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最弱能力"感情が読めるだけ"の私が、13人のデスゲームで盤面を支配する(と、本人は思っている)  作者: SSS


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第12話 すれ違いざまの一撃



リーダー格が、消えて。


残ったのは、四人。



私。


協力者。


X。


そして、気弱な、少年。



……この、うち。


本当の、意味で「戦える」のは。


もう、X、一人、だけだった。


少年は、怯えて、隅で、震えて、いる。


私は……そもそも、戦えない。


感情が、読めるだけ。


そして、協力者は。


……フードの、奥で。


静かに、X、を、見て、いた。



◇



X、は。


もう、隠れなかった。



白い、部屋の、中央に、立って。


残った、三人を、順に、見回す。


その、目には。


……値踏みするような、色が、あった。



「……そろそろ、決着を、つけよう」



X、が、口を、開いた。


低く、平坦な、声。



「この、ゲームで。俺の、邪魔に、なるのは。……誰かの、能力を、盗む、奴だ。リーダー格を、殺したとき。妙なことが、あった。……あいつは、一度、死んで、蘇った。その、瞬間を。……誰かが、見ていた、はずだ」



……ぞくり。



私は。


息を、呑んだ。


(この、男。


気づいて、いる。


誰かが。


蘇りを、見ていた、ことに)



◇



「盗む、能力は。……厄介だ」X、は、続けた。「一度、見た、能力を。自分の、ものに、できる。……リーダー格の、蘇りも、盗まれて、いるかも、しれん。だから。……先に、潰す」



その、視線が。


ゆっくりと。


――協力者に。


向いた。



「お前だ」X、は、言った。「ずっと、フードで、顔を、隠して。前にも、出ず。目立たず。……その、立ち回りが。かえって、怪しい。お前が、"盗む"側、だろう」



……。



私は。


心臓が。


跳ねた。


(見抜かれた。


協力者が。


コピー能力者、だと)



◇



でも。


X、は。


まだ。


半分しか。


見抜いて、いなかった。



(……そう。


X、は。


協力者が。


コピー能力を、持つ、ことは。


見抜いた。


でも。


その、協力者が。


私と、「組んで」いる、ことは。


見抜いて、いない。


私を。


「ただの、変態」と。


切り捨てた、から。


私と、協力者を。


別々の、存在だと。


思って、いる)



だから。


X、の、狙いは。


協力者、一人に。


絞られた。


私は。


眼中に、ない。


(それが。


幸運なのか。


不運なのか。


このときは。


わからなかった)



◇



「……待って」



協力者が。


静かに。


口を、開いた。



「私が、"盗む"側だと。……なぜ、言い切れるの」


「言い切れる」X、は。


即答した。「お前の、立ち回りは。……見て、盗む、奴の、動きだ。前に、出ず。観察に、徹する。他人の、能力を、見極めて、いる。……俺には、わかる。同じ、"見る"側の、人間、だからな」



……ああ。



私は。


内心。


唸った。


X、の、洞察は。


鋭い。


協力者の、本質を。


半分。


言い当てて、いる。


(でも。


半分。


だけ)



◇



X、は。


一歩。


協力者に。


近づいた。



「お前の、能力が。……"盗む"ものなら。厄介だ。だが。……一つ、弱点が、ある」


「……弱点?」


「盗んだ、能力を、使うには。……発動を、"見る"必要が、あるはずだ。だが。俺の、力は。……能力じゃ、ない」



X、の、声が。


ぞっとするほど。


冷たく、なった。



「俺のは。……技だ。三十年、鍛えた。暗殺の、技。……見ても。盗めない。真似も、できない。……お前の、コピーは。俺には。効かない」



◇



(三十年……!?)



私は。


慄然と、した。



X、は。


暗殺者、だった。


それも。


三十年。


技を、磨いた。


本物の。


……この、デスゲームで。


ずっと。


「その他大勢」の、ふりを、して。


気配を、消し。


目立たず。


……そうやって。


一人ずつ。


静かに。


消して、きた。



「……お前の、能力が。何を、盗んで、いようと」X、は。


冷たく、言い放った。「俺を、殺す、能力だけは。……盗めない。なぜなら。俺を、殺すのは。能力、じゃ、ない、から、だ」



そして。


X、は。


協力者を。


まっすぐ。


見据えた。



「お前は。……十代の、小娘だ。フィジカルで、押せば。……勝てる。能力を、使う、暇も、与えない」



◇



(……まずい)



私は。


動けなかった。


X、が。


協力者を。


殺そうと、して、いる。


止め、なきゃ。


でも。


どうやって?


私は。


戦えない。


声を、上げても。


X、は、止まらない。


むしろ。


私まで。


標的に、なる。


……打たれ弱い、私は。


恐怖で。


身体が。


竦んで。


一歩も。


動けなかった。



(協力者……!)



