1品目 ふわとろオムライス殺人事件
プロローグ
私は、彼に裏切られた。こんなにも思っているのに、彼は他の女を好きになって恋に落ちた。私の気も知らず、花屋の女に恋に落ちた。アプローチが足りなかったようだ。やっぱり、アプローチは私の得意な料理にすればいいのだ。
そうだ、今日はオムライスにしよう。
朝から死体が見つかり、助手席に座る上司の澤田は不機嫌そうな顔をしている。自分だって朝から死体を見るのは嫌だ。でも、刑事として現場に行かないのはダメだから仕方なく車で今向かっている。
「おい、松尾。」
「なんですか澤田さん。」
「今日見つかった死体、子供らしいぞ。」
「・・・」
澤田はポケットからガムを取りだし、ため息をつきながらガムを食べる。朝から死体をみるだけでも嫌なのにその見ないといけない死体が子供だという。本当に今日はついていない。
現場に着くと、キープアウトの黄色と黒のテープが貼られている。現場は山の中の小屋のようだ。小屋に入ると、黄色い布で巻かれた女児の死体があった。年齢は5歳くらいだろうか。
「これは…」
「死体を布でまくなんて、最後の情けか?」
2人で死体に手を合わせていると、後ろから先に来ていた神田が声をかける。
「澤田さん、松尾さん、こんなものが。」
神田に渡された封筒には印刷したような字で『ふわとろオムライス』と書かれていた。
「なんだこれは?」
「中を見て見ましょう」
封筒をあけ、中に入った3つ折りの紙をだし読む。小説のような文章だ。
『 彼女はオムライスが嫌いだった。理由は単純。彼女のお母さんが仕事に行くとき、作っておいてくれるのがいつもオムライスだからだ。昔は母のオムライスが大好きだった彼女もオムライスを作ってくれた時はいつも晩御飯が1人だとわかった。彼女にとってオムライスは夜、1人で過ごさなければいけない日の合図となった。だから、大好きだった母のオムライスは今や大っ嫌いになった。もう、彼女は大好きで大っ嫌いなオムライスを食べなくてすむ。』
と書かれていた。字はもちろんパソコンでよく見るカクカクの字。
「なんて野郎だ…」
「これは鑑識に回しましょう。」
「そうだな。で、この女の子の身元は?」
「今、捜索中です。」
死体は運ばれ、死体のなくなった小屋を調べる。小屋の中には誰かが少し前まで住んでいたような形跡が残っており、女児の服と思われる物もあった。
「誘拐して、ここで少し過ごして、殺したって感じですかね…」
「そうだな…」




