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お久し振りです。
このままエタるかと思いましたね。筆者もです。(おい)
ひっそりこっそり更新再開します。でも、更新頻度は亀の歩みになると思います。申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
二日後、私はエリオス殿下や護衛を兼ねて共に来た側近のクレオン・アルバンティス伯爵令息とリディウス侯爵邸へと向かった。
エリオス殿下が先触れを出していたため、出迎えたのは父であるリディウス侯爵だった。
「エリオス殿下。娘のために御足労頂きありがとうございます。」
「リディウス侯爵。忙しいのに時間を取ってもらい、すまない。オフェリアの記憶はまだ戻ってはいない。今日は彼女の自室を見せて欲しい。」
「執事に案内させます。オルド、頼む。」
オルドと呼ばれた執事は礼をして、こちらです、と進む先を示す。私はエリオス殿下にエスコートされて歩く。
馬車の中でもエリオス殿下は勇気づけるように手を握ってくれた。
「無理はしなくて良い。気分が悪くなるようなら王宮に戻ろう。」
そう仰るエリオス殿下に私は笑みを返す。
「エリオス殿下がいて下さるだけで心強いです。」
私のその言葉にエリオス殿下は心配そうにしていた表情をやわらげ言った。
「ならば、オフェリアをエスコートさせてくれ。君を守れるようにこの手を離さず傍にいる。」
馬車で交わしたその言葉の通り、私の手を取りエスコートして下さるエリオス殿下のお陰で、私は恐怖に怯えることなく屋敷の中を進んでいける。屋敷の階段を二階に上がり少し歩くと、ある部屋の扉の前でオルドが足を止めた。
「こちらがオフェリアお嬢様の部屋でございます。」
そう言われ、エリオス殿下は私を見る。
「オフェリア、開けても良いかい?」
そう尋ねるのは淑女の部屋を許可なく開けることに抵抗があるからだろう。記憶のない私にも気を遣って下さるその優しさに心が暖かくなる。私が頷くとエリオス殿下はドアを開けた。
部屋の主が長く不在であっても、部屋の中はしっかりと清掃が行き届いているようだ。ライティングデスクや本棚もきれいで埃などもない。
私は本棚に近付き、並んだ本を見る。エリオス殿下は私の隣に立ち、私の様子を窺う。
本棚には歴史書、語学、経営学や政治学等の本が並ぶ。その中に数冊ある小説は異質に見えた。手に取ると恋愛小説のようだ。パラパラと捲り、中を確認するとどれも苛烈な性格の令嬢がヒロインに嫌がらせを行うシーンが描かれているようだ。それを読みながら、ふと思い出されるのは記憶を失う前のオフェリアの話。
「オフェリア?気になるものがあったか?」
恋愛小説を手に取り、動きを止めた私にエリオス殿下が声を掛ける。
「いえ、話に聞いた以前の私とここに出てくる敵役が似ているな、と…」
怪訝な表情で私の手元の本を覗くエリオス殿下に、該当のキャラクターを伝えて本を渡す。そのくだりを読んだ彼は、眉間の皺を深くしながら言う。
「似ていない!こんな卑劣なことをオフェリアがするはずがないだろう!」
そんな殿下の反応に私が驚いた表情をしているのを見て、はっと我に返ったエリオス殿下は一つ深呼吸をしてから言葉を続ける。
「……実際、オフェリアの悪評とされたもので誰かが目撃したものなど一つもないんだ。全て実態のない噂だ。」
実態のない噂を否定するどころか煽る様な言動を繰り返した以前の私。まるで、ここにある小説のキャラクターを真似た様な…
そう考えていると廊下から声が聞こえてきた。
「オルド?そんな所で何をしているの?あら…?クレオン様?」
その声を聞き、身体が強張る。
リディウス侯爵夫人…母の声だ。
私の意思とは関係なく震える手にエリオス殿下の手が重なる。大丈夫だと言い聞かせるように握られる手の温もりに、冷えていた指先から少し力が抜けた。
「奥様。ソルヴィオ様はお休みですか?」
少し慌てた口振りのオルドが母に話しかけているのが聞こえるが、母の注意を引くことは出来なかったようだ。
「オフェリア!帰って来ていたのね!」
そう言いながら部屋に入ってきた母は感極まったように目を潤ませている。真っ直ぐに私に向かってこようとする母から私を隠すようにエリオス殿下が立つ。
「リディウス侯爵夫人。申し訳ないが、オフェリアの記憶はまだ戻っていないので、少し落ち着いていただけるだろうか?」
エリオス殿下にそう言われ、母ははっとしたように立ち止まり礼をする。
「エリオス殿下。娘に会えた喜びの余り、失礼いたしました。」
「良い。楽にしてくれ。」
顔を上げた母は私を見ている。その眼差しは優しい。それなのに、私の体は緊張で強張る。




