十二日目 チャンス?
俺は3人の山賊を縛るための縄を村に取りに行き、5分ほどで戻ってきた。
「持ってきました。起きませんでしたか?」
「おお、菊吉。早かったの!大丈夫。ピクリともしなかった!」
「よかったです。早速縛っていきましょう!」
「うむ。」
そうして、俺たちは3人の手足を縛り草陰に隠した。
「こやつらをこの後どうするのじゃ?」
「弥三郎様が城へ帰った後、兵を向かわせてください。これだけ縛っておけば起きても動けないでしょう。」
「分かった。兵には僕から伝えておく。」
「では、お送りしますので、ご案内を。」
「いや、その前にお主らの家じゃ。蘭殿の傷の事、僕から謝らせてくれ。」
「しかし、一国の大名になろうというお方が頭を下げるなど...。」
「この子1人守れず何が大名か。謝ると言ったら謝る。良いな?」
「わ、分かりました。」
『逞しすぎる。何が姫若子だよ!俺なんかよりよっぽど大人だ。』
俺たち3人は家に向かって歩き始めた。道中、弥三郎様と色々な事を話した。
「菊吉。最初に僕が問うたことを答えよ。山賊のせいで聞きそびれた。」
俺はなんの事かな?と思ったがふと思い出した。
「俺が武士かどうかと言うことですか?」
「そうじゃ。」
「いえ、俺はただの農民の子です。」
「の、農民とな!ではどこでそんな技を教わったのだ?」
「技とは?」
「あのー。刀を蹴って飛ばしたりするやつじゃ。」
「あ、あれは、特に技とかではなく...。ただ思いついた事をしただけです。」
『まぁ思いついたのは前世で、試合でたまに使っていたからな。』
「なんと、思いつきであそこまで。農民でありながら、素晴らしい才じゃ。お主、僕に従う気はないか?」
俺は迷った。従った時のメリット、デメリットを考え、答えた。
「申し訳ありません。俺はまだ子供の身。大きくなり戦に出て武功を上げて、ちゃんと正規の道を歩んで家臣に迎えて頂きたいと思っています。」
「そうか、残念じゃ。...ならば僕の友になってくれ!」
「....はい?!」
「僕には友と呼べる存在が居らぬ。其方となら楽しく過ごせそうだ!どうだ?」
「ですが、俺は農民です。いずれ大名となられる方と友になど。」
「嫌と申すのか?」
「嫌ではありませんが...。」
「ならば良いでは無いか!」
「はい...。」
そんな涙目で言われては断れない。
「弥三郎様、よろしくお願いいたします。」
「おい、友はそんな堅苦しい言葉遣いではないぞ!それに呼び捨てで構わん!」
「よ、よろしく弥三郎。」
という訳で後の長宗我部 元親と友達になった。いいのかこれで?




