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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
春恋編
16/41

一年生歓迎会は混沌と化す

前回のあらすじ川柳

       山吹と

        一緒に買い物

           人気過ぎ(何故かはわからない)

俺と山吹先輩の買い物が終わった次の日。

つまりは一年生歓迎会当日である。

その日、俺と楓はせっせと料理の準備をしていた。

まぁ、準備と言っても調理するものはあまりないのだが。問題は量だ。

うちの部には胃袋ブラックホールの茜がいるので、大量に料理を作らないといけない。


「正木!唐揚げどれくらいできました?」

「もう50個は作ったよ」

「じゃあ次は………たこ焼きの大量生産をお願い!」

「おう。わかった」


俺達が料理をしている家庭科室は混沌と化していた。

山吹先輩との買い出しの量では足りないと楓に怒られて、今日急いで買い足しへと行った。

ついでに何品かの料理も追加することとなった。


「正木。デザートのチーズケーキ作り終わったから、冷蔵庫に置いておくよ!」

「おう。早く戻ってきて次はタルト作ってくれ」

「はい!わかりました!」


そう言って楓は大きな胸を揺らしてケーキを運んでいった。

待ってる間に少し休憩を………とは思うことはできないのでとりあえずたこ焼きの大量生産をする。

専用のホットプレートに素を流し込んでタコを入れ焼く。こんな簡単な作業なのにどっと披露が貯まる。

だいたい茜と皆が食べるであろう量を作り終えたときに楓が帰ってきた。


「あ!たこ焼き終わったなら、次はスープ作っていてください」

「おう。そっちはタルト任せたぞ」

「はい!」


そうしてまた作業に戻る。

……………疲れる。

何時間やったってこの結論にたどり着く。

先程からかなり数を作っているのに何故か進まない。まぁ、十中八九量が多すぎるのが問題だが……。

まぁ、これで皆が喜ぶなら俺も楓も嬉しいだろう。そう思いながら着々と作業を勧めて行った。


「二人とも、お疲れ様。差し入れとして飲み物を買ってきたよ」

「お、山吹先輩」


俺達の作業が終わりに近づいてきた頃に、山吹先輩が差し入れ片手にやって来た。


「ありがとうございます。山吹先輩」

「なあに、これくらい問題ないよ。二人には現在進行形でお世話になってるしね」

「はは………そうっすね。これは冗談でも『そんなことないっすよ』って言えないです」

「そうですよねぇ………量が量ですからねぇ」


俺の考えに楓がうなずく。

山吹先輩も料理された体をとたこ焼き達や、他の大量な料理を見て苦笑する。

まぁ、俺もそうなるだろう。

こんな量。普段の生活なら作るはずのない量なのだから。


「何か手伝えることはないか?」

「いえ。もうだいたい終わるんで、飾り付けを完成させといてくれませんか?」

「ああ、わかった。行ってくるよ」


そう言って山吹先輩は部室へと向かう。


「………よし。楓、ラストスパート行くぞ」

「はい!後ちょっとで皆来ちゃいますからね!頑張りましょう!」

「ああ。あとは………サラダ作って終わりだな。頑張ろう」

「はい!」


そうして俺達は料理を作り終えて、部室へと向かった。

そこにはもう、俺と楓以外の皆が揃っており。後は始めるだけとなっていた。


「あ!正木!遅いわよ!」

「正木さん。楓さん。お料理お疲れ様でした!」


後輩二人のお出迎え………我が生涯に、いっぺんの悔いなし。

そんなくだらないことを考えながら。テーブルに全ての料理を並べた。


「おお………正木さんと楓さんのお料理はすごいですね………量が」

「ええ………たしかに凄いわ。量が」

「石蕗と楓………こんなに作って大変だったろう。早く座りたまえ」

「はい。………じゃあ、楓。さっさと座ろう」

「はい。わかりました」


そうして俺と楓は座る。

しかし、俺は座った途端に後輩'sに腕を引かれて強制的に立たされた。

二人の顔は妙にニコニコしていて逆に怖さを感じる。

………え?なに?俺処刑でもされるの?この笑顔はなんなの!?

