

ライカ


ヨイ

ゼレン・フォレスト・レンズ

リメア・フォレスト・レンズ

 こいつ……乱暴に剣を振るだけじゃない。一つ一つの動きにちゃんと意図がある。舐めてかかったら死ぬな……。

 荒々しくぶつかり合う剣と剣は、金属音を轟かせ、その勢いを(とど)めることを知らない。

 あの男、いざとなったらリメアを抱えたまま逃げる気だな、このままこの三人倒しても逃げられたら意味がない。

 ゼレンは一旦引いて、息を整える。それとこの乱入貴族……誰かは知らんがリメアを助ける気らしいし助けてもらおう。

「おいあんた、一人頼んだ。残りの二人は俺が相手するから一人を倒したらあのリメアを抱えてるやつにいってくれ」

 自分より若い貴族、まだ十一、ニあたりの少年に小声で話しかけた。先ほど怖いのか噛みまくっていたが……なんかいい感じの剣も持ってるし戦えるのだろう。

「放さないって言うなら……、少しは痛い目見ることになるぜ!!」

 ゼレンはそう威嚇してから、剣を振りかぶりまた男に斬りかかる。

「馬鹿が! こんな上等みすみす見逃すわけねぇだろうが!」

「じょ、上等……ふん、盗賊のくせに少しはわかってるじゃない」

「あ?」

 横から何が聞こえたが、ゼレンは構わずに剣戟を続ける。

「お前らがやってることは非道だ! 人を誘拐して奴隷として売る!? 寝言は寝て言えよ!!」

「ばぁーか!! あいつはいい商品だ! まだガキなのに愛想と愛嬌がある! 育て方によっちゃぁ二百万……いや五百万はくだらねぇ!」

「ご、五百……!? ふ、ふーん、まぁ妥当ってとこね……でもまぁこの私なんだし当たり前かしら?」

 もうあいつ黙ってくれないかな。

「……、とにかく妹は渡さねぇ、必ず返してもらうぞ下衆どもが!」

 と、その時。

「フグっ、ゲボッゲボッ!! ……はー!」

 後ろから誰かが転がる音と、苦しそうに息を吸う音が聞こえた。反射的に振り返ると、先ほどの貴族が地面に膝をついて咳き込んでいた。

「おらおら、斬るとかなんとか言ってたよなぁ? やってみろや!!」

「フグっ! ぐっはぁー!!」

 何してんのあいつ。鳩尾(みぞおち)に蹴りを入れられる少年は、血反吐を吐いて吹っ飛び、建物の壁に当たる。

「この街はお前らみたいなボンボンが来る場所じゃねぇ、俺たちゴミのゴミ溜めだ。消え失せろ!!」

 そこに関しては同意見だ。あいつらみたいな金持ちとは文字通り住む世界が違う。あいつらが毎日いいベットで寝てる中、俺たちはうっすい毛布で横になってる。この戦争で襲われやすい所で生きてる中、あいつらは安全な内地で暮らしている。

 不満はある、あるけど……だから別に恨んでるわけじゃなく、ただ関わりたくないだけだ。

 どうせただの金持ち、日々苦しんでる俺たちに敵うわけ……。剣で押し合っている時、チラッと振り返る。その時。

「まだだ!!」

 バシッと地面に手をついて、そうよく響く声で叫んだ。少年を蹴った男は驚いて目が点になって固まった。

「まだ、諦めるわけにはいかないんだぁ!」

 いや『まだ』って、まだ"一回目"をしてないだろ。いきなり吹っ飛ばされてるじゃねぇか。

「あーそうかよ!!」

「ブハッ!!」

 冷静さを取り戻した男は、這いつくばる少年の顔面を蹴り上げた。少年は鼻血を吹き出しながら転がる。

「おい! 大丈夫か!? ――ッ」

「おいおい、よそ見かよ、余裕だなゼレン!!」

 助けようにもこいつが邪魔だ。でもチンタラしてたらあいつが逃げちまうかも……クソ!

「おいあんた! 戦えないなら逃げてくれ、正直足手纏――……、いや助けようとしてくれたのは嬉しいけども!!」

 あいつに構っている時間はない。しかし少年は全く心中察してくれずに歯を食いしばり、足をダン! と立て、膝に手を当てて顔を上げた。

「それでも……、泣いてる女の子を前に、逃げるなんてボクにはできない!!」

「いやその覚悟はいいけど気持ちに身体が追いついてないと言うかな……」

 曇りなき眼で言い張る少年はフラフラと、剣を杖のように使い立ち上がる。いやまず剣を構えろよ、完全に支えに使ってんじゃねぇか何のための剣だよ。

「いろいろ言いたいことあるけど、頼むから――」

「おいおい、無視すんなっつってんだろが!!」

「おい邪魔すんな!」

「うっせ! 俺を除け者にすんな!」

「そうかよ、じゃあ相手してやるよ!!」

 ゼレンはとりあえず少年にはもう少し耐えてもらい、先にこいつを倒すことにした。

 そして、パンと剣を弾かれた。男はニヤッと悪態に笑い、剣を思いっきり引いてゼレンの腹目掛けて突き刺す。

 その瞬間、ゼレンはぐいっと体を逸らして剣を(かわ)した。それと同時に剣を手放し、拳を握る。

「お前の敗因は、俺を剣士と思ったことだッ!」

 グリンと体を回転させ、男の赤っ鼻を思いっきりぶん殴った。パキパキと骨が砕ける音が聞こえた。男はすっ転んで鼻を抑えて悶絶している。

「ふん。さて、次はお前か?」

 地面に転がる男を横目に、ギロッともう一人を睨む。ヒョロとした体格のそいつは「ヒョヒョ」なんて、尋常じゃない笑い方をしながらユラ……と歩く。なんだこいつ気持ち悪いな。てか何あの剣、湾曲(わんきょく)して……特殊だなー。まぁどうでもいいが。