心の中で。


叫ぶ、ことしか。


できなかった。



◇



X、が。


動いた。



――いや。


「動いた」という、言葉は。


正しく、ない。



X、は。


ふと。


気を、抜いた、ように。


立ち上がって。


協力者の、横を。


……ただ。


通り過ぎよう、と、した。


まるで。


何気ない、仕草で。


すれ違う、だけ。


のように。



でも。


その、すれ違いざま。



X、の、手が。


――一閃。



何が、起きたのか。


私には。


やっぱり。


見え、なかった。


ただ。


X、が。


協力者の、横を。


通り過ぎた、あと。



協力者の、身体が。


……ぐらり、と。


傾いで。


そのまま。


白い、床に。


崩れ落ちた。



◇



「――!!」



声に、ならない、悲鳴が。


私の、喉から。


漏れた。



協力者が。


倒れて、いる。


フードが。


わずかに。


ずれて。


でも。


その、顔は。


まだ。


影に。


隠れて、いた。


……動か、ない。


ぴくりとも。


動か、ない。



(……嘘。


嘘、でしょう。


協力者が。


……殺された?)



私の、頭が。


真っ白に。


なった。


ずっと。


私を。


支えて、くれた。


ずっと。


私の、隣に、いた。


唯一の。


味方が。


……たった、一瞬で。


消えた。



◇



「……これで」



X、が。


ゆっくりと。


振り返った。



「コピー能力者は。……消えた。もう。俺の、邪魔を、できる、奴は。……いない」



X、は。


勝ち誇った、風でも、なかった。


ただ。


淡々と。


事実を。


確認する、ように。


語り、始めた。



「……長い、ゲームだった。俺は。ずっと。"その他大勢"を、演じてきた。目立たず。喋らず。……誰の、記憶にも、残らない、ように。そうやって。一人ずつ。……始末して、きた」



ペラペラと。


X、は。


語る。


自分が。


いかに。


優れた。


暗殺者、であるかを。


いかに。


巧妙に。


この、ゲームを。


泳いで、きたかを。



◇



……ああ。



私は。


崩れ落ちそうな。


心を。


必死で。


支えながら。


それでも。


一つの、ことに。


気づいて、いた。



X、が。


喋って、いる。


勝利を、確信して。


饒舌に。


語って、いる。



(……これ。


フラグ、だわ)



私は。


打たれ弱い。


臆病だ。


協力者を、失って。


心は。


折れる、寸前。


でも。


……こういう、とき。


妙な、ことに。


頭の、片隅だけが。


冷静だった。



デスゲームで。


勝利を、確信した、奴が。


ペラペラと。


自分語りを、始める。


……それは。


だいたい。


ひっくり返る。


相場が。


決まって、いる。



◇



だから。


私は。


震える、声で。


でも。


はっきりと。


言った。



「……いま、それ。フラグですよ」



X、が。


ぴたり、と。


語りを、止めた。



「……何?」


「フラグ、ですよ」私は、繰り返した。「勝った、勝ったって。ベラベラ、喋りだすやつ。……だいたい。このあと。ひっくり返るんです。物語の、お約束」


「……何を、言っている」



X、は。


怪訝な顔で。


私を、見た。


……そう。


X、の、目には。


私は。


まだ。


「ただの、変態」。


協力者を、殺されて。


やけくそに。


意味不明なことを、口走って、いる。


哀れな、女。


そう。


見えて、いる。



◇



(……いいわ。


そう、思って、いなさい)



私は。


折れそうな、心を。


ぐっと。


奮い立たせた。



なぜ。


私が。


こんな、絶望的な、状況で。


「フラグ」なんて。


軽口を。


叩けるのか。



……理由は。


一つ。



私は。


まだ。


諦めて、いなかった。


だって。


……私の、隣に、いた、あの、協力者が。


みすみす。


何の、手も、打たずに。


殺される、なんて。


……そんな、こと。


ある、はずが、ない。



だって。


あの、人は。



……いや。



その、先を。


私は。


まだ。


口には。


しない。


心の中でも。


言わない。


ただ。


静かに。


待つ。


その、ときを。



「……何を、企んでいる」



X、が。


かすかに。


眉を、寄せた。


初めて。


X、の、心が。


……ほんの、少しだけ。


揺れた。


(……お。


揺れた。


この、余裕の、ない、感じ。


いいわ。


もっと。


揺れなさい)



私は。


恐怖で。


がくがく、と。


震えながら。


それでも。


精一杯の。


不敵な、笑みを。


浮かべて、みせた。



「……さあ? どうかしら。……でも。ひとつ、だけ。教えて、あげる。……あなた。今、"勝った"と、思ったでしょう。……その、油断が。命取りに、なるって。……物語じゃ。決まって、るのよ」



(第12話 了)



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 【 湊ミライの ゲーム攻略メモ 】

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・私の能力:感情の揺れがわかる。中身は不明。攻撃不可。

・私の役割:……なんか地味。よく読んでない。

〔今回〕

・Xが正体を現す=三十年鍛えた暗殺者。技はコピー不可。

・Xはコピー能力者を協力者と見抜き、フィジカルで暗殺。

 →協力者、倒れる(顔は影のまま)。

・Xは勝利を確信し、饒舌に自分語り=フラグ。

・私は心折れる寸前。でも「協力者がむざむざ殺される

 はずがない」と、まだ諦めていない(理由は伏せる)。

・Xの心が初めて"揺れた"(私を訝しむ)。

・残り:私・X・少年+倒れた協力者。

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