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ラグナルクの旅 一章 ナナシマ編  作者: 村田殿
かけらさがし編
10/49

サイシェイ2 雄弁は銀 沈黙は金

翌日・・・

日の出と共に俺は目覚めた。太陽が眩しい。軽く欠伸をしたあといつも通りの朝食・・・

いや、一人増えたか。

月村影野。彼はLGSでは無いが軽く俺より強い。別に嫉妬とか、そんなことはしていない。

リビングにて・・・

「おはようございます心さん」

「ん、おはよ月村」

月村は礼儀正しく、公明正大。なんと言うか俺よりはるかにいい人だ。

「月村はこれからどうするんだ?」

「そうですね・・由佳里さんの護衛をしていこうと思います」

目標が明確にあるのはいいことだと思う。俺の方はどうだろうか?最近はこのまま旅を続けるのも悪くはないと思う。でも終わらない旅は無い。ナナシマに行って元の世界に帰る。ただそれだけだ。

「おはようございます勝利さん。月村さん。」

天本さんもリビングに来た。いつも通りの敬語フェイズ(?)だ。

「きょうはこの三人で出ます」

「正喝と誠治、桃花はいいのか?」

「ええ、誠治さんと桃花ちゃんはみたいテレビがあるそうです。正喝さんは『野暮用』だそうです。」

「ガングオーだろ?みたいテレビって」

『ガングオー』とは俺が大好きなアニメの一つだ。とある昔の王様が現代に蘇って悪人相手にゲームを仕掛け、更生させる物語だ。いわゆる勧善懲悪なストーリーを進めていたが、何故か途中からカードゲームを中心に進めることになりそれがうまい具合で大ヒットしたアニメだ。

途中からカードで戦ってる場合じゃなくなりガングオーと呼ばれる絶対無敵のロボットに乗ったりバイクと合体した挙句真っ二つにされる敵や、特に意味もなく筋肉をムキムキにして戦ったりなどととにかくカオスなやつだ。

「あの番組ですか、実はあの話は事実を元にしているのです」

「え?」

「流石にカードは使っていませんが、最初の方は作者の実体験を元になったそうですよ」

「・・・?」

月村は完全においてかれた。

そんな些細な話をしつつ、街に出た。

「おい!そこのお前!」

「・・なんた、昨日のロボットか。スクラップになってなかったか」

やや嫌みのように言ったがまあ問題ないだろう」

「まあな、いい技術者になおしてもらったぜ」

「反省はしました?」

月村が悪びれる様子で聞いてきた。

「げっ!お前は・・

どうやらコイツは月村が相当苦手らしい。実質このポンコツを止めたのは月村だし。

「そういやまだ俺の名前言ってなかったな、俺はTAX―105だ。」

「製造番号じゃないか。

「いいだろ、別に」

フルネーム(?)は長く言いずらいものだった。

「・・・たご」

「え?」

「TAを『た』5は『ご』と略してみました」

「・・・まあ、おまえ達がどうしても呼びたいならいいぞ」

「え〜と、よろしくたご」

天本さんが勝手に付けたTAX―105通称たごは不満は無い顔をした。むしろ嬉しそうだった。

「で、何のようだ?」

「昨日の詫びだよ」

「何だ?」

「なに、面白い場所に連れてってやるよ。街の外だ」

そういって俺達はたごに街のそとに連れ出された。道は昼間だというのに薄暗く、ガソリンの匂いが充満していた。

「ここは監視カメラの死角になってるからな。街から出るならこの道を使いな」

「面白い場所はどこだ?」

「なに、そんな遠くない」

そして・・・

「これは・・・」

そこはとある廃工場だった。工場の入り口にはいろいろなパーツが大量にあり中に入るのは無理そうだ。

「ここは自殺現場さ」

「自殺現場!?なんのだよ?」

「まあ待ちな、来たぜ」

そう言われて来たのは最新式のロボットだった。俺は迷わず止めに行った。

「おい!自殺なんてバカなことはやめろ!」

「私は何者なんでしょう?」

そのロボットは落ち着いた電子音で話す。

「え?」

「私は機械で構成されています。手が壊れても変わりのパーツを付け替えればいい。動力部分が壊れたら修理してもらえばいい。私の心はどこにもない。それを還元することにより01110001することで11010011だから・・・

