ep115 エレサ
「え?え?なんなの?わたしはどうなるの?」
きょとんとするエレサ。
「改めて、ぼくはシヒロです!ねえエレサさん!ぼくの書いている小説にダークエルフを登場させてもいいですか??」
シヒロはきゃっきゃと無邪気にはしゃいだ。
一方で、トレブルとブーストはやや引き気味だった。
「ま、マジかよ......」
「お、おいダンナ。本当にいいのか?」
トレブルが不安を隠せず訊いてきた。
「なぜそんなに心配なんだ?お前らだって元は敵だっただろう?」
「いや、だってよ、闇の力を持ったダークエルフだぜ?」
トレブルの言葉にエレサが敏感にピクッとする。
「......確かにわたしはダークエルフ。多くの人間にも、魔族にも、エルフにさえも危険な存在だと認識されていると思う。でも...」
エレサは自らを説明した。
彼女はシヒロの手をやさしく解くと言葉を続ける。
「ダークエルフは、本当は誰よりも義に厚い。ゆえに戦乱の中で利用されてきた悲しい歴史もある。現にわたしもキラースにそれを利用された。
キラースは最低なヤツだ。でも、ヤツは奴隷に身を堕としていたわたしを解放してくれた。だからわたしはあんなヤツにでも恩義があった。それをヤツに利用されたんだ。
そうして気がついた時には爆破魔術を施され、もはや誰にも迷惑をかけずに死ぬことすらも許されず、どうすることもできず絶望しかけていた......。
そんな時、今度はクローがわたしを解放してくれたんだ。シヒロ、お前はわたしの命を救ってくれた。
わたしはクローとシヒロに恩義がある。たとえお前たちに何らかの意図があろうとも、わたしからは裏切らない。
これはわたしのダークエルフとしての最後の誇り。その誇りさえも失ったら、わたしはもう、生きられない......」
エレサは切ないまでに言い放った。
俺は彼女の美しくもかなしい紫色の瞳を見て、なんとなく思った。
あの時、俺が彼女を呼び覚まそうとかけた言葉......
''たとえ苦しみばかりでも人生を......諦めきれないのなら......生きろ!生きてみろ!''
彼女は確かに聞いていたのだろうと。
「ま、まあべつに、なあ...」
「ダンナがいいってんなら、おれたちはかまわねえよ」
トレブルとブーストはバツが悪そうにしながらエレサの仲間入りを承諾した。
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