そのⅧ
美春たちはこの後雑誌コーナーで時間をつぶしていました。
そして十分後、
「水野原市警察署のものです。」
という声で漫画の世界から帰ってきた二人がみたのは、大柄な警察官二名がレジの係員の人に手帳を見せているところでした。
「ほら、美春いくよ。」
と千紘は美春の手を引いて警察の人に近づいていきます。近づくごとに二人の鼓動は、緊張のあまりに高鳴っていきます。
そして、警察官の人と、レジの人が話をしているところで、
「あの・・・」
代表として美春が生徒手帳を見せながら警察官に話しかけました。
「なんだい?今は取り込み中…」
こちらを振り返った警察官はそこで言葉を切り、
「おい」
と隣の警察官に無理やりこちらをむかせて、「失礼いたしました!」
と美春達に敬礼してきたのです。これには二人ともびっくりです。
「えっと、あの…この件は魔術事件なんですが…。」
そう美春が言うと、二人の警察官は気を使ってくれてか、笑顔を浮かべて、
「そうですか。それでは後はよろしくお願いします。それでは。」
と警察官は敬礼をするとパトカーに乗って帰っていきました。
「あー、怖かった。」
美春はここで大きな伸びをしました。どうやら緊張が解けたようです。
「でもびっくりしたよ、美春。この生徒手帳に警察官以上の力があるなんて。」
千紘はものめずらしそうに手帳をぺらぺらめくっています。
そこで、奥から先生が出てきました。
「あれ先生。女の人はどうしたんですか?」
先生は片手に手帳を持っているだけで、先ほど一緒に入っていった女性は一緒ではありませんでした。
「あの人だったらさっき帰ったよ。」
「えぇー!いつの間に?」
「え、美春気がつかなかったの?さっき雑誌コーナーにいるとき、会釈しながら帰っていたよ。それよりも…」
千紘は先生に向き直り、
「なにがあったんですか?」
と真剣なまなざしで訊きました。
「それについては車の中で話すよ。」
全11話の予定でしたが、バランスを考えた結果、最終話を分割することにしました。
そのため現在全12話構成を予定しています。




