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ep108 魔剣使い&魔法剣士vs爆破魔術師&ダークエルフ⑥

 治癒は順調に進んでいるように見えるが、どうしたのだろうか。


「シヒロ?どうしたんだ?」


「その......このままでは、ダークエルフさんが......」


「マズいのか?傷の治癒は成功しているように見えるが」


「はい。でも......なんというか、その......ダークエルフさん自身が、拒んでいるように感じるんです」


「拒んでいる?治療を受けることを?」


「というより、その......」


「なんだ?ハッキリ言ってくれ」


「生きることを、です」


「...!そうか......」


 ダークエルフを見ると、シヒロの治癒魔法の甲斐あって傷は見事に(ふさ)がっていった。

 シヒロの魔法の才には改めて感心するばかりだ。

 だが、いくら傷が治っても、本人自身が生きたいと思っていないのならどうしようもない。

 こればっかりはどんな魔法を駆使してもどうにもできない問題なのだろう。

 

「エレサ」


 俺はダークエルフに呼びかける。

 とはいえ、俺が彼女に言える言葉などあるのだろうか。

 わからない。

 なにせ俺も、元の世界で生きることを放棄しようとしてこの世界に転生してきたようなもんだ。

 転生してきてからだって、今の自分が余命いくばくもない身だという事実を受け入れられずに自暴自棄になって遊び狂う始末。

 今でこそ魔剣使いとして街や人を助けるために戦っているけど......とてもじゃないが褒められた人生なんか送れちゃいない。


「エレサ。俺にはお前のことはわからない。

 だがひとつだけ教えてくれ。

 お前は本当にこのまま死んでしまうことを望むのか?」


 俺は元の世界で、自殺しようとして結局できなかった。

 この世界に来てからも、死ぬまで遊び狂うことはできなかった。

 今になって思えば、俺は絶望しながらもやっぱり(あきら)めきれなかったんだ。

 なにを?

 生きることを。

 たとえくだらなくても、人生を。

 でも......だからこそ今がある。

 今の俺が。


「エレサ。お前は俺に交渉を求めてきたよな?それは、街を守るためだったんじゃないのか?

 事情はわからないが......魔剣使いを仲間にできればキラースもここまでのことはしないと思ったんじゃないか?

 あるいはそういう約束をキラースと交わしていたとか。違うか?」


 ダークエルフの反応はない。

 だけど俺は、今ここで彼女をどうしても救ってやらねばならない気がする。

 彼女の絶望と俺の絶望はまったく違うものかもしれない。 

 もしかしたら相容(あいい)れないかもしれない。

 それでも、放っておくことはできない。


「エレサ。少なくともお前のことを縛っていたであろうキラースの魔術からは解放されたはずだ。俺の...魔剣使いの力によってな。

 だからエレサ。あとはお前次第だ。お前がまだほんの僅かでも、生きることを......たとえ苦しみばかりでも......人生を諦めきれないのなら......生きろ!生きてみろ!」


 俺はダークエルフの肩を(つか)んで呼び覚ますように叫んだ。

 すると、なにかの変化を感知したシヒロが興奮気味に声を上げる。


「クローさん!ダークエルフ...エレサさんが!!」


 突然、エレサの全身からブワァァァッ!と魔力の風のようなものが舞い上がる。

 シヒロは治癒魔法の手をパッと離して肩で激しく息をする。


「ハァ、ハァ、ハァ......え、エレサさんは??」


 俺たちは固唾(かたず)を飲んでエレサを見守る。

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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