「お前ら伏せろ!」

たごが叫ぶ。すぐに俺たちは伏せた。そして爆発。最新式のロボットは一瞬で消え去った。

「大丈夫ですか?心さん」

「ああ、なんともない」

たごが言ってくれなければ大変だっただろう。

「これはどういうことですかたごさん」

「この島の裏さ。最近は作られるロボットより自殺するロボットの方が多いのさ」

「たごはあんな風にならないのか?」

「思考回路が違うからな。あんな考えがわからないんだ」

「ふ〜ん」

しかし、大した部品の量だ。これだけあれば誠治が驚くだろうな。

「一応言っとくがここは街の外だからな。警備ロボットに見つかってバラバラにされても文句が言えねーぞ」

忘れるところだった。これだけ部品があるんだから誠治に新しい武器でも・・・!!!

スクラップ寸前の機械の中で一つだけ黄金に輝くものがあった。思わず俺はそれを手にする。

「この銃は・・・」

「!そいつは幻と言われていたBSRじゃねーか!」

B(ビーム)S(シューティー)R(ライフル)ねぇ、また似たような名前を・・・」

しかしこの拳銃は俺の手に良く合う。コイツ、使えるか?

「ここのものは捨てられたものだからな、基本自由だぜ。そいつを使いたいんだろ?」

「あ、ああ」

「貸しな」

そう言われ貸す。たごの左手からケーブルが出てくる。

「なるほど、そういう電気回路か」

火花が散る。何をしているんだ?

「終わったぜ。そいつをレジェスター用に改造しておいた」

「ありがとう」

「なに、礼はいらねぇよ」

「そういえばたごさん」

「なんだ?」

「この島にルビーマリンはありませんか?」

「なんだそりゃ?・・・そういや最近この辺りでそうゆう名前を聞いたな」

「そうですか。情報、感謝します」

「あくまで噂だぞ?そんなもの信じるのか?」

「何もないよりはましですよ」

今日の収穫はこれで終わった。




次の日

「あれ?・・・俺のBSRはどこだ?」

「ああ、あれ?僕が捨てておいたよ〜」

「え?」

何を言われたか分からなかった。何を言ってるんだ?本当に。

「冗談だよ〜君のすぐそばにあるじゃないか」

「それははどこにあるんだ!言え!」

「まーまー焦るなって落ち着いて」

「・・・」

完全に誠治のペースに乗せられてる。俺はバカなのか?

「君の着けてるリストバンドの中にあるよ」

「え?」

試しにCBBを出す感じでやってみるとBSRが出た。

「・・・またか」

「何が?」

「なんでもない」

今日も誠治が楽しそうで何よりだ。ついでに天本さんが来た。

「今日は全員で行きますよ」

「何かルビーマリンについてわかったんですか?」

「ええ、たごさんの噂は本当らしいです。昨日行った工場の何処かに働いているロボットの動力源になっているようです」

「それだけですか?」

「ええ、あとは自力で探すしかありません」

「やれやれ」

そんな流れで俺たちはたごに連れて行かれた道を通った。だが・・・

「なっ!?なぜここに人間がいる!拘束せよ!」

「見つかった!?」

相手は三機の人間型ロボット。

特に問題は無かった。騒ぎが大きくなる前に倒すか。

「行かせてもらいます!」

まず月村が左の方のロボットになぎ払いをかけた。しかし相手は防ぎそれに続き正喝は右、俺は中央に当たった。

「援護は任せてね〜」

持ち前の器量の良さ(?)で誠治は俺たちの後ろから援護射撃をした。

まず月村が対峙していたロボットの動力部を狙い撃ち、停止。

正喝は圧倒的に相手を翻弄し、一瞬で動力部を破壊した。俺はまず左手の鞘で防ぎ、右手でBSRを構え、至近距離から動力部を撃った。威力は素晴らしいもので、二、三発撃てば装甲を破壊。拳銃サイズにしては強い。

