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メタエスター島

メタエスター島に到着して2日目。


ジャンヌに起こされ眠い目を擦る。


寝不足感・・・最近ジャンヌに深夜まで散々搾りあげられるおかげでどうにも。


おかげでまだ20才なのにしおしおである。


つーか、なんでジャンヌは平然と起きれるのだろうか。




気を取り直して。


メタエスター島までを4日で見積もったが、ちと足りなかったようで。


今日で6日目。


日程が押しておる。


あのいけ好かないイケメンのせいだ。


八つ当たりだけど。


さて、余り時間は食っていられない。


こっちでやることをおさらいする。


米・・・じゃなくてオリザの栽培所の確認。


他にいい作物がないかの確認。


あれば出来ればゲット。


あとついでに聖剣も。


意外と簡単。


観光もしたい気もしなくはないが、自然如きなら旅の旅程で見飽きている。


まあ、何か良いところの情報でも手に入れば臨機応変に。


さて、じゃあ行きましょうか。




ジャックに手紙を書いて貰っているので農場の名前は分かっている。


エバル農場。


農場主の娘ゼノビアさんって人と幼い頃から知っているらしい。


場所は・・・あ、もう宿屋の店主に確認済みと。


流石ジャンヌ。




街を外れガタガタと馬車で揺られながら農場へ。


道と呼んで良いのか分からん道を進んでいると馬車が止まる気配。


「お、着いた?」


「いえ、それが・・・。」


戸惑うジャンヌの声を聞き前方をのぞき見ると、道を横転した馬車が塞いでいる。


事故でもあったんだろうか?


「ちと見てくるわ。」


ジャンヌにステイのハンドサインを送りながら見に行くと、馬車はもぬけの殻。


馬もいない。


ふむ・・・どうしよう?


「ぐあッ!?」「がベッ!?」「このアマぐべッ!?」


突如後ろから聞こえる男達の悲鳴。


振り帰るとジャンヌが男を足蹴に佇んでいた。


地面に倒れ伏す5人のヒゲヅラ。


いや、何事よ?


「ゴミ虫共がこの馬車を狙ってコソコソ近づいてきたので片付けましたが何か?」


あー・・・人質にでも取ろうとしたのかな・・・。


なりはメイドだし。


地雷を踏んだゴミ虫君達に少し同情する。


一応生きてはいるようだ。


ついでとばかりに倒れた馬車をぶった斬って片付けるマイメイドの姿を尻目に、倒れていた馬車にあったロープでヒゲヅラ5人を縛って放置。


連れて行った方が良いのかも知れないが、定員オーバーにつきしゃーなし。


達者でなー。




さて、


「ふーん、ジャックの知り合いねぇ・・・。」


手紙を見ながらこっちをちらちら確認する女性、ゼノビア。


見た目はそこそこ美人。


他人を上から評せる程、自分の見た目に自信があるわけじゃないのだが、近くにジャンヌがいるおかげでどうしても目が肥える。


「あの孤児院を救ってくれたっていうんじゃ、無碍には出来ないけど・・・何て言うか・・・アンタどこの人?」


おめえ胡散臭くね?って空気を隠そうともしやがらない。


いつも公爵家に出入りしたり、公爵家の紋章つきの馬車を乗り降りしたりしているおかげで公爵領ではあまり不信感を抱かれたことはないのだが、俺の格好はかなり違和感があるっぽい。


見たこともない生地でやたら仕立ての良い服を着て、腰に剣鉈吊るした男。


横にはロングソードを腰に吊るし、具足を履いたメイド。


・・・そうなるよね。


ジャンヌを初見で不審者扱いした当時の俺がなんとなくダブる。


「アイツの字なのは間違いないから信じるけど・・・最近、近くで山賊が出た、なんて噂もあるからね。悪いけどこっちも不安でね。」


山賊・・・アイツらかな?


