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冒頭だけシリーズ  作者: 江菓
12/12

おまけ③ 殺人鬼神田が生まれるきっかけ

こちらは神田くんの子供の頃の話です。

物心着いた頃には家で一人でいるのが当たり前だった。寂しいという感情を知らない程、一人でいる時間が長かった。父は医者で家に帰ってくることは少なかった。母は会社の社長で家には寝に帰るだけだった。唯一の兄弟である兄は私が小学校に上がる頃には海外の高校に進学した。だからいつも家では1人だった。小学校では何も悟られぬよう平然と過ごし、家に帰って近くの森で捕まえた虫をいじめた。羽をもいだり、足を1本ずつ抜いたり、切り刻んでみたり。そうやっている時だけが心が安らぐ時間だった。苦しそうに死んでいく虫たちを見て、幸せを感じていた。

『死んだら何になるのだろう。』

子供の頃の自分は虫を殺しながらそんなことを考えていた。新しい生物に生まれ変わる輪廻転生、魂になって天国や地獄に行く、消えてなくなるなど色んな考え方がある。少し前までは自分もわからなかった。死んだらどうなるのだろうか、天国に行くの?それとも輪廻転生するの?わからないという恐怖は徐々に自分の中で知りたいという興味に変わっていった。

ある日、葬式に参列することになった。その葬式は自分の家に週に3日程で来ていた家政婦の葬式だった。夜道を帰る途中何者かに襲われ、殺されたのだという。その家政婦の家族や友人からは「どうして…まだ若いのに…」や「もっと…もっと生きて欲しかった…」という言葉を漏らしていた。そこで私は気付いた、『死んだら人は記憶になる』のだと。死んだら焼かれて骨になって、残るのは生きていたという証拠達とその人と生きた人達の中にあるその人の記憶だけ。そうか、あの家政婦は今、『記憶』になったのか。そう子供心に思った。結局、犯人は捕まらなかった。小学生が興味本位で殺したなんて所まで大人は頭が回らなかったようだ。それからは人は殺さず、虫やその辺を飛んでいる鳥、川を泳ぐ魚を取って『記憶』にした。自分の心はもう料理と生物を殺すことでしか癒されなかった。生き物の命を食べられるようにする料理は殺すこととよく似ていてとても好きだった。

「いただきます。」

一人で作った料理を前にして、一人でそうつぶやき、一人で食べる。食べる時だけは虚しさが私の胸を乱雑にかき混ぜる。カチャカチャという食器とカトラリーの当たる音だけが響く部屋で1人。心の中は1人という孤独と慣れたはずの寂しさと与えて貰えなかった愛が虚しさという棒でぐるぐると乱雑にかき混ぜられ、乱雑にかき混ぜられて心という鍋の外へ飛び散ったソレは自身の目から涙となって溢れてくる。味には気を使って、しっかりとしたはずなのに少ししょっぱく感じる。塩は少なめにしたはずなのに、しょっぱさが口の中にいる。一人。産まれる時も死ぬ時も人間は1人だとどこかで聞いた。でも自分は、私は、生きている時も死んでいる時も1人なのだ。ボロボロと溢れる涙は頬を伝ってぽたりと床に水たまりを作る。

愛を知らない人間は、愛を知りたくて怪物になった。いや、なってしまったと言った方が正しいのかもしれない。神田は、ただ純粋に愛を知りたかった。自身が貰えなかった愛がどんな物で、どれほどの力があるのか、知りたかっただけなのだ。

これで本当に最後です。松尾、神田、澤田たちをありがとうございました!!もし、このシリーズの続編が出来たら、また投稿させていただきます!!

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