悩み
「あー…休み終わっちゃったあ…。こういう気分なんだね休み明けって。そりゃみんな月曜日を嫌いになるわけだ!俺も帰国早々に月曜日が嫌いになりそうだよ…。」
せめて月曜日は午後からとかにしようよ…。5日間仕事なり学校なりで疲れた心身を2日で癒す必要があるとはね、なかなかの難題じゃないか…。
「葵さあ、君先週もそんなに活動したの…?まあ意見には同意するけどさあ。」
世良くんさあ…厳しくない?もしかしたら俺はこいつに何かしたのか…?
「あ、そういえば昨日の夜に紬ちゃんが嬉しそうに連絡くれたんだよ。葵と一緒に式神召喚したんだーって。子犬じゃなくてオオカミだったのね…。私にはわからなかったもん、やっぱり葵はさすがだね。ねえ相談したいことがあるんだけどさ…。」
そういえば紬の修行の面倒は雪が見てくれたんだったな。みんな結構あいつのこと面倒見てくれてんだよなあ、なんか嬉しいです…!
それにしても相談?珍しいな
「ね、ねえ葵さん? ちょっといい?」
あ、間宮さんだ。あれからちょっとは心を開いてくれたみたいで嬉しいよ、俺は。
「もちろん、どうしたの?」
「どうしたら陰陽師として成長ってできるのかなって聞きたくて…教室についたら話しかけるタイミングがつかめないから…でも話の途中で迷惑じゃないかしら…?」
あー確か教室じゃあ話しかけられないみたいなこと言ってたな…。面倒な血統主義のやつらがいるとかで。
「じゃあちょうどよかったよ、昨日妹と式神の成長について話しててね。式神の成長が術者自身の成長にもつながるんだよ。」
「妹さんがいたの?まあ、意外にあなた面倒見よさそうだものね。」
お、これ褒められてる!? ちょっと照れるなあ。
「紬って言うんだよ。まあ血はつながってないけどね、義理ってやつになるのかな?」
「え、そうなの…?まずいことを聞いたかしら…?」
「いやいいんだよ、前少し話したかもだけど、紬は俺が担当した任務の被害者の子でね、うちで引き取ったんだ。」
「変なこと聞いてごめんなさい…。私知らなかったわ…。」
「いや全然気にしないでよ!こっちこそ朝からごめんね。で、話を戻すけどさ!…。」
俺は昨日紬に話したことと同じようなことを間宮さんに説明する。彼女は俺の説明を熱心に聞いて納得したような顔をしていた。
そして説明を終えると学校も近くなってきたこともあり彼女は先に学校へと向かっていった。
「へー葵ってもう間宮さんと仲良くなったのね…。まあ別に私には関係ないけどさあ…」
「ん?ああ少し前に俺一人で帰った時に話す機会があってね。そういえば相談って?」
「ううん、なんでもないよ。紬ちゃんの様子が気になっただけだから。」
「んーなんか胃が痛いなあ…」
――
「テストなんて聞いてなかった…。こんなの横暴だよ…。」
どうして月曜日に学校に来れてえらいぞ!じゃなくてテストで俺を試そうとしてくるんだ…。
「あー…まあ今日のは抜き打ちだったからね。でもそんなに難しくなったでしょ?それに点数悪くても罰とかはないからさ!」
雪ちゃんの慰めが過去一でつらいです…。こーれは完全にバカだと思われています。
でもほんとに抜き打ちって文化は廃止してくれ!まあ予告されててもやらない気がするけどさあ…。
「君はさ、やればできるとは思うんだけどやる気でないことはほんとにやらないよね…。せめて進級はできるようにね。」
うん、刺さる一言です。やらなきゃとは思ってるんですけどね。
「ま!テストも授業も終わったしさ!帰ろう!」
終わったことをぐちぐち言ってもしょうがないからな!
「あー…ごめん…。私今日も早く帰らなきゃなの…。」
「あれ雪ちゃん今日もなんだ、最近忙しそうだけど大丈夫?」
うーむ確かに最近学校でしか会ってないかもな。事情は分からんが大変そうだぞ。
「大丈夫!今度は頑張って時間作るね。じゃあまた明日!」
大丈夫とは言うけど心配ではあるな…。あいつも中々愚痴とかも言わないタイプだし…。今度話くらいしてくれるといいんだけど。
「明日は君絶対彼女の話聞いてあげなよ。最近少し変な噂を聞くこともあるんだ。君は今立場的に決して強いわけじゃない。もし何かあったとき手遅れになる可能性もある、そうならないようにするためには早く動くことしかないんだ。僕の方でもいろいろやってみるけどね。」
悔しいけど世良の言う通りだな、今俺にできることは何もない。よし!
「俺今から雪のこと追いかけてくるわ!あいつ歩いて帰ってるなら走れば余裕だしな!」
そうと決まれば今すぐ行くか!
「わあ、すごい行動力…。けどよかったよ、行ってあげて。じゃあ僕は一回噂とかを調べてくるよ。」
ーー
「雪! ちょうと待って!ストップストップ!…意外に歩くの早いのな…。いや俺が道に迷って遠回りしたのか…?」
だってよく考えたら雪が帰ったルートがわからなかったからさあ…
「あ、葵!?どうしたの?そんなに急いで。」
確かに雪からしたらなぜか全力で追いかけてきたわけだからな…意味が分からないだろうな…。
「今日の朝、雪なんか相談あったんじゃないの?あのとき聞けなかったからさ、気になって。」
「んーちょっとね…。家の事情みたいなものかな。最近それで少し忙しくてさ…。心配かけてたらごめんね…でも大丈夫だよ!」
俺自身がそうだったし付き合いも長いから少しわかるけど、ほんとにやばい時に誰かに大丈夫って聞かれても言えないよなあ…。
「俺の勘違いなら全然いいんだけど…ほんとに大丈夫?俺が言えることじゃないけど、雪には元気でいて欲しいんだ…。ねえ、何に悩んでるかはわかんないけどもし雪がよかったらだけど、陰陽師とかやめてさ、一緒に暮らすなんてどう?表の仕事なら俺結構活躍してんだぜ。なんなら海外に行ったっていいんだし。」
「…ありがとう、気持ちは嬉しいよ、ほんとに。けど前から言ってるでしょ、弟が家を継げるようになるまでは私が頑張らなきゃなんだ。おじいちゃんだけじゃ大変でしょ。」
雪の家は当主だったお父さんが死んでじいさんが当主代行として今も家を支えている。次期当主候補である弟もまだ幼いため雪も家の主力としての仕事をしているってわけだ。
「それにうちみたいな落ち目の家じゃ私一人でも抜けたら弟が継げるようになるまで持つかもわからないもの。」
「具体的にさ、何で悩んでいるかは分からないけどうちやきっと光明んとこだって協力は惜しまないよ」
少なくとも父さんは雪のじいさんと親しいし家がつぶれるのを黙ってみているなんてことはしないはずだ。
「…そうね、ありがとう。でももう少しだけ頑張ってみる。もしダメそうだったら助けてくれる…?」
「そりゃもちろん!まあ俺にできることなんて限られてるけどね」
「うん!ありがとう、元気出たよ。でももう帰らなきゃだから、今度こそまたね…」
「ああ、なんかあったら早めに相談しろよ」
帰ったら世良とも話合うか…。




