ep105 魔剣使い&魔法剣士vs爆破魔術師&ダークエルフ③
やがて俺は成した。
直径約一キロにも及んだであろう広範囲に渡るその雨あられ、すべての除去を。
「お、おい!空が晴れたぞ!?」
「た、助かったのか!」
「よ、良かった」
人々の安堵の声が聞こえてきた。
俺は足を止めると、さすがに肩で息をする。
「ハァ、ハァ、ハァ。本当になんとかなったな......」
自分でも驚きだ。
謎の声が力を貸してくれたとはいえ、ここまでのことをやってのけたとは。
また一段と自身の力が向上しているのも実感した。
「俺の力......またさらに上がってきている」
俺は剣を握る自分自身の手をじっと見つめた。
が、すぐにはたとして上方を見上げる。
「魔剣使い。オマエはいったい......でも、良かった......」
ダークエルフはもはや茫然としていたが、どこかほっとしたような表情にも見えた。
さて、ここからどうするか?と俺が思考を切り替えようとした時。
「エレサァ!テメーはまたしくったなぁ!」
何処からキラースの声が聞こえてきたかと思ったら、ダークエルフのまたがる魔物の背中に降り立った。
「アイツ、どこからどうやって?」
俺は呼吸をととのえ剣を構えた。
「キラース......ヤツは爆破魔術の応用で目くらましから飛行の応用まで色々とできるようだな。きわめて不本意ながら魔術のコントロールにかけてあの男は一流だ」
今度は後ろから女の声が聞こえた。
「あんた、無事だったのか」
「あれぐらいで私はやられない」
カレンは頬の傷をぬぐいながら静かに言ったが、眼には明らかな怒りがメラメラと点っていた。
「オイ魔剣使い!テメー、なかなかオロシレーなぁ!なんでエレサがテメーにこだわってたのか何となくわかったぜ!」
キラースは相変わらず憎たらしい笑みを浮かべていた。
「そいつはどうも。そんならそれに免じてもう退いてくれないか」
俺は乗ってくるわけない提案をした。
「やっぱりオロシレーぜテメー!だがな?今回の目的はやっぱりテメーじゃないんだわ」
「?」
「そっちのお嬢様だよ」
キラースはカレンを指差した。
「なに?」
ピクッとするカレン。
「いいか?勇者の妹君のカレンお嬢様。今からテメーに取引を持ちかける。破談すればこの街は死滅だ」
「私にテロリストの要求を飲めと?」
「まあ聞け。今ここにとっておきの爆弾がある。こいつが落ちればこの街も街にいる人間も全員仲良くお陀仏だ。こいつをぶっ放されたくなきゃあよ?テメーはオレのオモチャになりやがれ」
「は?私がキサマの部下にでもなれと?」
「おっとカレンちゃんよ。テメーがこの要求を飲まなきゃ、爆弾が火を吹くぜ?テメーは市民を守りてえんだろ?」
「爆弾とはなんだ?」
「コイツさ」
キラースはダークエルフの頭をグッと掴んだ。
「うっ」
ダークエルフは無抵抗に呻くだけ。
「まさか......その者の身体に爆破魔術を施したとでもいうのか?」
カレンはふつふつと湧き上がる怒りを噛み殺しながら言った。
キラースは残忍な眼を光らせて悪魔の説明を始める。
「この魔術〔ウラニウム・ボム〕はとっておきだ。
魔術を施した対象物の魔力に比例して威力が跳ね上がるってシロモンだ。
その威力の跳ね上がり方っつったらよ?指数関数的でハンパねぇ。
細かい理屈はメドクセーから省くが、ようは魔力を持った人間を超高度爆弾化する魔術ってわけだ。
そしてコイツの魔力は見ただろ?コイツはかなりの魔力を秘めていやがる。なんせダークエルフだからなぁ。
つまりだ。この街ごと消し去るぐらいの威力は保証するぜぇ!
テメーらも市民も全員焼けただれて死んじまうなぁ!
そんで重要なことをもうひとつ。
この爆弾のトリガーは二つある。
一つは俺が起爆の号令をかけること。
もう一つは、コイツに重大な損傷を負わせることだ。
その瞬間、コイツは死の爆弾となって辺りを灰と化すだろう」
キラースは残虐な笑みを浮かべた。
やはりコイツは完全に頭が狂っているようだ。
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