「で、ご用件は?手紙じゃオリザの畑を見たいって事だけど・・・。」


「ええ、実は俺もオリザの栽培がしたいな・・・って。」


「畑見るだけで真似できるようなものじゃないけどね。見せるには見せるけどこっちも生活がかかってるからね。細かくは教えられないよ。」


「構いませんよ、それで。」


「そ、なら着いて来て。」




アララト農場ほどではないが広い農場地。


見回しながら後を着いていくと思ったより作物の種類がある。


収穫時期だからかな。


どの畑でも農夫が忙しなく動いている。


元の世界と作物の名前も形も違うのどれが何だか分からない。


自分がもっとも適任から外れた存在だと思う。


詰んで置かれているカボチャ位ありそうなニンジン色の根野菜とか意味不明だ。


めぼしいのかどうかも分からない。


「ああ、それかい?去年野生種を見つけて、試しに空いてるスペースで栽培したんだけど・・・。」


「何かあったんですか?」


「やたらと甘みがあるんだけど、それ以上に泥臭くてね。」


「泥臭い?」


「ああ、何かに使えるかもと思って捨ててはいないんだけど・・・多分売り物にはならないねぇ。」


「よくそんなもの植えましたね。」


「水のせいって事もあるからね。新しい作物を見つけたら狭いスペースで一応育てるのさ。意外な稼ぎになるかもしれないしね。」


「なるほど・・・。ということは、つまりこれは他の農場では栽培していない作物?」


「ああ、多分だけどね。」


ほう。


となれば試してみるか。


「一つ譲って貰っても?」


「構わないけど・・・。」


許可が取れたので、試しにその場で剣鉈で切って口に入れる。


・・・うぇ。


「だから言ったろうに・・・。」


簡単に言うと泥臭いというより甘い泥の味。


確かにコレを食すのはキツイな。


が、利用価値はあるように思う。


「これの種を売って貰っても?」


「は?べつに構いやしないが・・・物好きだねぇ。」


元の世界であった甜菜糖を思い出し一応確保。


現状砂糖の原料が輸入品頼りだからな。


抽出できれば儲けものだ。


他は・・・ジャンヌ、どう?


「あとはどれも店で見たことがあるものばかりですね。アララト農場で栽培しているかどうかまでは分かりませんが。」


ふーん、じゃいっか。




「で、ここがオリザ畑だよ。」


目の前に広がる稲穂と水田。


収穫前の水抜きで乾いているけど、普通に分かる。


うん、もうこれ米。


普通に米。


「満足したかい?」


「ええ、とても。」


来たかいがあった、と言って良いか不明だけど。


分かっちゃった以上俺にはディクションがある。


事前に米の栽培方法が載っている頁があることは確認済みだ。


「世界が滅んだ先で ~日本はこうして復活する~」


とかふざけた頁ではあったが。


世界が滅んだあとのことをオンラインで書いたはヤツは何を考えていたのだろう?


ソフトをインストールして起動させたら、インストールマニュアルが入っていた位に意味がないと思う。


とにかく目的は達した。


種籾はあるし、もうここに用はない。




「何がしたかったんだかよく分からないけど・・・気をつけて帰んなよ。」


ゼノビアさんに見送られて宿へ・・・。


「どうせなら祠を見に行きませんか?」


聖剣の祠は近いところにあるらしい。


明日から腰を据えて攻略しようかと思っていたが、まだ日は高い。


内見位してもいいかもしれない。


・・・




夜、宿のベッドでジャンヌがニヤニヤしている。


手には綺麗な鞘に収まった片刃の曲刀。


ぶっちゃけると日本刀。


銘は「クレッセント」。


Ⅲに位置する聖剣だそうだ。


内見のつもりだったんだけどな・・・。


ジャンヌの言うとおりバンバンしてたら終わった。


モンスターどうこうより10階層の階段上り下りが辛かった。


もう脚がパンパンである。


流石に疲れた。


ねえ、疲れたんだジャンヌ。


だから偶には休むっていう選択肢がですね・・・。


えー、はい・・・頑張ります。


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