国王、皇后としてではなく両親としての話
私達はスペンサー領のキルフィスにある領地をまわり浄化と祈りを捧げる。
一通り終えると私達はスペンサー家の領地をみんなで出立した。
勿論、マリア達とともにきた執事たちも。
非常に稀なの力を持つマリアをこの地にとどめておくことはできないとの判断でマリアもコーリ様もとりあえず王宮に行くこととなった。
コーリ様は伯爵家を継承するにあたり、色々とあるらしい。
ただ、コーリ様の顔を曇っている。
きっとそれはコーリ様の帰りを待ってくれている方の事を思ってなんだと思う。
貴族には貴族のしきたりがある。
爵位の釣り合う方と縁談を結ぶ。
基本的には暗黙の了解でそうなっている。
王宮についてどういった話になるのかもわからないし、まだ何も言えない。
「リシェル。大丈夫だよ。悪いようにはしない。」
私の考えてることがわかったようにそう言うアレク様。
私はこの人を信じよう。
そう思ったんだ。
そして辿り着いた王宮では私達を出迎えるためのたくさんの人達がいた。
私達は国王陛下の前にいくと
「陛下ただいま戻りました。」
アレク様はそう言うと臣下の礼をする。
私達もみんなそれにならう。
「よく皆無事で帰ってきた。皆の活躍は聞いておる。今夜はゆっくりと休むといい。話は明日から聞くことにする。本当に皆ありがとう。」
頭をさげてお礼を言う陛下。
こんな国王陛下いないよ。
でも、これが国王陛下の良いところなんだと思う。
「あ、アレクとリシェルは残ってくれ。他の皆はさがってもらって構わない。」
アレク様と顔を見合わせる私。
アレク様も何もわからないようで首を傾げてる。
国王陛下と皇后陛下そしてアレク様と私は王宮のプライベートルームへとやってきた。
窓から外がよく見える素敵な場所だった。
こんなところに入って大丈夫なのかなと思いつつも促されるように席につく。
「疲れているところ申し訳ない。今は国王でも皇后でもなく、アレクの両親としてこの場にいると思ってほしい。」
「かしこまりました。」
いや…アレク様かしこまりましたって…。
「リシェルが戸惑うのもわかるけどアレクの普通の母親と思ってちょうだいね。」
戸惑いつつも
「かしこまりました。」
としか言えなかった。
私の言葉に二人は顔を見合わせて笑うと
「二人とも本当にお疲れ様。本当に心配してたのよ。私の母も二人の事心配しすぎて眠らずに祈ってたのよ。」
リラ様が。
「この場に義母上もと思ったがホッとして疲れが出たのか眠くて仕方ないと言われてな。明日にでも顔をだしてやってほしい。」
「もちろんです。」
陛下の言葉にすぐ私が答えると二人とも笑顔を向けてくる。
「で、お二人は疲れているのわかっていて、なんでこの場所へ呼んだのですか?手短にお願いしたいのですが。リシェルも疲れてるので。」
クール王子全開なアレク様。
私はあまり見たことなくてキョトンとしてると
「あらあら少しは柔らかくなったかと思ったけどまだまだね。」
おかしそうに笑う皇后陛下。
「あと3年で私は引退し、王位をアレクに譲ろうと思う。それでだ、リシェルは王太子妃になる気はあるか?我が息子と婚姻を結ぶ気はあるかということを聞きたくてな。」
陛下の言葉が終わるか終わらないかのうちにアレク様が
「リシェルにそんな話はしないでください。陛下や皇后陛下が言えばリシェルは断れなくなる。なぜ今…。」
「アレク様。これは国王陛下と皇后陛下の言葉ではなく、アレク様のご両親としてのお言葉ですよ。アレク様を心配してのお言葉です。だから大丈夫です。」
怒って立ち上がっているアレク様を落ち着かせるように笑顔を向けてそっとアレク様の手を握った。
「リシェル…。」
「私が王太子妃教育を終了するのに2年それから王妃教育を終了するのに3年。お義父様にはあと5年以上は頑張っていただきませんと間に合わないかもしれませんが。そうですね。あと8年から10年は現役でお願いします。その間に各地方もまわりアレク様とも色々勉強した上で継ぐというのはいかがでしょうか?」
真っ直ぐに国王陛下と皇后陛下を見て言う私に
「さすがはリシェル・マルチネス公爵令嬢。宰相の娘だな。」
「本当に。アレクにはもったいないくらいの子ですね。」
「お褒めいただき光栄です。ふつつか者ですが精一杯励まさせていただきます。よろしくお願いします。」
私が頭を下げると二人とも笑顔で頷いた。
一人だけ何も言えずに固まっている人がいたけど。




