第4話 冒険都市イタラ
そろそろ寒くなってきて学校行くのが面倒になってきましたww
今日はテストもあってその後に部活とかいじめにしか見えないのは僕だけでしょうか………
盗賊団を数分で潰したルリカはこの世界の通貨を持っていないか漁っていたら銅貨(?)と銀貨(?)を数枚ずつ発見して貰うことにした。
そして再び別の盗賊団や夜行性で肉食の野生動物の襲撃を考えて日が明けるまで魔法の実験を繰り返した。
結局襲撃はなく日が明ける頃には魔力がほとんど底を尽きたが、弓の手入れをして瞬殺した盗賊の眉間からまだ使えそうな矢だけを回収して地図通りに冒険都市イタラを目指して歩き出した。
ちなみに徹夜の成果で生み出した新たな時空魔法―――“異空間倉庫”に取りあえず所持品をぶち込んだ。この魔法は亜空間をどことも知らぬ場所に生み出してその中に所有物を収納するためのもので、アイテムボックスのようなものだ。
「あれがイタラか?随分とでかいな」
ルリカは草原を越えて目的地の冒険都市イタラの要塞を離れたところから見ていた。
予想以上に発展しており、少なくとも建築技術だけを見るならば近世に見られるような様式だった。要塞の正門では検問が行われており、多くが商人か冒険者だったが、尋常ではないほどの人の流れが出来ていた。
自分の服装を正してルリカは正門に向けて歩き出した。恐らく正門をくぐってしまえば後戻りはできないだろう。きっと血塗られた道を歩むことになる。だがルリカは既に自身の手を血で汚した。そして覚悟などとっくの昔に出来ていた。
迷うことなく歩み出した一歩は小さなものだったが、しかしその一歩はルリカの運命を決める大事な一歩でもあった。
★ ★ ★
冒険都市イタラ、正門前―――――
正門前には数名の騎士が商人や冒険者の検問を行っていた。腰にはやや重そうなロングソードを携えており、純白の服の上からでもわかるほどに筋肉が異様に隆起していた。生半可な鍛え方はされていないという証拠だ。
小一時間ほどの時間を経てようやくルリカの番まで回って来た。
「身分証明書はありますか?」
長身で赤毛の騎士の一人が話しかけて来た。
「ありません」
当然、そんなものあるはずがない。こちらの世界に来てたった一日しか経っていないというのに身分証明書などあるはずがない。
「冒険都市イタラに何の用で来られたのですか?」
明らかに訝しい表情を浮かべて騎士が問う。
そういえば目的など考えてもいなかったな、と内心焦るが、すぐに定番中の定番の答えが脳裏を過ぎった。だが、そんな嘘を並べても意味がないと察したルリカは曖昧な答えを返す。
「実は気がついたらこの近くの草原にいたのですが、記憶が曖昧で自分が何者かもハッキリ覚えていないんです」
「記憶喪失………?しかもエルフか……銅貨一枚を払ってもらえばここをお通ししますがいかがいたしましょうか」
ルリカは騎士の返答に少し驚いたが、表情には出さずポケットから銅貨一枚を払って正門を通してもらえた。この世界の事情に疎すぎるルリカだが、騎士の反応を見るにこの世界でエルフが希少な存在なのかもしれない。
それにしてもエルフの外見とは言え、ゲームの初期装備のような貧相な格好でよく通そうと考えたものだ、とルリカは思いつつ目的の場所へと向かう。
この世界でも現代世界のような身分証明書が必要なのは明らかとなった以上、それを発行してくれそうな場所へと向かうに限る。
そう―――――冒険者ギルドだ。
★ ★ ★
冒険都市イタラはその名の通り冒険者にとっては憧れの場所であり、高ランクの冒険者たちが出入りするような危険なダンジョンが都市の四方に存在している。ちなみにこのダンジョンはイタラの地下で全て繋がっており、ダンジョン内では恐ろしいほどの数のモンスターが跋扈しているらしい(地図に書いてあった)。
そしてダンジョンから持ち帰って来られた素材の取引や武器の製造などでこの都市はかなり儲かっているらしい。
ただ歩いているだけなのに視線を集めてしまっているのは気のせいだろうか。先ほどから何度かこちらに話しかけようとしてきた連中がいたが、全てスルーしている。
「ここかな?」
冒険者ギルドらしき建造物の前まで来たルリカは頭の上に?マークを大量に浮かべることになった。明らかに冒険者ギルドのイメージとかけ離れた綺麗な建造物だったのだ。純白の三階建ての市役所のようなイメージの建物の中に冒険者が出入りしている。
「まずは登録。その後は………まあどうにかなるでしょう」
ルリカは血生臭い世界へ一歩踏み出したのである。
次回も冒険都市イタラの話になります。
感想等、宜しくお願い致します。