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電話

 ある夜、覚えのない番号から着信。

 女が、

「彼と結婚しないで」

 そう告げると、名乗らないまま切った。


 やがて、その番号が私の友人・恵子のものであることがわかった。

 彼と恵子が私の知らないところで?

 彼は否定したが、結局、私と彼は別れてしまった。


 数日後、恵子が私に会いにきた。目を輝かせ、弾んだ声で、

「彼と別れたのね。よかった。もう、どこにも行かないで」


 あの電話の意味も、恵子が誰を好きなのかも……やっとわかった。


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