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月の国の先輩  作者: ぬぱ


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1/5

憧れの先輩

僕には憧れの先輩がいる

 同じ自然科学部の部長である一ノ瀬美咲先輩だ

 美咲先輩はいわゆる学校のマドンナのような存在で学校ではファンクラブも作られているという噂まである

 そんな高嶺の花である美咲先輩に僕は恋をした

 普通の人なら高嶺の花である先輩に恋をしてもあきらめる人が大半だと思う

 だが僕は違う

 僕は運よく先輩と共通の趣味を持っていたことにより、先輩とよく話す機会や遊びに行く機会がある

 そんな僕に対して周りはよく嫉妬や妬みの目を向けてくることがある

 それは当然のことだ

 ファンクラブまで作られている高嶺の花である先輩が何の変哲のない一男子高校生である僕と仲良くしているなんて僕も逆の立場だったらそういう視線をしていたかもしれない

 だが先輩はそんな視線を気にしないどころか優しく慰めてくれた

 そんな先輩に僕はどんどん惹かれていった

 先輩が卒業するまであと一年間、この一年で先輩との距離をもっと縮めていきたい

 あこがれも先輩に告白するために


 『キーンコーンカーンコーン』

 放課後のチャイムが流れるころ僕は一人校門にいた

 周りでは友達と話しながら帰る人や恋人と帰る人、一人で帰る人などたくさんの人が下校していた

 そんな中僕はとある人を待つため校門で一人待っていた

 少し時間がたち下校する人が減ってきたころ

 「悠君!」

 そう呼ぶ一人の女性がいた

 その人物こそ僕が待っていた人物であり、憧れの先輩の美咲先輩だ

 「先輩お疲れ様です」

 「悠君もお疲れ様!ごめん、待たせちゃったよね」

 「いえいえ、ぜんぜん大丈夫ですよ」

 「ありがとう!それじゃあ行こっか!」

 そう言うと先輩は歩き始めた

 僕もその先輩の後を追うようにして帰路へとついた


 「悠君今日って時間ある?」

 「ありますけど、どうかしました?」

 「よかったら隣の県のアニメショップまでいかない?」

 「いいですよ、先輩は時間大丈夫ですか?」

 「大丈夫だよ!それじゃあ電車で向かお!」

 そう言い僕たちは駅へと向かった

 

 電車に乗って隣の県へと向かっている間

 僕たちはお互いの共通の趣味であるアニメの話をしていた

 アニメが好きという人は多くいると思う

 だが、僕と先輩が共通として好きなアニメはマイナーといわれるものでありあまり知られていないものである

 そのため互いに好きなアニメについて話せる唯一の存在として仲良くなった

 そんなアニメの話をしていた中先輩がいきなり

 「悠君は学校楽しい?」

 そう訪ねてきた

 「楽しいですよ、先輩は学校楽しいですか?」

 「楽しいよ!みんな仲良くしてくれるし特別扱いもしてくれるし……」

 そう話す先輩はどこかさみしげな表情をしていた

 そんな先輩に対して僕は

 「……先輩大丈夫ですか?」

 そう話しかけた

 「大丈夫だよ、悠君も知ってると思うけど私って学校では高嶺の花の存在でしょ?ファンクラブも作られてる、

 けど特別扱いされると周りと距離が生まれてような気がしてきて、今では私に話しかけてくれる人も減ってきて学校が孤独な場所になっていって……」

 「先輩!僕先輩と話すの楽しいです!これからも先輩にたくさん話しかけます!」

 僕のいきなりの言葉に先輩が驚きの表情を浮かべた

 それから笑いながら

 「ありがとう!私も悠君と話せて楽しいよ!これからもたくさん話そ!」

 僕はそんな笑顔の先輩にまた惹かれていった


 隣の県の駅に着いた頃辺りは夕焼けに照らされていた

 そんな中僕たちはアニメショップへと足を進めた


 「こんな大きなアニメショップでもこのアニメのグッズはやっぱり少ないね」

 「そうですね、そんなに有名なアニメじゃないですからね」

 「ねぇねぇ!こんなのどう?」

 先輩はアニメに出てくるうさ耳のカチューシャをつけながら笑顔でそう訪ねてきた

 先輩がつけたうさ耳カチューシャはもとからついていたのではないかと錯覚するほど違和感がなく、とてもかわいかった

 「か、かわいいです……」

 かわいすぎる先輩に対し僕は少し顔を背けながらそう答えた

 そんな会話をしながら僕たちは買い物を続けた

 

 しばらく時間がたち買い物を終え僕たちは店を後にした

 店を出ると既に日が沈んでおり辺りは月の光に照らされていた

 ふと横を見ると先輩が月を見ながら考え事をしているようであった

 「先輩大丈夫ですか……?」

 「あっごめんね、大丈夫だよ!」

 「今日満月なんですね」

 「そうだね……」

 満月を見る先輩はどこか懐かしそうなそしてさみしげな表情をしていた

 少しの間僕たちの間に沈黙ができた

 そんな中先輩が

 「よかったらついでにご飯食べてから帰らない?」

 そう訪ねてきた

 「いいですね、そうしましょう」

 「悠君はなにか食べたいものとかってある?」

 「特にないですね……」

 「そっか、だったら私のおすすめのお店行かない?」

 「先輩のおすすめのお店ですか?行ってみたいです!」

 そう僕が返事をすると先輩は笑顔で進み始めた

 先輩とご飯を共に食べたことがなかったためどんな所に行くのかわくわくしながら先輩の後を進んでいった


 しばらくの間僕たちは歩き続け、少し薄暗い路地へとたどり着いた

 その路地を進んで行くと一軒の和食店へとたどり着いた

 「ここなんだけど、悠君和食って苦手じゃない?」

 そう先輩に尋ねられた

 「全然です!和食好きですよ!」

 「ならよかった!」

 僕の返事を聞いた先輩は笑顔でそう答えた

 実際のところ僕は和食の素朴な味というのが苦手で、不健康でもジャンクフードのような味の濃い食べ物が好きである

 だがそんなことこの場で先輩に言えるわけもなく、先に店に入っていった先輩の後を追って僕も店へと入るのであった


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