表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

第26話 終

 村長が願った。村人総出で、都からの客人の見送りをした。ヨシカはクロスの乗った馬車を見たが、クロスの姿が見えなかった。

「とんだ騒ぎだったわね」

 メイが腰に手をやりながらいった。

「そうね」

「もうとうぶん、都から人は来ないでしょう」

「そう、でしょうね」

 寂しさがないといったら、嘘になる。残念そうな横顔のヨシカを見てメイは思うことがあったが、知らないふりをした。

「ヨシカ、これ。ちょうどいいのが店にあったから」

 タオリがカゴを持ってヨシカに声をかけた。カゴの中身は白い布で、コチの頭巾のためのものだった。

「このままふもとのムカエギに持って行って」

「ありがとう、助かる。すぐ、届ける。じゃあ、メイあとで」

「無理しちゃだめよ。病み上がりみたいなもんなんだから」

「大丈夫、歩いて行くから」

「倒れてたら拾いに行く」

 メイに手を振り、キシャ山に向かった。昨日の出来事が昨日の出来事じゃないような不思議な感覚だった。動かなかったからだも、治り、さらに軽くなっていた。だから走っても大丈夫そうだった。また、毎日が続いていく。いつ終わるかわからない毎日が。

「ヨシカ」

 ユーマが追いかけてきた。

「どうしたの、ユーマ」

「半月がお菓子くれた」

 菓子のはいった紙袋をユーマは腕いっぱいに上げてヨシカに見せる。

「よかったね。お礼もいえてよかった」

 ユーマは照れた。

「お菓子もらったときにね、半月がこれをヨシカに渡してくれって」

「わたしに?」

 白い紙に包まれたちいさいものをユーマはヨシカの手のひらに置いた。

「ありあわせの取り急ぎで申し訳ないけどって」

「なんだろう」

「一方的な約束だって。じゃあ、みんなとお菓子食べてくる」

「はしゃいでこけないようにね」

 ヨシカの声はもうユーマの背中に届いていなかった。ヨシカは包みを丁寧に開いた。現れたヌカエの指輪が太陽の光強く、ヨシカのそばできらめいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