「ふぅ、とりあえず終わったな」

特に騒ぎは大きくならなかった。だが、そう思っていたのは俺たちだけだった。

『キンキュウソウチサドウ!キンキュウソウチサドウ!スミヤカニタイヒセヨ!』

「なんだ!?」

「どうやらさっき倒したロボットが応援を回していたのでしょう」

「ここは一旦引く!」

正喝の判断は正しい。今の状況でルビーマリンを探すのはリスクが大きい。

『シンニュウシャハッケン!シンニュウシャハッケン!』

「って言わんこっちゃない!」

囲まれた。だがこっちには攻撃してこない。代わりに俺たちの周りの床を破壊してきた。

一瞬で俺たちは落ちた。

「え?」

まるで落とし穴を掘っていたかのようにストンとまっすぐに落ちた。落ちた先には100m×100mほどの大部屋だった。灯りは大量に灯され目の前には巨大な戦闘用の巨大なロボット。3mほどのがいきなり襲いかかってきた。

「ちょ!いきなりかよ!」

一旦周りから引いた。だが一人引けていなかった。桃花だ。急なことに驚いて動けていないようだ。

「ったく」

すぐに桃花のもとに向かい、迎撃しつつ回避。口で言うのは簡単だが、実際にやってみるとなかなか難しい。だがそれはあくまで人間相手にだ。ロボットのスピードなら問題ない。鞘で敵のアームの攻撃を抑えてすぐに救出、と楽だと思っていたのだが、少し違った。アームからビームを発射してきた。

