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従業員との接し方

王都1号店の従業員を見繕う。


というか見てるだけだ。


王子様のお付きがバンバン決めていく。


王子様?


とりあえず頷いている。


「重要なのは教育ですから。どういう人間か理解した上でどう育てるかが重要なんですよ」


なるほど・・・そういうもんだろうか?


分からんがここは責任者に任せよう。


「逆を言えばどんなに優秀な人材を揃えても育てられなければ意味がありません」


・・・なんで俺を見るのでしょう?


「プロテスト店からどなたか来て頂けないでしょうか?」


そりゃそうだ。


ミカギ産業は根底は俺、というかディクションの知識だが、それをウジェーヌさんやシプトンさん、アリスたんが昇華させて今がある。


1~3号店まであるのだから人材も豊富だ・・・知らない間に増え続けてるしね。


王都出向・・・帰ったら奥様にぶん投げ・・・相談しよう。




さて、じゃあと帰るわけにはいかない。


次は王都の流行を確認しなければ。


具体的には肉と海産物の使われ方。


客を呼ぶ店の傾向。


ひとまずこの2つかな。


鶏ガラと言われてもなんのこっちゃか分からんが、鳥を丸々1羽出汁に使ってますと言えば人間は「うわ、贅沢!!」とか思うものだ。


余り高すぎたり希少価値があるものは継続的に供給できないが、皆が「え?こんなものを?」と思ってくれるものを安く仕入れられれば理想である。


幸いにも以前顔を繋いだエバル農場と王都は定期的な交易をしてるから、海産物以外の作物に関しては仕入れ先に困らない。


・・・て考えると鶏ガラの方が良いかな・・・。


いや、ちゃんと見てから決めよう。


折角の気楽な旅行である。


気楽か?


隣に王子様いるけど。


「では次に行きましょう。王家御用達の料亭にご案内しますよ」


うん・・・全然気楽じゃない。




案内された店での食事を終え、王都1号店に戻る。


店での食事は中々だった。


というのもミカギ産業で生産している調味料をたっぷりと使っていたからだ。


中々に研究されていたと思う。


最初に出て来た前菜のサラダにかかっていたドレッシングは味噌と酢を使っていた。


醤油もかな?


まだ俺もつくった事のない棒々鶏のような風味のゴマダレで中々に食欲をそそられた。


ジャンヌも文句を言わず無言で食べていた。


食べ終わった後満足そうな顔をしていたから美味かったのだろう。


「王都ナンバー1を誇る名店が進出の店に負ける訳にはいかないと、意気込んでいましたから。出店の際はなかなか強力なライバルになると思いますよ」


ならないと思いますよ。


ミカギ産業の食堂はメイン1品のラーメン店。


大衆狙いだ。


高級店とは土俵が違う。


だが、学ぶべき所はあった。


最初に棒々鶏擬きが出て来たように、人気は肉。


メインで魚は出て来たが、トリは牛肉だった。


つまり王都での位置づけは肉>魚のようだ。


「畜産はコストがかかりますから。農場がある程度の財力を持つ者に対して買って貰えるように育てている、という位置づけなんです。一方で魚介は漁師が生活の為に獲って来ている、と見られていますから。定期的に監査が入る農場で育てたものの方が、食べる方も安心ですし」


ふむ・・・。


となれば、結果は出たようなものだ。


あとはお嬢様に確認とって終わりだな。


魚介出汁はオソドクス1号店でとうことで。


王都に帰ることがあってもオソドクス公領地に行くことがあまりないアズラ王女は悲しむだろうが、そこは定期的に出すことでフォローしよう。


あくまで本店はプロテスト店。


他店の味を出しても、本店だったら許される。


よし。




それから2日程王都に滞在した後プロテスト侯爵領に帰った。


お嬢様は元気そうだった。


純白のドレスと宝石で着飾り、高笑いをキメながら出迎えてくれた。


結局お嬢様のジャッジは鶏ガラ。


義理とはいえ、やっぱり親子だな。


奥様が再婚されていなかったとしても叔母と姪。


どこか通じ合ってるもんな、あの2人。




帰り道の2日を合わせて約1週間の不在。


名ばかり社長がその程度の帰還いなくとも我が店は揺るがない。


考えてみれば随分生活が安定したものだ


このまま勝手に入って来る所得を浪費しながら趣味に生きるのも良いだろう。


というかいい加減自分の好きなことをやりたい。


好きな事って・・・なんだっけ?


ゲーム、小説、食べ歩き、部屋でテレビか映画見ながら寝て過ごす。


日本での俺の休日といえばこんな感じだ。


駄目人間じゃねえか。


いや、そうじゃなくて。


そういえば娯楽がないと嘆いた時期があったな。


いい加減何か見つけよう。




決意を新たに帰った我が家。


『キュウゥン』


キュオーンがもの悲しげな声を上げながら出迎えてくれた。


あれ?


ハムは?・・・つか仕事は?


「丁度良いところに帰っていらっしゃいました」


久々のアグネスさん。


・・・どったの?


「実は昨日からハムさんの姿が見えなくて・・・皆心配しているんですが・・・」


なんかトラブルの予感。


俺の決意よ、今どこに。


「それで、誰か行方を捜してますか?」


「はい、今日一応警備隊に連絡は入れたのですが・・・」


「ふむ・・・」


実に無難かつ最善である。


ぶっちゃけハム君が行きそうな場所に心当たりなんて全くない。


この家に来てから家の中で引きこもり、働き始めた後は職場と家の往復だった。


生活必需品は買いに行かなくても支給されるからな・・・この家。


休日は寝る食う以外ではキュオーンと遊んでた姿しか見たことない。


うん、やっぱりここは警備兵に任せよう。


『クウゥン・・・』


そうな声出されてもどうしようも・・・お?


『わふ?』


そういえばコイツ犬だよな・・・。


追跡できんじゃね?


「おい、キュオーン。お前の主の匂い追えるか?」


『わふ!?』


何かに気付いた様に周囲を嗅ぎ回るキュオーン。


・・・忘れてたのかコイツ。


つか俺の言葉完全に理解してるな・・・。


流石異世界。


お、動きが止まったぞ?


『ワン!!』


・・・えー・・・着いてこいってことかな?


『わふっ!!』


さいで。


まだ、日が沈んでるわけじゃないし、行くとしよう。


アリスたん晩飯の用意よろしく。


「あい!!」


しかしどこ行ったのかねぇ・・・。


侯爵家の人間でもない子供誘拐して得する奴がいると思えん。


・・・家出?


いやいや、家出したくなるほど働かせた覚えは・・・ないとも言えないか?


ミカギ産業の多忙さはいつか過労死者が出るのを心配するレベルだった。


最近人も増えて改善傾向にあったが。


王都で奴隷かってイメージ上げようって行ってるところで従業員が労働条件の悪さに逃亡。


噂になったらかなりヤバイ気がする。


責任者・・・俺?


社長だし・・・うわ。


娯楽とか言っている場合じゃないかもしれん。


労働条件の見直しをせねばブラック企業の烙印を押されてしまう。


大変だ。


えー・・・ひとまずハム君を見つけよう。


で、何が悪かったか聞きだそう。


そうしよう、それがいい。


というわけでキュオーン、頼りにしてるぞ!!


『わふ!?』


なんだその「何言ってんだお前?」みたいな顔は


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