しかし、全く見に覚えの無い事なので、何が何だかわからずにいた。


「正木さんはこっちですよ」

「さあ、そこに座りなさい!」

「へ、へい………なんでせうか」


恐怖に怯えて思わず噛んでしまう。

それを見て山吹先輩はクスリと笑い、飲み物が入ったグラスを持ち上げた。


「では、そろそろ始めるとするか」

「ええ、そうですね。じゃあ。誰が………音頭を取ります?」

「「正木(さん)で!!」」

「お、おう………ええ?」


後輩'sに音頭を任されてしまった。でも、俺はこういうパーティーに参加したことが少ないのでどうも迷ってしまう。

だから俺は、遠慮がちに言った。


「じゃあ………オホン。牡丹、皐月。今更だけど文化研究部へようこそ!今日は楽しんでくれ。乾杯!」

「「「「カンパーイ!!」」」

「正木真面目すぎてつまんなーい!」

「うるせ!茜」


そうして文化研究部一年生歓迎会が始まった。

皆。それぞれが食事を頬張り、談笑しながら歓迎会を楽しんでいる。

主役の牡丹と皐月はニコニコ笑顔になりながら皆と話している。後輩'sの間に挟まれている俺がだんだんと空気になっていることに気がついた。

あるえぇぇぇ!?俺ここに居る意味なくね?

そう思っていると。


「………おい。鬼灯に七竃。愛しの先輩が何も食べていないようだぞ。食べさせてやれ」

「あ!正木さん。せっかくいっぱい作ったんですから食べてください!はい、アーン!」

「あ〜!牡丹ずるい!正木、私のも食べなさい!はい。アーン!」

「お、おう………ちょっと?二人同時はいくらなんでも」

「「えりゃ!!!」」

「もふしゃ!!」


二人に唐揚げとたこ焼きを同時に口に突っ込まれる。2つの味が混ざって、美味しくはあるが口の中が混沌と化している。


「どっちが美味しい!?」

「私の方ですよね?正木さん!」

「うう………どっちも俺が作ったから………わかんない」

「……………細かいことは気にしないでください」

「まだまだ乙女心がわかってないわね」


そう後輩'sに呆れられる。

両方とも俺が作ったからどちらも美味いかどうかなどわからない。だけど皐月にまた乙女心がわかってないと言われて悔しかった。少しだけど………少しだけど!

それからも、俺は後輩sから餌付けをされていた。

そんな時、山吹先輩がふと思い出したように鞄を漁る。


「………あ、そうだそうだ。皆、母に手土産を持たされたんだ」


そう言って山吹先輩はいくつかの梱包された箱を取り出す。


「お菓子………ですか?」

「ああ。クッキーやらチョコやら。色々あるぞ」

「おお………高そうです………」

「すごい!美味しそ〜!」


山吹先輩の手土産に皆驚く。

それはそうだろう。高そうなクッキーやそこらへんでは売ってないようなチョコなどが何箱か並んでいる。

常人では見る機会が無いようなお菓子たちを前にして皆はどうも萎縮してしまった。


「主役の牡丹と皐月。どれか食べたいものを取って食べていいぞ。残りはお茶菓子としてとっておく」

「えぇ………いいんですかね?」

「………本人が良いって言ってるんだからいいんだろ」

「じゃあ、牡丹。え、選びましょうか」

「は、はい!」


そう言うと牡丹と皐月はそれぞれ箱を取って吟味する。

その姿は………なんか………可愛い!