「あぶねぇ!」

「キャ!」

ギリギリでよけた。ビームの威力は誠治のラグナロクに匹敵するだろう。

「なんなんだよ!こいつは!?」

「文句を言うのは、倒してからで十分だ!」

正喝に諭されて俺は桃花を連れて一旦下がった。

「さあさあ、バチバチ撃ってくよ〜」

誠治のビーム弾はバリアにより弾かれた。

「まずこれを倒します!」

月村も気合十分で敵の右側の手を太刀で抑えた。

「!影野!あれを破壊してはいけません!」

天本さんが珍しく焦っていた。月村は一旦引いた。

「お姉ちゃん!?どうして止めるの?」

「あの敵の動力、おそらくルビーマリンです。ルビーマリンだけを奪い、破壊してください」

「ルビーマリンはどこに?」

「さっき敵の裏側にちらっと見えました」

「なら、さっさと奪うか」

俺は敵の後ろ側に回った。前の方は月村と正喝が抑えている。だが、敵は後ろからもビームを発射してきた。咄嗟にBBCを使い防いだ。

「あぶねぇあぶねぇ。俺じゃなけゃやられてたぜ」

しかし後ろに回るのは危険だな。なら・・・

「これでどうだ!」

BBCを投げ、それにBSRを発射する。反射によりビームの発射口を狙った。だが・・・

「あれ?外した?」

あくまで動いてなければ当たっただろう。だが相手は動く。まあ、当たらないな。

「危ない!勝利君!」

桃花が叫ぶ。アームがいつの間にか俺の前に来ていた。

「しまった!」

アームにあっさり捕まり急速上昇。

「うわぁぁぁぁああ!」

「勝利さん!」

そして急速後下。意識が薄れていく。視界がグレイアウトする。地面に体の右側から叩きつけられた。勝利の脳裏に死ーという言葉が浮かび上がってきた。

俺は死ぬのか?こんなところで、・・・嫌だ!こんなところで死んだら、桃花や師匠、それに他のみんなにも顔向けできない。

「待ってください。すぐに回復させます!」

『再生の光を集え!シャインヒール!』

「(・・・こんなことで・・・こんなことで俺は!)」

その時、勝利の心から何かが弾けた。

同時に全方位に視界が広がり周囲の全ての動きが止まったかのように感じられた。そして部屋全体に響き渡るように叫んだ。

「誠治!ラグナロクを貸せ!そして水魔術の用意を。桃花は風魔術を。やれるな!?」

「分かったよ〜」

「え?あ・うん!」

ラグナロクを左側に構えた。

「勝利さん!まだ回復は・・

「もう大丈夫です、いけますよ」

勝利の目には光沢が無くなっていた。

誰一人こんな勝利を見たことが無い。

「利!?いったい何をする気だ!?」

「こいつを倒す!それだけだ!」

勝利が放ったラグナロクは誠冶が使うものより威力があった。

「しかしそいつにはバリアが!」

月村が言う。しかしそれは勝利も十分なわかっていた。しかしバリアはビームは防げても熱は防げない。その熱によりバリアの発生装置が溶けているのだ。敵は自身を守ることで精一杯で攻撃してこない

「月村!今のうちにルビーマリンを奪え!」

「わかりました!」

「正喝は誠治の魔術の後、動力部を破壊する準備を!」

「分かった!」

月村がルビーマリンを取ったのを確認し俺は威力を上げた。

「いっけぇえええ!」

バリアが解かれ、炎が敵に燃え移った。

「桃花!今だ!」

『悪無き風は今炎を導く、ウインドストーム』

桃花の風により炎が広がり敵全体的が炎に燃えていく。

「誠治!」

「はいよ〜」

『見とれてお終い メイルシュトローム』

誠治の技は渦潮。急激に装甲を温めた後水で冷やすと脆くなる。そこをおもっいきり槍で突き刺せば破壊できると勝利は考えた。

「いっけぇえええ!正喝!」

「はあぁぁぁぁ!」

正喝の槍が敵の動力部に直撃・・・したように見えた。

「・・・やったか?」

煙が巻き上がる。徐々に敵の姿が見えてくる。

「そんな・・・」

敵はまだ動いていた。暴走していると言ったほうが正しいだろう。

集中が途切れて勝利の右腕に激痛が走る。

「ぐああぁぁ」

痛みに声を上げる。

「もう限界ですね」

『シャインヒール』

『優しき風その者を癒せ、ヒールウインド』

「・・・く」

目の光沢は戻り、いつもの勝利に戻った。

「利、お前は下がれ。後は俺たちがやる」

正喝は自分のミスをカバーしようと俺を下げた。

「・・・どうやら本気を出すしかないようだね」

誠治が珍しく真面目な声で言う。

『ブレイブ』

俺はよく聞き取れなかった。だが正喝たちは聞こえていたようだ。

誠治のブレイブが発動する。

「イブテロス」

かなりの重装備であることが見えた。両腕にはラグナロク級のライフル。肩にはマシンガンが装着。足にはブースターとミサイル弾薬庫があった。

「これはあまり使いたくは無かった。すんごく重くてまともに動けないし、僕のスタイルには合わない。けどその攻撃は、きみを倒すには十分!」

一斉発射。その威力はラグナロクが十個分と言っても過言ではないだろう。

敵は跡形もなく消えた。

「ふぅ、なんとか勝ったね〜」

ブレイブを解除し勝利の余韻に浸っていた俺たち。だが、

「さて、ここからどうやって脱出しよっか?」

「え?」

完全に忘れてた。俺たちは落っことされてここへ来たのだ。

おそらく上にはまだ大量のロボットがいるだろう。

「僕が一掃した後引き上げるよ」

『ブレイブ』

「行ってくる〜」

「あ・・・」

ドカーン!バババ、ゴオォォォ・・・

上では何が行われているか、それは想像に任せたい。

五分後・・・

「やっと出て来れた・・・」

ロボットなんて最初からいなかったように部品すら無かった。

「さ〜てここからどうするの〜天本さん」

「そうですね、アクアマリン、ルビーマリン集まりましたし、一度私の家に行きましょうか」

続く


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