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帝国陥落

驚愕のこの世界の真実。


聞いたときはどうしようかと思ったが、ぶっちゃけどうしようもないのでそのままだ。


自分がエイリアンかもしれないと言われたよりは、人間の子孫だって言われた方が良かったわけで。


親父も問題視していいるのは、この世界どうこうというより、伊佐霧さん本当は何考えてゲート開けたってことだし。


それも結局分からずじまい。


だって連絡取れないんだし。


連絡取れなくなって起きた問題の方がどっちかっていうと大きいと思う。


「で、どうやって帰んの、親父?」


「そこだよなぁ」


住めば都って言葉が合ってるかどうかは知らないけど、人は結局生きていけるところで生きていくしかないわけで。


「そういえば親父のトラックベッド、結局何があったんだ?チェック終わったんだろ?」


「お前が乗っていった車にあったものは一通り。あとは燃料とお前が締まったライフル位だな」


我が家の設備がもう少し充実しそうだ。


トイレ横の水道、水くみ面倒くさかったんだよね。




親父が持って来たモーターポンプを水道に繋ごうと計画していると、来客があった。


客って言うのかな?


屋敷のメイドさんだ。


「当主様より、至急屋敷に来て頂きたいと」


何だろう?


「行ってこい。世話になっているのだろう?ポンプは俺が繋いでおくから」


こういうときに任せられる人材がいるというのは助かる。


親父を人材呼ばわりはどうなのか知らんけど。


考え方が社長になって来ていると思えば良いのだろうか?


うーん・・・良いのか悪いのかがよく分からん。




屋敷に到着し、当主の部屋に入ると、お久しぶりのイケスカイケメンことヨシュア参謀殿がいらっしゃった。


帰ろうかと思った。


「よく来てくれたね、早速だけど大事な話があるんだ」


帰れない空気を邂逅一発目でつくってくれたけどね。


大事な話をするなら食べかけの特大プリンは片付けるべきじゃないかな?


後ろでジャンヌが涎垂らしてるよ。




「先ほどプロテスト公には既にお伝えしておりますが、改めて説明させて頂きます」


はいはい、さっさとお願いしますよと。


「帝国が墜ちました」


へー・・・は?


「今何と?」


「ウリウェスト帝国が墜ちた、といったんだよ」


・・・大事のような、俺関係ないような?


「順番にお話しましょう。先の噴火についてはどれぐらい知っているかな?」


「ええ、まあ・・・今まで只の山だと思ってたものが噴火して皆びっくり・・・位?」


「まあ間違ってはいないね。さて、世間では魔峰セントルシフの噴火、とだけ伝わっています。ですが実際にはそれだけではなかったのです。・・・これは王国内でもまだ一部の人間にしか知らされていない極秘事項です。世間に伝われば混乱は必至・・・その点、まずご理解を頂きたい」


じゃあ、俺に言うなよ。


「西の砦の観測所よりセントルシフの噴火の際、山頂より何かが飛び立つのが見えたと」


羽根付きおケツの恐竜か何かだろうか?


「おそらくケツァルコアトルスかとお考えでしょうけれど、違います。砦の軍師職が噴火の直後に技能、鳥の目を飛ばしていたのが幸いでした。彼は確認後、直ぐにその姿を絵にして僕に送ってきたのです」


これ何の話だっけ?


「これが彼が送ってきた姿絵です」


へーへー見れば良いんでしょって・・・これは、


「ドラ・・・ゴン?」


「分かるのですか?」


「・・・?ええ、まあ?」


角が生えてて、長い首の後ろにコウモリのような形の羽。


四本足に長い尻尾って言ったら思いつくものなんてドラゴンしかない。


ないよな?


「やはり来て良かった。僕等の知らないことを知っている君ならば或いはと思っていたんだ」


「?」


「ドラゴン・・・ティラノドラゴン、スピノドラゴン、ケツァルコアトロス、セイスモドラゴン・・・今知られている、全てのドラゴンとまるで姿の違うこの姿を・・・君は知っているんだね?」


あれ?何か不審な空気になってない?


