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そのⅦ
「大丈夫ですか?」
先生とともに向かった先は、さきほど美春とのっぽやろうがぶつかった角にあるコンビにでした。
先生は入り口付近で涙を流している女性に話しかけています。
「あ、あなたは…?」
女性は先生のほうを見上げます。
「失礼しました。管理局の九重と申します。お話を伺ってもよろしいですか?」
まるで英国紳士みたいなそぶりをする先生に、女性はコクンと首を縦にふりました。
「二人とも生徒手帳は持っているか?」
「ええ、これですね。」
と千紘は胸ポケットから赤を基調とした生徒手帳を取り出しました。昨日新しく配布されたもので、美春たちはまだ目を通していませんでした。
「その手帳の一番後ろのページにある身分証明書のページは、警察手帳以上の権力があるから警察が着いたら手帳を見せながら『これは魔術事件です。』と言っといてくれ。先生はこちらの女性と奥で話をしてくる。」
先生はそういうと、美春に封筒を渡して、コンビニの「関係者立ち入り禁止」と書かれたドアの奥に消えていきました。




