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試射してみよう

1週間強の旅路を終えて帰宅。


あの3人はレメクさんにお任せした。


聖剣士は聖剣召喚の技能のせいで両手両脚を鎖で縛り付けるしか拘束手段がない。


奴隷でもここまではされねえぞって位、身体をジャラジャラさせられて王都に送られるそうだ。


まあ、あんまり他人のことを気にしているほど俺には余裕がないしね。


片が付いたなら忘れて次に進むとしよう。




既に12月。


冬のクソ寒い中ラーメン店は盛況。


ただ若干行列が短くなったように思う。


代わりに他の店に客が並ぶようになった。


丁度良いのではないだろうか?


ミサさんの顔にも生気が戻っている。


これはアレかな?


「ええ、あの後あの5店舗はミカギ産業の傘下に下る事になりました。使用する調味料はこちらから支給。代わりに売り上げの3割がミカギ産業に納められる契約です。」


・・・予想以上の展開。


傘下て。


まあ、いいことにしよう。


超安価でゲットした赤いテンサイのおかげで砂糖は大分安く作れている。


この契約で少なくとも現状損することはないだろう。




さて、この冬に片付けなければいけないもう一つの問題。


人手。


冬と言うより直近で片付けなければ。


ありがたいことにこの後大きなイベントがある。


聖剣士3人のお披露目だ。


西の砦でミカエスト聖剣士の3人が剣を掲げて我等が国を守ると宣誓する。


だいじょうぶかよ?って不安渦巻くミカエスト王国国民が安心を取り戻す儀式。


儀式は年が明けると同時に行われるらしい。


洒落てらっしゃる。


でだ・・・何この手紙?


「ヨシュア様よりマナ宛てに。」


それは分かってます。


書いてあるしね。


読まなきゃ駄目かな?


駄目ですか、そうですか。


えー、何々?


「前略、中略、後略、以上。」


嘘です。


嘘だからロープをしまえジャンヌゥ!!




「はあ・・・。」


「ため息ついても仕方がないでしょう?」


だって自由がないんだもの。


本当はこの空いた時間で保留しまくってる洗剤とか、最近欲しいなって思ったケチャップとかソースとかを開発する予定だったんだ。


なのに俺はゴモラさんの元に向っている。


理由はさっきの手紙のせいだ。


「聖剣のお披露目と共に新しい兵器のお披露目をお願いしたい。さすれば国民はより一層の安心を得る。」


内容はざっくりこんな感じ。


まあ確かにつくれますとか言っちゃったけれども。


仕方ない。


というわけでゴモラさんお久しぶり。


「また兄ちゃんか・・・。」


そんなに嫌そうな顔をしないで欲しい。


「最近アンタ絡みの仕事しかしてねえ気がするぜ・・・。つい昨日も兄ちゃんの家に別館を建てたばかりだ。」


ああ、夜中ジャンヌが上げる声に耐えられなくなったハム君の家ね・・・。


俺の家の半分が蔦屋敷になったのを見た奥様に理由を聞かれて、夏涼しく冬暖かいと答えたら、次の日から公爵家の庭に別館が建てられた。


多分手入れが大変なのを見越したのだろう。


屋敷を蔦で覆うことはしなかった。


そのついでに知識提供料としてハムの小屋を建ててくれたのだ。


勿論蔦屋敷。


犬小屋も内蔵するお家にハム君感動。


いまではより一層仕事に励むようになりました。


なお、動いているのはキュオーンですが。


「で、今度はどんな要件だ?」


そうでした。


回想に耽っている場合じゃなかったのよね。


ひとまず俺はゴモラさんに設計図を2つ見せる。


「・・・なんだ・・・これ?」


俺が見せたのは投石機とバリスタ。


どちらもハンドル巻きでリロード出来るタイプ。


故にとても大がかり。


「大工に武器つくれってかよ、兄ちゃん。」


駄目だろうか?


別に良くない?


