ep114 宴
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「魔剣使いクロー!!あんたは救世主だ!!今日はおれたち...いや、この街からの奢りだ!!いくらでもガンガン飲み食いしてくれや!!」
夜、俺たちはとある酒場で手厚いおもてなしを受けていた。
「よっしゃあ!飲むぜぇ!」
「食いまくるぜぇ!!」
便乗したトレブルとブーストはここぞとばかりに酒食を貪っていた。
「すっかり街の英雄になってしまいましたね!クローさん!」
隣でシヒロが、なぜか自分自身のことのように幸せそうな顔で微笑んだ。
シヒロの言うとおり......先の戦いを経て、どうやら俺はサンダースの英雄的な存在となってしまったようだ。
「まあ、これで少なくともこの街にいる間は、国際平和維持軍に捕らわれることもないだろうな」
俺は酒をグッと飲み干してからグラスを置いた。
まさか魔剣使いが英雄になるなんて......しみじみと思ったが、街の人間の話によれば、
「もともと魔剣使いの評判は旅の商人なんかから噂になってたんだぜ!あの厄介な〔フリーダム〕をたったひとりでやっつけてくれてるってな!まさかあんたがその魔剣使い本人だとは思わなかったがな!」
つまり、俺が今まで〔フリーダム〕を撃退してまわっていた活動は、すでに一定の実績と評価を積み上げていたということだ。
けれど表立って認められるに至っていなかったのは、あくまでも異端の者として国際平和維持軍が追っている存在だったから。
そんな中、今回キラースがあれだけ派手にやらかしたおかげで相当に目立ってしまったのだろう。
(特にエレサの闇の魔法から街の人々を守ったシーンはかなりのインパクトを与えたらしい。まあ実際あれはかなり目立ってはいたが...)
くわえて、国際平和維持軍特別部隊隊長であり勇者の妹...世界最高の魔法剣士と称されるカレンとの決闘に勝利。
一見すると悪役にもなり得そうなその事実も、今日の一連の流れから、むしろ魔剣使いの評価を押し上げることに繋がった。
公には別としても、少なくとも民間レベルでは充分ヒーローになってしまったと言えるだろう。
「魔剣使いクロー。その......わたしもいいか?」
ふいに俺たちが着いているテーブルに、頭からローブを覆った女が近づいてきた。
「お前は......エレサか」
「うん」
「なぜ今さらそんな恰好を?」
「わたしも......街を襲った側の者。怖がるか敵意を向けられるかもしれない。わたしはそれでも構わないが、それで場を乱すのも忍びないから」
「で、俺になんの用だ?」
「なんの用......だって?」
「?」
「クローは......わたしをどうするつもりなの?はやくそれをおしえて」
エレサの声には焦燥感があった。
「別にどうもしないが」
「は??意味がわからない。なんの意図もなしにあんなことする?ましてわたしはダークエルフ。人とは違う力を持っている。利用しようと考えるのが普通だろ?今までだってずっとそうだった。お前は恩義を売ってわたしを利用したいんじゃないの??」
エレサは必死だった。
俺は彼女の言葉の中に、彼女の悲しい経験から作り上げられた彼女の悲しい常識を見た気がした。
「じゃあ......エレサはどうしたいんだ?」
逆に希望をうかがってみた。
「はぁ??わたしがどうしたいか??それを言ってどうなるの?いい加減わたしをからかうのはやめて!」
エレサは感情的な声を上げた。
泣きそうな声にも聞こえた。
「あ、あの〜、エレサさん......」
ややたじろぎながらシヒロが声をかけた。
「......なに?」
「その、もし良かったら、なんですけど......」
「?」
「エレサさんも、ぼくたちと一緒に来ませんか??」
「......え??」
シヒロの出しぬけの提案にエレサは虚をつかれてかたまった。
「ねえクローさん!ダメですか??」
シヒロは懇願するような表情で俺を見てきた。
「シヒロの好きにしろ」
俺はあっさりと答えた。
「やったぁ!!ということでエレサさん!これからよろしくお願いします!ぼく、エルフさんとお友達になるの夢だったんです!!」
シヒロは歓喜の声を上げてエレサに駆け寄っていくと、彼女の両手をぶんぶん掴んで感動に震えた。
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