まるで玩具を選ぶ子供のような、そんな愛嬌が今のアイツらにはある。


「………正木。また当身受けたいの?」

「す、すんません」


また父性がヤバくなっていたところを茜に抑えられる。ありがとう茜。そろそろ暴走しそうだったから。

しばらくすると後輩'sは一つの箱を手にとってテーブルの上にのっけた。


「こ、これにします」

「じ、じゃあ。開けるわよ」


そう言って後輩'sは箱の梱包を開けていく。

高そうなお菓子の中から、比較的安価そうな物を選んだとは思うが、それでも底しれぬ高級感が俺達を包む。

そして、箱が開くと俺達は意外なものを見た様な反応をする。

そこには色とりどりに包まれたお菓子たちが鎮座していた。

おそらくはチョコだろう。そう思って一粒摘んで見る。


「おお……高そうなチョコだな……」

「ぼ、牡丹。食べましょう」

「は、はい。………いただきます」


そう言うと牡丹と皐月らチョコを口へと運ぶ。

そうして何度か咀嚼してから言う。


「ん!………これ、ブランデー入りのチョコね……」

「ん〜!!変な味がします………」

「え?まじで?ブランデー入り?………あ、でもあんまり度数が高くないな………」


俺はブランデー入りのチョコが入っていた箱を見ると、それの度数は………まあ、これくらいなら酔うことはないだろうが、一応もう食わないほうがいいだろう。

そう思ってどんどん食べ進めていっている皆を止める。


「これ、まあまあ度数高めだからやめといたほうがいいぞ」

「ふぁ?なんでしゅか?ましゃきさん」

「なによぉ!文句でもあんの!?ましゃき!」

「ありゃ?……牡丹と皐月の様子が……」

「………び、Bボタン押したほうがいいんじや………」


俺が指摘した時、牡丹と皐月の様子が異様だった。

その異様さは、茜が一目見ただけで気がつくようなものだった。

楓はなんか訳のわからないこと言ってるけど大丈夫だろう。

と言うか、二人の傍らにもうチョコの包み紙が大量に落ちてるのだが………。


「ましゃきさん!ほりゃ!しゅわって。ごひゃんたべまひょ!」

「ほぉら!さっさと座って!たべりゅわよ!」

「お、おい!まて、待って!引っ張らないで、服伸びちゃう!」


俺は後輩'sに引っ張られて無理やり座らされて、座った後も腕をずっとホールドされていた。

まさか、コイツラはブランデー入りのチョコを大量に摂取して、よってしまったのではないだろうか。


ああ!二人ともホールドしているときに膨らみかけの胸部が当たって腕が幸福だ!違う!最高だ!違う!

さっきから、あり得ないほどの煩悩が俺を襲っている。

しかし本心はそんなこと考えている余裕はない。顔がほんのり赤くなっていてそれが何故か恥ずかしい。


「えへへ………ましゃきしゃんの腕あってゃかい………」

「ちょっと!正木!デレデレしてんじゃないわよぉ!」

「痛い痛い!皐月、つねらないで!」


牡丹は俺の腕で甘え、皐月はキレながら俺の腕をつねっている。

しかし、どちらも密着しているから体の成長中の部分が腕にあたって何か歯痒い。どことは言わないけど。

しかし………牡丹は結構あるんだなぁ………おっと!煩悩を振り払え!石蕗正木!


俺が悶々としている中で、山吹先輩がゴミを見るような目でこちらを見つめていた。

まさにベビ睨み。

俺の体はしばらく動けないほどの恐怖で覆われてしまう。


「………石蕗………後輩二人をたぶらかして何してるんだ?」

「誤解です!たぶらかしてなんかいませんよ!これは後輩'sが勝手に!!」

「正木!ボーッとしてるんじゃないわよ!!」

「ましゃきしゃん!わたしにかみゃってくだしゃい」

「痛い痛い痛い痛い!!!両腕を同時に引っ張んないで!!」


山吹先輩と話していたら何故か二人に両腕を引っ張られる。

相当の力で引っ張ってるから腕がもげそうで痛いぃ!

詳しく言うなら手首と肘が外れそうなのと、関節が変な方向に曲がろうとしてることだ。


俺が痛そうにしても二人は引っ張るのをやめず、十分くらいの間引っ張られ続けた。

その間にアルコールを口にしたからか、茜と楓はソファで仲良く眠りこけていて、安らかに夢の世界へと旅立っていた。

山吹先輩は時折飲み物を飲みながらこちらの様子を伺っており、助けには来てくれない。


「ちょ!山吹先輩………助けて………もう腕が限界です………」

「ほら、頑張れ頑張れ。愛しの後輩たちがお前をかけて争ってるんだぞ。我慢しろ」

「そんなぁ!悪魔!鬼!」

「褒め言葉だ!」


山吹先輩はドヤ顔しているが、全然楽しめるような状況ではない。

特殊な性癖の人なら二人の成長中の胸部に挟まれて死ねるのは本望だろうが、俺にはそんな性癖は無いし、あるのは幸福のみだ。

あ………もう俺の腕が限界を迎えている。


まずい!このままじゃあ本当に後輩sの腕の中で死合わせになってしまう!違うな、幸せか?もうどっちでもいいや。

いいや!良くない!おれの両腕をかけた一大事だぞ!?何で本当に山吹先輩傍観してるだけなの?



────バキッ



「「「あっ」」」

「ぐはぁ!!」


一つの不気味な音と皆の声とともに、俺の意識は飛んでいった。

その後は酔った二人が俺を離さず寝てしまったのでしょうが無く泊まることにしたと山吹先輩が言っていた。

しかし、俺の意識は朝後輩'sに起こされるまで目覚めず。途中の幸せなど一つもなかった。


まぁ、楽しい歓迎会ではあったが、後輩'sには絶対にアルコールを与えないと誓った。


それともう一つ。

俺は山吹先輩を許さない。

どうも、萩原慎二です。

一年生歓迎会が終わり、だんだんと夏休みが近づいてきました。

夏休みのお話は内容がとっても濃い(はず)ので、楽しみに待っていただければ嬉しいです!!

誤字脱字、感想等も受け付けております。

ブックマークなどしてくれると嬉しいです!

次回予告川柳

     夏休み

      始まる前に

         強敵が

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