第4章 Jardin secret ~秘密の花園~ 第十一話
とある日の午後。
グララスの街外れの古びた教会に一人の派手な女性が降り立ちます。
眉間に皺を寄せ、何やら機嫌悪いその彼女の名前はイリス―――…。
なぜ彼女はこんな所へとやって来たのでしょうか…?
第十一話スタートです。
「相変わらず…辛気臭くてこ汚い教会ね」
さてある日の午後のことです。グララスの街外れにある小さな古い教会に一台の馬車が停まり、一人の女性がその場に降り立ちました。肩までかかるブルネイの髪を緩く巻き、教会には似つかわしくない派手なメイクと、胸元ががっつりと開き瑞々しい肌と零れ落ちそうなくらいたわわな胸を強調した艶やかな赤色のドレスに身を包んだ女性―――…イリスがカツンカツンッとヒールの音を響かせて石畳の道を歩きます。
「あん…っ!」
劣化して石と石の間が広がるガタガタの道に足を取られてイリスはこけそうになりよろけてしまいましたが、寸でのところで踏ん張って体勢を立て直しました。
「やだ…っ!ヒールがボロボロになるじゃないっ!もう最悪っ!!」
プリプリとヒステリックになりながらイリスは石畳の上を大股で歩き続け、乱暴に教会のドアを思いっきり開きました。
バターンっと大きな音がこだまする教会は人気が無く、どこか薄暗い教会の中からは微かな甘いお香の匂いが充満しておりました。
「何この香り…。…暗くて陰気くさい教会ねぇ。って言うか、せっかくこんな辺鄙なとこまで来てやったって言うのに…誰も居ないじゃないっ!あー…もう帰ろうかしらっ」
鼻を摘まんで顔をしかめ、ぐるっと人気のない教会の中を見渡しはぁっと聞こえよがしの溜息をつきました。すると教会の奥のドアがギギギ…と錆びたような音を立てて開き、中からそっとバードリー神父が出て来られました。
「すみません、裏庭で土いじりをしておりましたので…。えっと…何かご用でしょうか?」
「…懺悔しに来たんですが」
「懺悔ですか。ではこちらへ…」
土まみれのバードリー神父はポケットからハンカチを取出し汗と汚れを拭います。ダルそうに立っていたイリスは、ジッとバードリー神父を上から下まで見定めるように見つめます。袖をまくって露出している意外と筋肉質な腕を見つめてフフフ…と微笑むとバードリー神父の後に続いて懺悔室の方へとヒールをかき鳴らして歩いて行きました。
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「お待たせいたしました。閉め切っていたので熱くないですか、マダム…」
「いえ、大丈夫ですわ神父様。お気遣いありがとうございます」
「そうですか。では早速始めましょうか…あ、マダム…こちらにお水を置いておきますね。喉も乾いていらっしゃるでしょう、お清めにどうぞ」
狭い懺悔室に入りバードリー神父が小窓を上げて対面で向き合うと、ニコッとイリスは艶やかに微笑みます。
「ありがとうございます。ねぇ…そんなことより神父様…もう少しお話しいたしませんこと?」
「え?」
「懺悔だなんて…本当は無いわ。だって私悪いことだなんてこれっぽっちも思っていないもの」
「え?ちょっと待ってくださいマダム…どういうことですか…?」
訳が分からず狼狽えるバードリー神父を見てさらにイリスは差し出された水を一気に飲み干して微笑みます。
「パパとそれに警察が懺悔に行けって言うから来ただけで私何も懺悔することなんてないわ」
「えっと…お父上は何故貴女に懺悔に行けと申したのですか…?」
「…朝帰りがバレちゃったからよ!」
「朝帰りっ!!」
「そんなに驚かれることかしら?今社交界では自由恋愛がスタンダードよ?」
「あぁ神よ…!」