「仲間が痛み目見る前に妹を解放した方がいいぜ?」

 最後の警告として、リメアを拘束している男に、あえて余裕の笑みを(たた)えながら言う。

「……なんか勘違いしてないか、お前」

「あん?」

 しかしそいつは、ゼレンとは真逆の、ゼレンを見下す笑みを繕いながらグイッとリメアを持ち上げた。リメアはゲェと顔を顰める。

「こいつは人質でもあるんだぜ? それ以上何かしたらこいつが死ぬぜ?」

「アホか? 上等の商品を殺すのかお前は?」

「ガキが、金と命、比べるまでもないだろ?」

 その瞳からブラフを言っているとは思えない。どうやらその気になれば本当にリメアを殺す気だろう。ゼレンは口を(つぐ)んで男を睨む。

 こいつ……覚悟が決まってるタイプの男だ。めんどくせぇ。チラッと後ろを見れば、少年はもはや(なぶ)り殺される数秒前レベルで瀕死状態。

「……、分かった。何もしないから妹を傷つけないでくれ」

 ゼレンは剣をポイと捨てて手を挙げた。すると先ほど殴った男が涙を浮かべながら立ち上がる。少年を痛ぶっていた奴も理解したのか、首を絞めていた少年を放し、仲間の元に戻った。

「さて、じゃあそうだな……、お前らどうしたい?」

「もう殺しましょうぜ? 目撃者は少ない方がいいでしょ」

「いやいや、その前にこの男の前でこの女犯しましょうよ。いい顔で泣きそうですよ」

「商品はなるべく傷つけないし、そんな趣味はない」

「お前ロリコンだったのか……ま、まぁ別にいいと思うぜ? うん……」

「うへ?」

 盗賊たちが団欒(だんらん)している間に、ゼレンは手を挙げたまま視線を巡らせ打開策を模索する。しかし、どの手もリメアが先にやられてしまう、打つ手なし。

「ヨイが来てくれたら……」

 ボソッと苦笑する。しかし実際ヨイはどこに行ったのだろう。あのまま帰ってしまうほど冷酷ではなかったはずだけど……まぁ戦えないと判断して出てこないなら、あいつよりかはマシか。

 今の瀕死状態の少年を脳裏に浮かべた後、バレないよう小さくため息を吐く。

「それよりあのガキどうします? 殺しますか?」

「まぁ放置でいいだろう、どうせすぐに死ぬさ」

「……」

 参ったな。

 ゼレンは万事休すとゴクリと固唾を飲んだ。

 その時。

「シン様! ご無事ですか!?」

「シン様!! ――ッシン様!?」

 いきなり細い路地から二人の大人が入ってきた。二人の男性は辺りを一瞥(いちべつ)した後、倒れている少年に駆け寄った。

「シン様! シン様!! おい早く回復ポーションを……!!」

「ダメだ! 今持ってるのは服用(ふくよう)系のポーションしかない! この状態で薬を飲むの不可能だ!!」

「ちくしょうっ! 俺が目を離さなければこんなことにはっ……!! とにかく早く医者に連れて行くんだ!」

 その背格好は気高く凛々しい、全ての一挙手一投足に隙がない。間違いない、本物の騎士だ。となると、その子供の護衛といったところか。

 このチャンスを逃すわけにはいかない!!

 ゼレンは飲み込んだ固唾を吐き出すレベルで叫んだ。


「そ、そいつらがやりましたァーー!!!!」


 ビシイィぃと指差して騎士たちに告げた。すると盗賊たちは「なに!?」と驚いた様子で後ずさった。

「……君は?」

「俺はあいつらに誘拐された妹を助けるために戦っていました! シン様をボコったのはあそこにいるごついやつです! やっちゃってくださいよォ!」

「は!? お、俺はやってねぇですよ!!」

 男はブンブンと手を振って否定する。しかしその手は血でべっとり濡れていた。

「ほう、随分舐めた真似をしてくれたな愚民……、我が主人を愚弄するとはな……」

 騎士の一人が激昂(げきこう)した様子で盗賊たちの前に立ち塞がる。盗賊たちはあぅあぅ言って狼狽している。

「お兄ちゃん人任せダサい」

「うっせ、この街は利用できるもんは何でも利用する、そういう助け合いの街だ」

「助け合いとは……? ――きゃっ!」

 当然グイッとリメアは肩に担がれた。そのまま男は立ち去ろうと振り返る。

「ふざけんなよ騎士なんか相手にできるか……おいお前ら足止めしとけ!!」

「はい!!」

「ちょっ! 離っ、ちょっ、変なとこ触んないで!!」

 暴れるリメアを抑えつけながら走り出した男は、反対側にあった細い路地に走り去って行った。

「ま、待て!!」

「少年! 君は彼を追え! こいつらは私たちが食い止める!」

「え、あ! ――助かる!!」

 無礼ながら叫んだゼレンはひょいひょいと壁を飛んで盗賊たちの頭上(ずじょう)を飛び越えて逃げたやつを追う。

「逃がさねぇ、必ず返してもらうぞ……!」

ご精読ありがとうございました。

毎週平日の朝に投稿してくので次回もぜひ読んでください。

シャス。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