第2話 初めての盗賊団(1)
三日ぶりの投稿です。合宿は辛かったです…………もう足が筋肉痛で動かないです。
森の中の開けたところにある切株を椅子代わりにして、目の前で火を焚いていた陽太は魔法の便利さを十二分に理解していた。
まだDランクではあるが、百均で売っているような安物ライターでは出せないであろう火力を利用し、近くにあった枯れ葉、木の枝等を集めて火を焚くことができたのである。
ステータス画面にあった※1は画面をタッチしてみると、説明欄が現れて転生時の事故と書かれていたのを見て陽太―――もといルリカは深い溜め息をしてしまった。
だが魔法はそれらさえ吹き飛ばすほどの便利さだった。軽くイメージするだけで掌に火の玉を生み出したり、消火栓のような高圧の水を噴き出したり、風速10メートル以上の風を吹かせたり、地面を抉れさせたり軽い地割れを生み出したり―――――応用性に富んでいた。
中でも時空魔法は訳の分からない部類に入っていた。まだ光属性魔法と闇属性魔法は画面操作で出て来た説明欄である程度の説明があったのに対してこの時空魔法は抽象的な説明だったのだ。
時空、と言うからには瞬間移動系、時間停止系、などが考えられたが、説明欄には、時と空間を操る、としか書かれていなかった。普通に考えれば自分次第でどうにかなる魔法、と考えてしまうだろう。
しかしルリカは逆を考えてみた。もし、この魔法が自分次第でどうにもなる魔法ならば、それはあまりにも危険だろう、と。
仮に空間転移などができるとする。行ったこともないところには当然行けない。ならば地球へは?地球ならば元の世界で、自分の家など自然と脳裏に浮かぶ。それならば行けるのでは、と考えて自分以外の“資格者”が時空魔法を習得していてそれを試みて帰って来れたのならばいいだろう。しかし、そんな証拠はどこにもないし、天界とやらの天罰が下るのは確定だ。
ルリカはこの時空魔法を有効活用すべく考え始めたところで事件は起きた。
「へえ?これは珍しいな、こんなところにエルフが一人で焚火とはな」
「流石に俺も驚きだな。おいテメエら、今日は可愛いエルフちゃんが俺らの相手をしてくれるようだぜ?」
『よしゃああああ!!!』
突然現れた謎の集団。身なりから察するにこの付近を縄張りとする盗賊団だろう。
片眼に傷が入った大柄の男と髪を手入れもせず伸ばし放題にした男がボスもしくは幹部クラスなのだろう。それに加えて見るからに下っ端オーラを撒き散らす子分らしき数名の男たち。
「……はあ」
ルリカは次から次へと降りかかる厄介事に溜め息しか出てこない。折角時空魔法の有効活用法を考えていたのに、と心の中で呟く。
溜め息をしながらも冷静に敵の数を確認する。
見える位置にいるのは全部で6人。しかし、スキルの気配察知に引っかかった人数は全部で15人。つまり、見えない場所に9人も隠れているということだ。
ちょうどステータス画面をタッチしていて出て来た短剣、短槍、弓を見て弓を取ったルリカは銅製の矢を取り、盗賊団に向き直る。
「ひゅう、お嬢ちゃんよ、そんな物騒なモノを出すなよ。思わず、戦いたくなっちまうぜ」
「この戦闘狂が。まあいい、痛めつけてもいいが、殺すなよ?」
「おうさ」
勝手に話を進めていく盗賊団をゴミでも見るような目で睨んだルリカは弓道のような洗練された構えで弓に矢を番える。
「俺はこの付近でも名の知れた盗賊のハ―――――――」
伸び放題の髪の男の自己紹介が済む前に眉間に超高速で突き進んだ矢が突き刺さった。
男が倒れるまでにルリカは目にも止まらぬ速さで片眼に傷のある男以外の子分たちを射貫いていく。しかもそれは全て正確に眉間のみを貫いていた。
一連の動作に無駄という概念はなく、殺すことに躊躇いさえなかった。隠れていた子分たちが顔を少しでも覗かせた瞬間に眉間に矢が突き刺さっていく光景は圧倒的だった。
たった十数秒だけで辺りに死体が14体も生み出された。
「あのね?私、今すっごく機嫌が悪いの」
蔑みの目で片眼の男を睨みつけるルリカの表情には油断や慢心は一切なく、殺すためならどんな手段でも使う殺し屋のような極限まで研ぎ澄まされた鋭利な刃のような鋭い目付きに豹変していた。一応、誰かが近くにいる際はなるべく女の子のような喋り方をするように決めたのだが、言い方が上から目線すぎるのは偶然である。
しかも狙いも寸分違わず眉間だけを射貫く技量、それはルリカが地球で大切な幼馴染を護る為に身に着けたものだ。ルリカの幼馴染は可愛らしい容姿から地元の不良たちから狙われることが多々あった。彼女を護る為にルリカが身に着けた“技術”は数多に及ぶが、その中でも弓の技量だけは尋常ではないのだ。
「……何者なんだ、お前は」
「ただの傍迷惑なゲームに招かれた死人だよ」
次回投稿は2日後ぐらいになると思います。