「あの日はついうっかりしちゃって…。いつもだったら明るくなる前に家に帰るんだけど、あの日は…本当に素敵な夜だったわ。身体の相性が良すぎて一晩中お互いを獣のように激しく求めあい過ぎちゃったの。へとへとに疲れちゃって朝食の時間までに間に合わなくなっちゃって、それでパパにバレちゃったのよ。で、嫁入り前の娘がはしたないって!神父様に懺悔してこいって言われたから来ただけよ」
バードリー神父は呆れて溜息をつき頭を抱えておりました。イリスは何が悪いの?と言わんばかりの顔で、艶っぽく溜息をつきながら当時のことを思い出し頬を染めております。
「何と…嘆かわしい…っ!!」
「あら?神父様には刺激が強すぎたかしら…?」
顔を真っ赤にしているバードリー神父に対してクスクスと小馬鹿にしたようにイリスは笑い出します。そしてスッと小窓から手を差し出し、バードリー神父の汗をハンカチで拭いだしました。
「最近教会に懺悔に来たりする女性が増えているって噂本当だったのね。こんな素敵な神父様がいらっしゃるんだったら…こんな辺鄙なところにきても価値あるわ」
「そんなこと…」
「こんなにお顔を真っ赤にしちゃって…可愛らしい人ですわね、神父様。近くでよく見るととてもハンサムだし…意外と筋肉質で良い身体されているじゃない…」
「マダム…っ!?」
イリスはスッと指を伸ばしてバードリー神父の唇に指を這わせます。唇の輪郭を指の腹でゆっくりとなぞり、戸惑っている姿を見て口元に少し淫靡な微笑みを浮かべております。
「ねぇ神父様…。私あの夜のことを思い出すと…身体がとても疼くの。今お話ししてたら思い出しちゃって…。ねぇ神父様…そちらのお部屋に行ってもよろしいかしら?」
「マダム…何を仰っているんですか…っ!これ以上は神に対する冒涜になりますよっ!?」
「やだぁ…ちょっとからかっただけじゃない。こんなんでこんなにもお顔を真っ赤にされちゃって…。もしかして神父様って…本当に女性をご存知ないの?」
「マダム!!」
バードリー神父が大きい声を出してイリスの手を跳ね返しました。
「…真面目でお堅い方ねぇ!」
「こ…このような事…あぁ神よ…このマダムに救いの手を…っ!」
「祈っても何も起きはしないわよ…。ねぇ神父様…いいでしょ?」
イリスは懺悔室を出てバードリー神父のいらっしゃるお部屋の方に入り込み、狼狽えるバードリー神父に近づいて行きます。そして赤いマニキュアで彩られた白い指でバードリー神父の胸板を撫でまわしました。
「…マダム…おやめください…」
「意外と良い身体されているじゃない…。腕もかなり筋肉質だし…こっちはどうかしら?」
イリスはスッと手を下に降ろしてバードリー神父の下腹部辺りを優しく撫で始めました。驚きと恥ずかしい気持ちでどうしたらいいのか分からないバードリー神父はイリスの触れるか触れないかの柔らかい指使いに小さく息をつい漏らしてしまいました。
「…あら神父様…」
「あ…あの…これは…そのっ!」
「いいんですのよ、神父様…。身体の生理現象ですもの」
「マダム…っあ…やめてください…っ!」
「そんなこと仰っても…こっちはちゃんと反応されておりますわよ…?」
ニヤッとイリスは淫靡な微笑みを口元に携えてバードリー神父に口づけを交わそうとした時、バードリー神父はパッとイリスを思いっきり振り払いました。
「きゃっ!」
「神よ…っ!どうかこのマダムに貴方の救いの手をっ!!」
思いきり弾き飛ばされて尻餅をついたイリスは、しゃがみこんで震えながら神に必死に祈るバードリー神父の姿を見てキッと睨みつけました。
「な…何よっ!ちょっとからかっただけじゃない!本気にしないでよ!」
「このような色欲にまみれた生活をしていると…マダム貴女は天国へ行けなくなりますよっ!!」
