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優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?  作者: 木山楽斗


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62.解けない魔法(エルメラ視点)

「こ、これは……」


 ヘレーナ嬢は、ドルギア殿下に手をかざしたまま固まっていた。

 彼女は、優れた魔法使いである。だからこそわかったのだろう。私のかけた魔法が、複雑であるということが。


「魔法というものは、時折絡まった糸のようだと言われることがあります。解こうと思ったら、逆に結びを固くしてしまうかもしれない。魔法を解くというのは、繊細さと大胆さが求められるもの。まあ、こんなことはヘレーナ嬢なら言わずともわかっていますか」

「こ、こんなもの、どうやって……」

「ヒントを出してあげましょうか? 最初に触れるのがどの糸であるか……ああ、これですね」


 私はドルギア殿下に手をかざして、魔法を少しだけ解いた。

 それを理解したヘレーナ嬢は、なんとも言えない表情を向けてきた。怒り、絶望、感謝、それらが入り混じった感情が伝わってくる。

 そして彼女は、再びドルギア殿下と向き合った。手がかりを得たことによって、再び挑戦する気になったということだろう。


「……あ、ああ」

「ヘレーナ嬢、どうかされましたか?」

「む、無理よ。こんなの……どうやったって」

「二つ目はここですね。さあ、ここまでヒントを出すなんて、大サービスですよ? ここからはヘレーナ嬢の力で頑張りましょう。諦めなければ、道は開けます」

「そんな領域の話では……」


 ヘレーナ嬢は、悲痛な言葉を発していた。

 自分では、その魔法を解くことはできない。それを何よりも深く感じ取っているのだろう。


「あ、あははっ……」


 ヘレーナ嬢はその場でゆっくりと崩れ落ちて、力なく項垂れた。

 彼女は、魔法を解くのを諦めたのだ。それが不可能であることを、優れた魔法使いであるからこそ、すぐに理解したのだろう。

 私はこの魔法を自発的に解くことはない。つまりヘレーナ嬢は、自らが狂信的な愛を向ける人から、永遠に覚えられないことを悟った。だからもう、笑うことくらいしかできないのだろう。


「もう、終わりね……」

「……まさか」


 次の瞬間、ヘレーナ嬢は自らの頭に手をかざした。

 それからすぐに魔法が行使された。それが何の魔法であるか、それはヘレーナ嬢の状態を見れば明らかだ。


「……」

「自らの記憶を消しましたか。ドルギア殿下に覚えられない世界に絶望して……」

「あ、う?」

「既に赤子同然といった所ですか。今度はまともに育ってくれると良いのですが……さて、どうしましょうかね。まずは騎士団に連絡するべきでしょうか」


 ヘレーナ嬢がこんな状態になった以上、もうお姉様に危害を加えることはないだろう。

 それなら、私としてこの結末に異論はない。騎士団は文句を言うかもしれないが、それに関してはどうでもいいことだ。

 問題は、お姉様がこのことで傷つくかもしれないということである。その辺りに関して、何か良い言葉などを今から考えておかなければならない。

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