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(旧)天下一の向日葵  作者: 茶眼の竜
第二章 成り上がる向日葵
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五十日目 軍議

なるほどなるほど、軍議とはこんな感じで進めるのか。歴史好きの一人としてとても良い体験をした。

と、一人だけ観点の違う俺。そんな俺など知らずに軍議はまだ続く。


孝頼(たかより)、7000を除いて残りの兵はいくつになる。」

「はっ、およそ3000程かと。」

「ふむ。では2000を泰惟(やすこれ)に、残りを親吉(ちかよし)に持たせる。」

「「はっ!」」

「西には一条(いちじょう)、北には河野(こうの)三好(みよし)がおるからのう。もしも、敵が攻めてきた折にはこちらから援軍を向かわせる故。」

「「ははっ!」」

「では、そのように。」


ん?三好?あっ!!忘れてた。めっちゃ有名なイベント。長慶(ながよし)細川(ほそかわ)政権を乗っ取る出来事。どうしてそんな大事なこと教えてくれなかったんだよぉ。弥三郎(やさぶろう)さんよぉ。


「へっしゅん!」

「...若様。どこか具合でも悪いので?」

「いや、そんな事はない。どうせ、菊之助(きくのすけ)が変な噂をしているに違いない。」

「菊之助殿は、今頃、眠いとか言っておりそうですなぁ。」


そんな出雲(いずも)の心配とは全く別のことを考えていた。

ああ、早く刀振りたいなぁ。


「して、殿、此度はどのようにして攻められるおつもりで?」


あ、まだ続くのね。


「うむ、此度は軍を二つに分け、挟み撃つつもりじゃ。儂が2000の足軽を率いて北から攻めよう。残りの農民5000を海沿いから攻めさせる。」

「では、どなたがそちらを...。」

親政(ちかまさ)、お主に任せる。」

「ははっ!!」


おお、親政殿なら安心だ!とそんな声が上がる。流石、福留(ふくどめ)荒切(あらき)りってところだね。


「菊之助。」

「...?!!はっ!」

「親政の与力として、お主も海沿いの方に参れ。また活躍することを願っておるぞ。」

「ははっ!ご期待に答えられますよう精進致します!」


び、びっくりしたぁ。まさか国親(くにちか)に声をかけられるなんて思ってなかった。急にしてはいい返事ができたでしょ。


「殿、少しあやつに甘すぎるのでは無いですか?」

「親政、お主がちゃんと面倒を見んからだろう。二年もの刻があったのだ。技の一つくらい教えてやったのだろうな?」

「い、いえ、それは...。」

「まぁお主に技などという型は無いだろうがな。はっはっはっ!」

「お戯れを...。」


そう、俺はこの二年間ずっと親政の与力だったが、何も教えられていない。っていうか、ずっとパワハラを受けていた。俺の代わりにあれしろこれしろなどと言われ、その度に呼び出されていた。全く人事部があったら訴えたいよ...。これで少しは丸くなってくれたらいいんだけどな。そう思うのもつかの間。

ギロッと親政がこちらを睨んだ。


ビクッ

ああ、後から何かされそう....。


その後滞りなく軍議は進み、終わりを告げた。


「儂はこれから書状を書く故、お主らは準備を進めよ。」

「「ははっ!!」」


国親が先に大広間を後にし、それに続くように家臣達がゾロゾロと部屋から出ていった。俺もその波に乗って部屋から出て、本丸を歩いていた。


「ふぅ。やっと終わった。」


ん〜〜〜、と背伸びをしていた。


「おいっ!!」

「はいっ!!」

「貴様、よくも儂に恥をかかしてくれたな!」

「す、すいません。」

「ふん!戦場でこき使ってやるから覚悟しておけ!」


なんだかんだ言ってちゃんと使ってくれるんだ。親政なりの優しさってやつかな?


「はいっ!!」

「ふん。そして死ね!」


いや、あれは優しさじゃなくて、ガチのヤツだ。このまま着いて行ったら死にそうなんですけど...。


「あの、お手柔らかにお願いいたします...。」


ああ、人事部があったら訴えたい。

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