「ああ、安心してくれていい。君を疑っているわけじゃないから・・・いくら君でも遠く離れた魔峰を噴火させ、新しいドラゴンを召喚するなんてことは出来ないだろうしね。」


何か腹立つな、やっぱコイツ。


「さて、プロテスト公。軍でも同じ見解となりました」


「ああ、先ほど聞いた・・・その」


「大魔竜エンシェントドラゴン。今地にいるドラゴンたちの祖にして、過去に勇者に倒され、今この次代に復活した、真なる竜があの噴火によって目覚めた。いや・・・大魔竜の復活に魔峰が呼応したのか・・・」


ドラゴンと噴火が関係あるのか?・・・よく分からんが異世界だしね。


あるのかもしれん。


「そして、その後帝国は滅んだ」


そうそう、その話だったよね。


「帝国に忍び込ませていた間諜からの報告では、帝国を滅ぼしたのは見たこともない兵器を使う男と、見たこともない奇妙な術を使う女、そして彼等が従える大魔竜」


「従える?」


「そう、大魔竜が帝国に降り立ち、街を蹂躙する混乱の中、その者達は城へと入り天帝ネロを殺害。そして国民達にこう呼びかけたと・・・」


懐から紙を取り出し、文字を読み始めるイケスカイケメン。


ウチの製品をご愛用頂き、ありがとうございます。


「我、母なる地より降り立つ真なる人にして唯一の王。即ち真王である。今この国を破壊したる大いなる災いも我が力。これは罰。紛い物の王に媚び、へつらい、真の王を忘れし者達の罪を裁くものである。だが案ずるな。汝らの全てが私を称えるのならこれ以上の破壊は起こりえぬ。称える者達よ、その証として地に膝をつき、頭を垂れよ。全ての国民が我を称えたとき、災いは去る。」


・・・真王ね・・・


「つまり・・・その真王ってやつの配下ってことですか?その大魔竜ってのは」


「そうなるね・・・事実国民達は皆跪き、結果大魔竜は沈静化。帝城に降り立ち静かに待機しているそうだよ」


ふむ・・・待機してんならいいやってわけにはいかんよね。


「そして昨日、真王を名乗る者は全世界への宣戦布告を宣言した」


「え!?・・・ただの危ねえ奴じゃねえか」


「そうだね。その危ねえ奴に・・・しかし最大の脅威が付き従っているのは確かだ」


「・・・それで・・・その話を俺に聞かせたのは?」


「もし、大魔竜が王国に攻めてくるとなればこちらも最大の戦力を投入する必要がある・・・君の協力が必要だ」


うへぇ・・・


「マナウタ殿、儂からも頼む」


当主にも言われちゃったよ・・・断れ・・・ないよね、やっぱり。


「真王率いる大魔竜は元帝国の軍勢を引き連れ各国に攻め入るだろうね」


「元って・・・」


「サタネウス帝国。それが今の帝国の名前だよ」




イケメンとの話が終わり、その足で親父の所に向う。


すでに親父はポンプの設置を終え、無線機をピーピージージー言わせていた。


「まだやってたのか・・・」


「諦めるわけにはいかんよ。それに拠点の無線機が壊れただけだとすれば他にも探す手はある」


「どんな?」


「ここに来る前全員に支給された時計にはいざという時の為の発信器が取り付けられている。通信弱くて大分時間がかかるが、1人ずつ周波数を合わせて回線を集約させればこの大陸の広さなら拾えるはずだ」


「伊佐霧さんは?」


「最初に調べたよ。なんだ、アイツが怪しいと思ったか?」


「まあね」


「俺もだ」


2人でつい笑った。


イサギリさんには申し訳ない。


もう、いないんだな・・・


「それ、何日かかるんだ?」


「あと2ヶ月ってところかな」


「気の長い話だな」


「どうした?さっきから声に元気がないが・・・何か言われたのか?」


トップシークレットとは言われたが、1人で抱えられるものじゃなかった。


親父には全部話した。


「サタネウスに未知の兵器か・・・その情報だけ聞くと、同行者の誰かとしか思えんな」


「親父もそう思うか?」


「ああ。だが・・・いや、なんにせよだとすれば誰かが生きているということでもある」


「前向きだね。どこまで進んだの?」


「その名簿の5分の1ってところだ」


「ぶ厚・・・そら時間も食うわな・・・」


そう言いながら何となしに名簿を拾ってめくる。


この人達皆・・・いや、悪いことを考えるのは止めよう。


そしてあるところで俺の手は止まった。


「なあ、親父・・・あの事故は・・・俺が飛ばされた不慮の事故」


「ああ、もう1年になるな」


「本当に不慮の事故だったんだよな?」


「そりゃそうだろう。誰が好んでただの大学生を1人異世界に飛ばすか」


じゃあ・・・あのときコイツは何で・・・


「親父、まだコイツ調べてないだろう?」


「ん?ああ・・・」


「最優先で調べてくれ!!」


「コイツって・・・いやなんで」


「コイツかもしれないんだ!!真王ってやつは!!」


俺が手を止めた頁の名前、それは


「ナナが?」


「ああ」


七摘(ななつみ) 逢真(おうま)


あの時、俺が飛ばされる直前、只一人俺に避難を訴えに走ってきた男だ。

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