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(旧)天下一の向日葵  作者: 茶眼の竜
第二章 成り上がる向日葵
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三十七日目 岡豊城囮作戦1

先に行って作戦を伝えよ!と国親(くにちか)に言われ、俺と親政(ちかまさ)は本隊より先に岡豊城(おこうじょう)へ行くことになった。


「おい、乗れ!」

「こ、この馬にですか?」

「儂は自分の馬を持っておるが、お前はおらんだろう。」

「しかし、俺乗ったことないんですけど....。」

「はぁ?それでも足軽大将か!儂の与力ならば今すぐ馬を乗りこなせ!」

「そんな無茶なぁ...。」


俺に拒否権は無く、初乗馬となった。


「もっと胸を張れ!堂々としておらんと真っ直ぐ進まんぞ!」


こっちは必死でやっているのに上手いこと進んでくれない。スピードもあまり出てないし、これなら自分で走った方が早いのだが。


「おい!」

「はい!」

「お前がちゃんとしないと馬もしっかりせんのだ!馬と一体になるんだよ!よそよそしくではなく、体の一部のように、自分の手足のように動かすんだよ!」

「くっ....!!」


胸を張って堂々と。自分の手足のように、馬と一体になって...。


「才を認めよと言われたがそんなもの無いではないか。」

「....進んだ!!」

「え?」

「進みましたよ!」


親政の言う通りにしてみれば馬が思うように動き出した。


「おおおおー!親政様、見てください!」

「ふん!遅いわ!はっ!」

「ちょ、速すぎです!待って下さいよぉ!」


こうして俺たちは本軍よりも先に岡豊城へ着くことが出来た。岡豊城は森に囲まれているため、伏兵するのも、何かを隠すのも長けている。今回はそれを利用させてもらう。

親政の指示の元、兵糧と必要な武具以外を城から出し、森へと隠した。それと足軽400を残して、残りは全員避難してもらった。


菊之助(きくのすけ)!」

「おお、弥三郎(やさぶろう)!久しぶり!」

「この騒ぎはなんじゃ?(いくさ)はどうなったのじゃ?」

「ああ、まだ続いているよ。それより、弥三郎も早く必要な物だけまとめて俺の家へ行ってろ。あそこなら本山城から真逆だから進軍経路には入らないだろう。」

「何かあったのか?」

「報せは届いていないのか?今、本山(もとやま) 茂宗(しげむね)が7000の兵を率いてここへ向かっている。」

「なに?!それは真か!」

「本当だよ。それで俺の考えた作戦が聞き入れられて、今準備している所だよ。」

「それはどんな作戦じゃ?僕に手伝える事はないか?」

「気持ちは有難いが、今はない。ここもすぐに戦場になる。だから、いち早く避難してくれ。」

「わ、わかった。気をつけろよ。」

「任せろ!今回も俺が一番の功労者になってやるよ!」


弥三郎は苦笑いをしながら去っていった。

早く準備を済ませなければ、いつ来てもおかしくないからな。


「おい!」

「はい!なんでしょう!」

「兵糧と武具については指示を出し終えた。あと半刻程で片付きそうじゃ。そっちは?」

「こちらも皆に避難するように伝え終わりました。後は本山軍を待つだけですね。」

「なわけ、あるか!お前も運び出すのを手伝って来い!」

「は、はいぃぃ!!」


その後、準備が滞りなく終わり、本山軍が攻めてきたのは次の朝であった。

早朝、慌ただしく足軽が俺と親政の元に走って来た。


「親政様!本山軍が見えましてございます!」

「ふん、やっと来たか。皆を配置に着かせよ。」

「はっ!!」

「親政様、皆に何か伝えますか?」

「もちろんだ。お前もとっとと配置に着け!」

「あの、1つお願いがあるのですが。」

「なんだ。」

「一番槍を任せて頂けませんか?」

「ふん、最初からそのつもりじゃ!相手はお前の首が目当てなのだからな。なんならここで斬って差し出せば帰ってくれんかの。」

「あの、私一応あなた様の与力なのですが。」

「与力は儂の物と同じ、物を差し出して何が悪い。」

「急いで配置に着きますのでご勘弁を。」


俺は逃げるように門の前へと向かって行った。


「皆の者聞け!」


その声は城全体に響くほど大きな声だった。


「この400人で7000を相手しなければならない!無謀だと思う者もおるだろう!しかし、この作戦が上手くいけば俺たちは必ず後世にまで語り継がれることになるだろう。その重大な役を任された事、胸を張って挑め!!」

「「おおっ!!」」

「我らはあくまで囮。危うくならば引いても構わん。敵兵を上手く城に誘い込み、裏の門から逃げ、伏兵に紛れる。それまで死ぬ事は許さぬ。皆の者、行くぞっ!!」

「おおおっっ!!!」


背中にビリビリと伝わる雄叫び。まるで親政が背中を押してくれるようだった。なんて大きな人だろう。俺も負けれられないな!


すぅーーっ


「俺は長宗我部(ちょうそかべ)家の足軽大将也!先の戦で茂辰(しげとき)を討った者だ!お前たちが欲しいのはこの首だろう!」

「はぁ?あれが茂辰様を討った者?」

「いや、あれはただの馬鹿だろう。足軽大将如きに殺られるお方ではないぞ。」


そう敵兵達が言うので、俺は片手に持っていた槍を構え、中堅部隊に投げ当てた。

今回は槍がなくてもこの弥三郎から貰った刀があるからな。刀さえあれば無敵よ。


「さぁ!俺の首が欲しけりゃ全軍でかかってこい!!でないと全員返り討ちにしてやる。」

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