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優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?  作者: 木山楽斗


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61.覚えられない人(エルメラ視点)

「ドルギア殿下、どうかご冗談はやめてください。私……このヘレーナのことを、お忘れになったっとでもいうのですか?」

「その……すみません。あなたのことが、僕にはわからない。なんだ、この奇妙な感覚は……」

「そ、そんな馬鹿な。どうして、私のことが……私の名前を呼んでください。ヘレーナ嬢と呼びかけてください」

「何を言っているのか、わかりません。すみません。僕には、あなたを呼ぶ言葉が見つからない」


 ヘレーナ嬢の懇願に対して、ドルギア殿下はゆっくりと首を振った。

 優しい彼のことだ。お姉様のことをあれ程までに批判した相手の懇願だって、いつもなら聞いたかもしれない。

 しかし今の彼には、どれだけ努力したってそれはできない。この私が魔法をかけたのだから、そんなことができる訳がないのである。


「エ、エルメラ嬢……あなた、ドルギア殿下に一体何をしたのですか!」

「曲がりなりにも魔法使いであるなら、知恵を働かせて欲しいものですね。ですが今は気分がいいので、特別に教えてあげます。ドルギア殿下には、魔法をかけたのです。ある人物に関する記憶を消して、その人物のことを永遠に認識できなくなる魔法を」

「な、そんな魔法は……」

「私が作りました」


 本来私は、ヘレーナ嬢にこの魔法を使おうと思っていた。

 お姉様やドルギア殿下に関する記憶を彼女から消せば、とりあえず安全は確保できる。そう思っていたからだ。

 無論それでも良かった訳ではあるが、多くの罪を犯した彼女には罰を受けてもらわなければならない。だから、彼女が最も絶望しそうなことを考えて、実行したのである。


「あなたがいくら思っても、ドルギア殿下はあなたのことを覚えられません。哀れですね」

「ふ、ふざけないで。このっ……」

「この魔法を解く方法が、ないという訳ではありません。開発した私は、当然解く方法を知っています。私を殺してしまったら、解けなくなるかもしれません」

「そ、それは……」


 ヘレーナ嬢は、私に対して魔法を使おうとするのをやめた。

 先程まで威勢の良かった彼女が、このようにしおらしくしているのは、なんだか笑えてくる。

 それで腹の虫は、少しは収まった。故にここは、慈悲の心を持って、彼女に接してあげるとしよう。


「ヘレーナ嬢、ここは一つチャレンジしてみませんか?」

「チャ、チャレンジ?」

「ええ、類稀なる才能を有するあなたならば、私の魔法を解ける可能性があるかもしれません。ドルギア殿下には、少し眠ってもらって……さあ、あなたの愛の力で記憶を目覚めさせる挑戦をしましょう」


 私は、ドルギア殿下にそっと手をかざして彼を眠らせる。

 するとヘレーナ嬢は、力なくこちらに近づいて来た。可能性に賭ける気になったのだろう。魔法使いとしてのプライドもあるかもしれない。

 ヘレーナ嬢は、ゆっくりとドルギア殿下に手をかざす。私がかけた魔法を解くために。

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