「…はっ!馬鹿馬鹿しい…っ!!信仰心なんて持っていたってどうしようもないじゃないっ!…それに、誰がアンタみたいな泥臭い男…っ!ちょっとからかってやっただけじゃないっ!本気にしないでよねっ!!」
イリスはフンッと鼻息大きく息を吐くと負け惜しみのように捨て台詞を吐いて懺悔室を飛び出してヒールの音をカツカツ鳴らしながら教会をあとにしました。
待たせてあった馬車に足早に乗り込むと、イリスは従者に街の中心部に行くように言いつけてふんぞり返ります。
「あぁんっ!もう…何なのよっ!この私のこの身体を見て拒絶するなんて…失礼だわっ!早くパブに連れてってちょうだいっ!!飲まなきゃやってられないわっ!!」
一人で勝手に怒っているイリスを乗せて、馬車は街外れの教会から街の中心部へと進んで行きました。バードリー神父は入り口からそっと馬車が遠くなっていくのを見ておりました。そして祭壇の前へと進むと十字を切って祈りだし始めたのでした。
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「ねぇ…街外れのモンテフェルロト伯爵って知ってる?」
少し時間が経って、辺りが暗くなったころです。街のパブについてひとしきり酒を飲んだイリスは、声を掛けてきた顔見知りのガタイのいい中産階級の男にしなだれかかりながらパブのカウンターで問いかけました。
「モンテフェルロト…あぁ…最近来たあのすかした感じのお貴族様か!それがどうしたんだよ」
「そこの若い伯爵様について何か情報知らない?」
「おいおい…まさかその伯爵狙ってんのか~?そんなことよりも…なぁ…早く遊ぼうぜ?」
「その前に…ねぇ…あの方について何か知らない?アンタ大規模な畑運営してるんでしょ?だったらあそこに何か卸しているんじゃないの?」
「教えたら…見返りあるのかよ…」
「見返りねぇ…。情報によっては私のこの身体、好きにさせてあげてもいいわよ」
イリスはトローンとした瞳で挑発的に男を見つめます。男は鼻の下を伸ばしてイリスの身体を上から下まで舐めるように見ると鼻息荒くイリスのお尻を触ろうと手を伸ばしましたが、ぴしゃりとイリスに叩かれました。
「まずは情報が先よっ!」
イリスはドレスの裾をするすると下着が見えそうで見えないギリギリのラインまでまくり上げ、はち切れんばかりに瑞々しいプリンっとした太ももを露出させて男に見せつけます。ゴクリ…と男が唾を飲みこみイリスの脚を見つめました。
「…あそこは5年ほど前まではよぼよぼの爺さんが管理してたんだ。だが…最近若いあの伯爵さんが別荘用に購入したそうなんだ。何かまずは下見がてらの旅行できたとか言ってたなぁ」
「ふーん…」
男はもう一度イリスのお尻を触ろうと手を伸ばしますがイリスは再度グッと男の手を掴んで阻止します。男はチッと舌打ちをしてふぅ…と息を吐くと渋々話しはじめました。
「なんでもいつもは首都のビストリツァに住んでいるらしいぜ。そこで植物の研究とかしてるんだとよ。まぁ世界中を旅したりしてあまりそこにも居ないらしいけど。モンテフェルロト家は金持ちでこの地方以外にもいくつか別荘を持っているんだとよ!だからいつも色々と転々として暮らしてるらしいぜ!何か浮世離れして掴みどころがない人みたいっていうのが印象だなぁ」
「で?他には?まだアンタ大事なこと言っていないでしょ?」
「…歳は29でまだ独身だとよ」
「それは確かなの?」
「あぁ、あそこに出入りしている庭師の爺さんが言ってたぜ」
「そう…。いい情報ね」
「それと最近またビストリツァに戻ったらしいけど、今日くらいに一度戻って来ているらしいぜ」
