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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
夏の花咲く恋日和
41/41

発覚する真実

結局、あの後はあまり眠ることができなかった。


牡丹と皐月と買い物に行って、不良にさらわれてしまった二人を助け出すときに本性を見せてしまった。そして、今まで二人を欺いていたと言う事実を知り、喧嘩しているようになってしまったと言うわけだ。

その後、後日改めて話し会う。と言うことにはなった。


しかし、俺は朝っぱらから布団の中に引き篭もっていた。

正直、この状態のままで部活に行くのが本当に嫌だ。

話し合うのは嫌ではない。むしろいち早く解決したいと思っている。

しかし、体が言うことを聞かなかった。


「はあぁぁぁぁぁ………………」


先程から、溜息ばかりがこぼれる。

昨日の事を思い出す度に、胸の奥が痛くなり、頭の中が不快な靄で包まれる感じがする。


―――結局、俺は何をしたかったのだろうか。


その言葉だけが、俺の頭の中で絶え間なく鳴り響く。


「はあぁぁぁぁぁ………………」


その後も、俺の溜息は絶えることなく続いていた。




     ×     ×     ×


夏休みもそろそろ終わろうとしている今日この頃。

私、山吹梓が所属している文化研究部は、不憫な雰囲気が流れていた。


「はあぁぁぁ………………」

「………………ふぅ………」


見てわかるほど、鬼灯と七竃の元気が無い。

元気が無いと言うより、悩んでいるとか、落ち込んでいるとか。そんな感じだ。


「ねぇ………牡丹~、皐月~。どうしたの~?」

「はあぁぁぁ………何でもないわ」

「何でもないです………ふぅ………」


嘘だ。

その態度で何でもないなんて、嘘が下手にも程がある。


果たして、何が原因なのか。

正直、何が原因なのかはわかっている。


「………石蕗と何かあったのか?」

「!!………な、何もないわよ」

「な、ななな何でもないです」

「いや、わかりやすいにも程があるよ………」


やはり、か。

前日、二人が石蕗と遊びに行ったのはわかっている。本人達が楽しそうに話していたからな。

しかし、今日はその楽しそうな雰囲気など感じさせず、憂鬱………というより哀愁が感じられる。

そこまでのギャップを見せられて、何とも思わない奴はさすがに居ない。


「………まぁ、無理に話す必要は無い。………石蕗に何をしてでも吐かせるまでだ………」

「そ、そんな事しちゃダメですよ!!」

「正木に何かしたら怒るわよ!!」


石蕗に何があったのか無理矢理吐かせようと思っていたが、二人に思いっきり止められてしまった。

まぁ、二人がこう言うのは大体予想していた。


「でもさ、牡丹、皐月。二人が正木に何かされてたら私は正木を病院送りにする事だって躊躇しないからね」


赤松の顔やオーラが真っ黒に染まるような感じがする。

いつもとのギャップの大きさに、私は思わず声をだしてしまった。


「だ、だめですょ………正木さんは何もしてないんですから。病院送りにしないでください」

「そうよ!正木は悪く………ないんだから!」

「何で今つっかかったの?」


赤松の言うとおり、七竃は一瞬だけ言葉が詰まったような気がした。

二人は必死に何かを隠しているような態度を取っているが、話すたびにボロが出ている。

もはや、石蕗が何かをしたと言っているかのようだ。


「む、無理に話をさせようとしたらだめだよぉ」


私達が二人から情報を聞きだそうとしていると、楓がか細い声でそう言った。

それを聞き、私と茜は尋問を止める。


「皐月ちゃんも牡丹ちゃんも、無理して言わなくていいよ!」

「楓さん………」


涙目になりながらも、楓は二人を安心させるように優しく微笑みかけた。


「無理しないで、一つ一つ言っていこう?」

「はい!」


違った。ただ安心させて油断させただけだった。

この時楓が二人に向けた清い笑顔と、それと裏腹にドス黒く染まっている心から発せられた言葉を私は忘れないだろう。


「実はですね……昨日こう言う事がありまして………」


それから、鬼灯は涙混じりに昨日あった事を語った。

3人で買い物に行ったことや、その後不良にさらわれたり、その時に石蕗の本性を見てしまった事など、牡丹は先程体験したかのように鮮明に話した。


「まさか、そんな事が………」

