教導支援
総合評価が50を越えましたありがとうございます。
「一学年のケイです、今日は一日よろしくお願いします。」
俺はぺこりと頭を下げる、俺の目の前には下級クラスの生徒が30人ほどが座って俺の自己紹介を聞いていた。
「えー、紹介の通りケイ君は上級クラスのみんなと同じ一学年で生徒会に所属しているということで今日は皆さんのサポートと言う形で来て貰いました。」
俺は今生徒会の業務で下級クラスのダンジョン攻略授業のサポートに来ていた、話によると教員が足りないらしく、その空きを埋めるために生徒会のメンバーが招集されることは良くあることなんだそうだ。
班決めも済んだようで4,5人のグループで談笑が始まっている、俺の他にも同学年ということでメイとルーク、ウィルの三人が生徒会から来ていた。俺たちは数の足りないグループや、力量の危ぶまれるグループに振り分けられることになった。
「お久しぶりですケイさん!まさか生徒会に所属してるなんて…やっぱり凄いですよね!」
俺は振り分けられたグループに行き軽く挨拶を交わすとそのメンバーの一人の少女に話しかけられる、何処か見覚えがあるような…。
「久しぶり、そっちはどう?」
俺は思い出す時間を作るため雑に話題を相手の少女に振ると少女は息継ぎも忘れたかの如く俺に近況を話しかけてくる。少女のアルバイトの話にさしかかった辺りで彼女が元受付嬢のエリーだったことを思い出す、俺は適当にエリーも頑張ってるねと名前を交えて返すと彼女は顔をパッと輝かせた。
会話もそこそこに一団は目的地である初級のダンジョンに到着した、今回はダンジョンの基本的な知識の講習と魔物を実際に殺める事を目的とした授業と言うことで生徒たちの空気も緊張感に満ち張り詰めている、多くの生徒が実際に魔物を殺したことが無いらしく慣れさせる事を大きな目標に据えていると事前に教員から聞いていた。
「みなさーんダンジョンにはトラップも存在します、ここは初級なので大がかりなトラップはありませんが頭の片隅に常に置いておくようにしてください。」
教員が生徒の一団を引率しながら次々とダンジョンに関する注意点を述べている、生徒の中には歩きながらノートを取っているものもいた、その勤勉さがあって何故下級クラスにいるのか?と言う疑問は口の中でかみ殺した。
時折魔物が出てきて悲鳴が上がっているがルークやウィルを見るに基本的に生徒に任せているので俺も特に手を出すことはしなかった。人間に近いゴブリンを殺める事に忌避感を持つ生徒は多いらしくなかなか苦心している様は見ていて飽きなかった。
奇襲気味に飛びかかってくる魔物はとてもじゃないが生徒たちには反応できない、驚きと恐怖で俺の班のエリーたちも体が固まってしまっている。まぁ仕方あるまいと片手で飛びかかってくるゴブリンをパンと払うとゴブリンは地面に肉塊をぶちまけた。
一際大きな悲鳴が生徒たちからあがる。
「ケイ…それはないよ…」
ウィルは冷めた非難の目を向けてくる、引率の教員も若干顔を青くしている。
「あ、あぁ申し訳ない…」
「ケイの謝罪って結構レアなんじゃねーのか?」
ルークは若干ニヤつきながら俺をおちょくるとメイも口に手を当てて軽く笑っている失敗したなと思わざるを得ない、俺はわざとらしく咳き込むと気持ちを切り
生徒の一団は皆一体は魔物を倒すことに成功していた、最初の緊張感が嘘のように皆笑顔でお互いの健闘をたたえ合っていたりしている。途中俺のまねでもしたかったのか武器を使わずゴブリンに挑み軽い傷を負った馬鹿もいたらしいが特に大きな問題は無く全五階層の四階層目まで来ていた。
「ご苦労様です生徒会の皆さん、いったん休憩を挟んでからダンジョンボス前にある大扉を生徒たちに見せてボスエリアには入らずに帰校しようと思います。」
引率の教員は額に浮かぶ汗をハンカチで拭いながらそう言う、今回のメンバーのリーダーはウィルということを事前に決めていたので教員の応対は基本ウィルに任せていた。ウィルは帰校についてのルート取りなどを教員に聞きながらメモを取っていた。
そんなウィルをぼんやり眺めていると後ろから声がかかる。
「なにぼさっとしてんだ?」
「いやウィルは真面目だなと思ってな。」
ルークの呼びかけに俺は体ごと向きなおる。
「お前が武器を使ってるところを見たことがねえけどなんかこだわりでもあるのか?」
ルークは腰の直剣に手を当てながら不思議そうに問いかけてくる。
「いや特にには無いが?」
「そうか…お前は素手でも十分に強い、それはここ数日でよくわかった。ただお前も今や生徒会としての立場がある。」
「話が見えてこない何が言いたいんだ?」
眉をひそめ俺はルークに問う。
「生徒会は良くも悪くも注目の的だ、不特定多数の憧れになることもある。お前が素手で戦えばお前のファンはまねするかもだろって話さ。」
ルークは先ほどゴブリンに素手で挑んで怪我をした生徒のことを言っているのだろう。なるほどと思い顎に手を当て思案する。
「ファンがいるかは置いておいて、危険なまねを他の人間にさせないためにも武器を持てと?」
「素手の方がやりやすいのであれば無理にとは俺も言えない、けどお前の話を聞くにまだまともに武器を試したことも無いみてじゃないか?試しに…ってのは全然ありだと俺は思うんだけどな。」
「一理あるな、考えておく。」
俺がそう言うとルークはきょとんとした顔でこちらをのぞき込んでくる。
「なんの顔だそれ?」
「あ…いや、お前が俺の提案を素直に聞くとは思ってなかったからな。」
ルークは軽く笑うと俺のそばから離れてウィル元へと歩いて行った、俺が他人にどう思われているのか…少しわかった気がした。少しずつ身の振り方もわきまえなければと思う。
休憩を終えた後五階層へ下りボスエリア前の大扉で教員の講義が始まる、数十分で終わるとの話だったので俺たちは一定の間隔を開け魔物が講義の邪魔をしないように見張ることになった。
基本ボスエリア前では魔物が出現することは少ない、例に漏れず全く魔物が現れることは無かった。変化が無いというのは酷く退屈で漏れ出す欠伸をかみ殺しぼんやりとダンジョンを眺めていると教員がこちらに駆け寄ってくる。
「皆さんすみませんがこちらに戻ってきて生徒たちを見ていて貰えませんか?」
「構いませんが…どうかされたんですか?」
「お恥ずかしい話ですが…私が目を離した隙に数名の生徒がどうやらボスエリアに入ってしまったようで…、幸いここのボスはオークですので彼らだけでも問題は無いでしょうが念のため私が見てきますのでそれまでの間お願いします。」
そう言い残すと教員はボスエリアの扉を開き中に入っていった、生徒たちは皆不安そうな顔をしている、ざっと眺めたところ居なくなったのは先ほどゴブリンに怪我を負わされた生徒らしい。
なかなかの問題児が下級のクラスにはいるのだなと考えたが、問題児だから下級のクラスにいるのかととりとめも無いことを考えながら待つことにした。
10分経っても教師たちは出てくることは無かった。