「あらぁ!一番いい情報じゃない!何でそれを一番に言ってくれないのよっ!」
「え?」
「最近ここをお留守だったのは知っているわ。だって何回かお屋敷尋ねたもの。でもだーれも居なくて…」
「何で屋敷なんか…?」
「そんなの抱かれるために決まってるじゃない!馬鹿ねっ!!」
「お…おぅ…」
「運よく妊娠でも出来たらもうこっちのものよ!」
「…そんな都合よく行けるか?」
「馬鹿ね…都合よくなるように持って行くのよ。私はこんな田舎で燻っている女じゃないの!いつかブーリン男爵家より金持ちで地位も名誉もある男性と結婚してこんな陰気くさい街出てってやるんだからっ!!そのため私はこの身体を必死で磨き上げてきたのよ!のし上がるために!!」
「…」
イリスは圧倒さて呆気に取られている男の手を掴み直してニコッと微笑みました。そしてその手をゆっくりと自分の足の間に導き少しもぞもぞと遊ばせると男を下から見上げるように見つめました。
「…ん…っ仕方ないからご褒美を上げるわ。ねぇマスター、個室の方に行ってもいいかしら?」
マスターはちろっと横目でイリスを見て、汚すなよと一言だけ言い放ちました。イリスはフフンッと笑い、鼻息荒くソワソワしている男の手を引いて慣れた足取りで個室の方へと向かって行ったのでした。
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そしてまた時間が過ぎて辺りがどっぷりと暗くなり、人の気配もなくなった時分の頃です。一台の馬車が街から郊外の方へと進んで行っておりました。街の中心から外れるにつれて家の数も少なくなっていき、街燈もほとんどない夜の道では月明かりだけが頼りでした。
その馬車の中にはイリスが疲れた様子でグタッと座っておりましたが、乱れた髪型とメイクを直して何やら身支度をしておりました。
「…ったくあの男…見かけどおりガサツだったわね…。これだから筋肉馬鹿は困るのよねぇ…。女はデリケートなのよ?もっと…カルロ様みたいに優しく扱ってくれないとっ!…あっ!こんな所にキスマークなんか付けてっ!」
イリスは窓から外を覗き込み、人気のなく寂しい長閑な道をジッと見つめます。
「…首都に住んでいて…ここ以外にもたくさん領地を持っている。ってことはきっとお金持ちよねぇ。それに独身でイケメンでスマートだなんて超優良物件だわ!こんないい男逃してたまるものですかっ!何としてでも結婚まで漕ぎつけてこんな田舎から脱出してやるんだからっ!」
イリスはフンッと意気込むとガタガタと揺れる馬車の中で器用に口紅を引き直しました。
馬車はさらに街を離れてカルロ伯爵の屋敷近くの森の付近までやって来た時、ガタンッと馬車が大きく揺れて急に停まりました。
イリスは驚いてパッと窓を開けて従者に怒鳴るように問いかけました。
「な…なにっ!?」
「すみませんお嬢さんっ!馬車が脱輪しちゃいまして…。少し待っていてもらえますか?」
「はぁ!?早くお屋敷に行きたいのに何やってんのよっ!…ったく早く直してよねっ!?」
従者が申し訳なさそうにペコペコ頭を下げて謝ります。従者が車輪を直している間イリスは仕方なしに馬車から降り、イライラしながら待っておりました。ふと手持ち無沙汰なイリスが森の方に視線をやると、何やら明かりが木の間から見えて誰か森の中を屋敷の方へと向かって人が歩いているのを見つけました。
「…ここは確かもうモンテフェルロト家の敷地よね?ってことは…あれはカルロ様かしら…?きっとそうに違いないわ!ねぇ!私もう歩いて行くから、馬車が直ったらこの屋敷の裏口に行っといてちょうだい!」
「えっ!?お嬢さんっ!こんな夜中に危ないですよっ!!」
「もうここは目的地よっ!いい、必ず裏口で待っているのよっ!?」