「正木も、遂に二人に本性見せちゃったか……」


赤松の反応にも納得できる。

私も、石蕗の本性を見てしまった時は、酷く困惑した。

いつもの石蕗とは別人に見えるような錯覚に陥れられたのを、未だに覚えている。

二人は、私より石蕗の本性を知るまでの期間が長い。

つまりは、より一層いつもの石蕗との差を感じてしまったのだろう。


────しかし、それは勘違いだろう。


「………二人は気づいていたのか?」

「何がですか……?」

「体育祭の時や、買い物に行った時とかに、本性を見せてしまってたのをだよ」

「そ、そうなの!?」


私が言うと、七竃はバンっと机を叩いて立ち上がった。


「ん………そうだが、急にどうした?」

「え!?あ………あぁ……えっと………なんでもない」


七竃は、少しだけ挙動不審になるが、すぐにいつもの調子に戻ってしまった。


「結構バレバレだと思ってたんだけどなぁ………バレてなかったんだ〜」

「正木、本性を出すときは思いっきり出しますからね」

「昔はあんなに真っ黒じゃなかったのにな〜」


赤松達の言う通りに、私も石蕗の本性はもう既に二人に知られていると思っていた。

だから、今回の一件は予想外だ。


「………それで、お前たちはどうしたいんだ?」


少し明るくなった雰囲気を無理矢理切り替えて、私は二人に問う。


「私は…………………謝りたいです」

「謝りたい?」


鬼灯の返答に、茜が首を傾げる。


「正木さんの本性は、はっきり言えば怖かったです」

「まぁ、だろうね」

「けど………体育祭の時とか、いろんな事振り返るとわかるんですが………正木さんは、私達を守るために本性を顕にしてたんですよね………」


その言葉を聞き、皆黙り込む。

鬼灯の言う事は正しい。石蕗は今まで、部活の皆を誰かからの被害から遠ざける為に本性を顕にしていた。

その事には私だって、皆だって何度も助けられた。


「正木さんは私達がさらわれたときも、バレたくない気持ちを殺して私達を助けたのに………それを踏みにじるように酷い態度を取って………」

「………鬼灯……」


か細く発せられる鬼灯の言葉に、私達は何も言葉を返せなかった。


そもそも、何故石蕗が本性を二人に見せたくなかったのか。それは本人から直接聞いたことがある。


──せっかく入部してくれた後輩に、不快な思いさせたくないですからね。


今でも、その言葉は覚えている。

自分の本性で怖がられたり、不快な思いをさせたくないが故、石蕗は自分の本性に蓋をして、押し殺して生活してきた。


そう、自分の本性を押し殺して…………。

………………?

何かが変だ。

自分の中で何か疑問が浮かんでいる。

どんな疑問だ?

…………………。


「…………赤松。お前さっき、『昔はあんなに真っ黒じゃなかったのになぁ〜』と言ってたよな?」

「え?うん。言ったけど………どうしたの?」

「………今の石蕗と昔の石蕗は、性格が違ったのか!?」


私の中で渦巻いていた一つの疑問。

それがようやく理解できた。


「うん。そうだけど………本当にどうしたの?」

「昔の正木はどんな性格だったんだ?教えてくれ」

「え、………まぁ、普通な性格だったよ?どこにでもいるような普通な人間」


『普通な人間』


昔からずっと正木を見ている赤松が言っているなら本当なのだろう。

では何故。

何故、正木の性格は変化したんだ?


「な、何で………いや。いつ、正木の性格は変わったんだ?」

「…………中学生2年生の後半らへんからかな。正木の性格が変わり始めたのは」

「変わり始めた?」


赤松がどこか遠い目をして、思い出すような表情になる。

今まで見たことの無い、赤松らしくない表情だ。


「そう。正木の性格は、その頃から急に変わってったんだよ」



──私と、ある一人の女の子のせいでね。

どうも、萩原です!

今回は、少し投稿の期間が大きく空いてしまい、誠に申し訳ありませんでした!

次回は、どれくらいで投稿できるかは定かではありませんが、なるべく早めに投稿できるよう心がけます。

今回は、あまり進展の無い回となったような気がします。

次回は、少し内容濃くで執筆できたらな。と思っています。

楽しみにして頂けたら光栄です!

誤字脱字、感想等も受け付けております。

ブックマークなどしてくれるとうれしいです!

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