「わはははは。本当にたいくつしねえな兄ちゃんといると。いいだろう・・・ただ、大分値は張るぞ?」


「構いませんよ。」


どうせあのイケスカイケメンに請求するし。


「豪快だなおい。分かった、最高のメンバーを集めて用意してやる。」


ありがたいことである。


どうせやるなら派手にやった方が良い。


ちょっと思いついた。


ついでに用意しよう。




・・・思ったよりも兵器開発は簡単にすんだ。


よくよく考えれば俺がつくる訳じゃないんだからそうなるよな・・・。


折角だ。


洗剤でもつくるか。


ディクションで調べた洗剤はシャンプーと殆ど大差がなかった。


若干石けん多め。


まあ、油汚れを落すんだから当然か・・・。


柔軟剤。


リンスで代用可能。


・・・。


ゴホン。


次だ、次。


ケチャップ。


トマト、ネギ、ニンニク、唐辛子、酢、塩、胡椒、砂糖。


全部ある。


つくっとこ。


リンゴ、トマト、醤油、米酢、塩、胡椒。


全部ある。


・・・


じゃあ、とんかつソースも。


赤ワイン、ケチャップ、ウスターソース、味噌。


さしすせそが揃うとこんなにもか・・・。


夜アリスたんにお願いして作って貰った豚カツ定食は好評だった。


「ふむ、このこってりとしたコクのあるソース・・・たまらん。」


「これならば他のお店もお任せできますわね。」


当主と奥様は人の家で何してんだろか?


つか他の店ってなによ?




本当に時間が流れるのは早い。


もう12月も、もう末に入る。


こっちで21才を迎えてしまった。


ショック。


いや、落ち込んでる場合じゃない。


なんとなくゴワゴワしていた服がフカフカになったのを喜びながら西に向かおう。


・・・誕生祝いにしてはショボすぎる。


「ワタクシが帰るまでに随分と面白いことになっていましたわね、オーホッホッホッホ。」


冬休みで一時ご帰宅のお嬢様。


一月ほどこのままのんびりするらしい。


大体日本の大学と同じ休み感覚。


俺も大学生ではあったが、今となっては羨ましい。


最近のんびりした記憶がないもの。


さて、到着した西の砦。


何をするのか?


試射だ。


投石機とバリスタが仕上がったので試そうとなったのだが、流石に街中というわけにはいかない。


ついでに俺特性弾も試す予定だ。


因みに投石機とバリスタは弓矢格納で格納できた。


俺が持ってても何なので、ミカギ産業の子供・・・といっても今年15才になって成人した女の子、バルバラに格納させた。


このままミカギ産業で働くも良し。


兵器を使って稼ぐも良し。


辿り着いた砦で投石機とバリスタを並べる。


「これが・・・。」


立ち会ったイケスカイケメンが驚いている。


お嬢様も奥様も当主も唖然としている。


バリスタ、つまりデカい弓はともかく投石機は見たことがないらしい。


城攻めなんてしないからね。


ゴモラさんは自作だから驚きこそしていないが不安そうだ。


まあ、試射だ。


失敗ありき。


バリスタはデカいボウガンだ。


矢のセットが面倒いが、撃つのは引き金カチリでOK。


じゃ、バルバラよろしく。


「分かった。」


ガシュンとなかなかの音と一緒に発射されたデカい矢。


飛距離も威力も問題なさそうだ。


これを口の中にぶち込めれば多分ドラゴンもいける。


矢はもうちょっと強度を考えた方が良いかもしれない。


「確かにこれならば・・・あるいは・・・。」


「手で引かなければ弓矢は大きく出来る・・・考えなかったな。」


次に投石機。


只デカい石を飛ばすだけ。


バルバラ、GO!!


「行けぇ!!」


ストッパーを外すだけの簡単作業で飛んでいった大きな岩。


「あの重量があんなに・・・。」


「これは・・・予想以上だ・・・。」


うん、乗ってきた。


ついでにあれも試しておこう。


「バルバラ、もう一度投石機をセットしてくれ。」


「うん。」


一生懸命キコキコとハンドルを回すバルバラ。


「セッティングの時間が大変だね。」


イケスカイケメンの駄目だし。


勿論考えてある。


「狩人ならセッティングしたまま格納できます。数さえ作れれば連射も可能ですよ。」


「・・・なるほど・・・。」


へっ、ザマミロインテリめ。


お、終わったな?


石を置く場所に今度は俺お手製の小型の樽を乗せる。


作った弾丸の火薬と弾丸を抜き、紙で作った袋に詰め込んだ。


火薬を微量に混ぜたロープ、導火線をつなぎ、手乗りサイズの樽に放り込む。


袋の固定とある程度の重さが出るよう、石を詰め、蓋をして完成。


火をつけてセット完了。


では、バルバラ、ファイアッ!!


「ぶっ飛べぇっ!!」


飛距離は石より軽い分抜群。


ちと、というかかなり右に逸れたな。


暫く待つとドーンと言う音がこっちまで聞こえてきた。


遠目デカい火柱と吹き飛ばされる木々が見える。


流石30発分の銃弾を使っただけはある。


トリケラドラゴンで50個ずつ確保したドラゴンアイテムがなければこんなことはやってない。


・・・あれ?


誰も何も言わない。


イケメンを見たら顔が青ざめていた。


おーい、なんかコメントしてー。


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