「あ…っ!お嬢さんっ!!」
イリスはウキウキとした足取りで森の中へと駆け出して先程の灯りを追い始めました。従者はそんなイリスを止めようとしましたがイリスは一切聞く耳を持たずに行ってしまいました。
「ったく奔放なお嬢さんだぜ…っ!どうなっても俺は知らねぇからなぁっ!!」
従者はブチブチと文句を言いながら月明かりしかない暗い夜道で一生懸命馬車の脱輪を直しておりました。するとどこからか生暖かい風が従者を包み込みます。従者は不快感を覚えましたが、それよりも早く馬車を直そうと作業をしておりますと森の中からガサガサと音を立てて何かが近づいてくる気配を感じました。
「お嬢さん?戻って来たんですか~?」
顔を上げずに近づいてくる気配に話しかけ、フッと顔を上げた瞬間従者の視界は真っ黒に埋め尽くされ、そして彼はその場に静かに倒れたのでした。
・・・・・・・・
木々の葉から微かに入り込む月明かりしかない夜の森の中をイリスは歩き回りました。そして屋敷が見えるところまで出た時、背後に人の気配がするのを感じました。
「カルロ様っ!?」
嬉しそうな微笑みを浮かべてイリスが振り返ると、そこには真っ黒なマントを頭から被った人がじっと立っておりました。イリスはカルロ伯爵と同じくらいの体躯のその男がカルロ伯爵自身だと近づいて行きましたが、その男は名前を呼ばれても反応せずに目深にかぶったフードから見える口元にニヤッとした笑みを浮かべて立ち尽くしております。
「…カルロ様…?」
イリスが何かおかしいと思い歩みを止めましたが、今度はその男がジリジリとイリスの方へと近づいてきました。
「…やだ…来ないで…っ」
イリスは異様な雰囲気を出すその男に恐怖を感じ後退りしはじめますが時すでに遅く、男はイリスの手をがっつりと掴みました。そして再び口元にニヤッと笑みを浮かべるとイリスを自分の方へと引っ張ってきてがっつりと逃げられないようにホールドするように抱きしめるました。
「…っ」
その折れそうなほどの力強さと得体の知れない者に抱かれている恐怖でイリスは涙目になってガタガタと震えだています。その様子をその男は満足そうに見つめると、イリスの首元に唇を這わせて舐めまわし始めました。そしてしばらくそこを激しく愛撫すると、恐怖で震えているイリスを見てまた笑いました。口元からは犬歯のような鋭い八重歯がむき出しになり、ハァハァ…と興奮しているのか呼吸が荒くなっていきます。
もう涙で顔がグチャグチャになっているイリスの髪を掴み顔を上げさせ、その表情をたっぷりと堪能します。そして蛇のように舌を使いイリスの顔を舐めまわすと再び首筋に舌を這わせました。
「た…助けて…」
蚊の鳴くような声でイリスは助けを求めましたが、ここは人気のない森の奥深くです。誰ものその声を聴くことは出来ません。
イリスの助けを求める声を聴いて男はニタァッと涎を垂らして笑い出しました。そしてもう一度イリスを強く抱きしめると瞳を金色に光らせて今度はその口元から見えていた鋭い八重歯をイリスの首筋に突き立てました。
「っ!!」
イリスは首筋に焼けるような熱い痛みと今まで感じたことの無いくらい身体の芯が甘く痺れるような感覚を感じました。イリスの目が大きく見開き、手が助けを求めるように天に向かっていきます。しかししばらくするとその手がダランッと下がり、イリスはその男の方に力なく倒れ込みました。
男はジュルジュルと音を立ててイリスの首元を吸い続けました。少しすると満足したのか男は涎と血まみれの口元を手で拭い、だらんと青白い顔をして倒れ込むイリス見てニヤァ…と笑いました。
そしてそのままイリスを抱いたまま森の奥深く…夜の闇に消えて行ったのでした―――…。




