おはようございます、ご主人様♡
朝の陽光が、広大な屋敷の窓から柔らかく差し込んでいた。白亜の壁に飾られた古い肖像画が、静かにその光を受け止め、広間には清潔なレモンの香りが漂う。
メイドのリリアは、黒と白のフリル付きエプロンを身にまとい、軽やかな足取りで朝食の準備を整えていた。彼女の長い銀髪が、動きに合わせて揺れる。
「おはようございます、ご主人様♡」
リリアの声は、まるで鈴を転がすような明るさで広間に響いた。彼女の碧い瞳は、テーブルの向こうに座るご主人様。鋭い目つきと引き締まった体躯を持つ男に向けられていた。リリアの微笑みは、まるで朝の光そのもののように温かい。
「おはよう。今日も一日頑張ろうか。」
ご主人様の声は落ち着いていたが、その口元にはわずかな笑みが浮かんでいた。リリアの元気な挨拶に、どこか心が和むのを感じていた。
「はい、ご主人様! 朝食の準備はもう整っております。今朝はフレンチトーストをご用意させていただきました!」
リリアは胸を張り、テーブルに並べられた黄金色のフレンチトーストを誇らしげに指し示した。ふわっとした甘い香りが漂い、皿の横には新鮮なベリーと生クリームが彩りを添えている。彼女の笑顔は、まるで自分が作った料理が世界一だと信じているようだった。
ご主人様は一瞬、皿を見つめ、軽く眉を寄せた。
「いや、出来れば鶏の胸肉を使った料理がいいんだが……今から作り直す事は出来ないかい?」
リリアの笑顔が一瞬凍りつき、碧い瞳が大きく見開かれた。
「申し訳ございません!」
彼女は慌てて頭を下げ、エプロンの裾をぎゅっと握りしめた。
「すぐに鶏胸肉の料理に作り直させていただきます。ご主人様のお好みに合わせられず申し訳なく…」
反省の色が彼女の声に滲み、肩がわずかに縮こまった。
「いや、フレンチトーストはメイドらしい選択だと思うよ。大丈夫さ。」
ご主人様の言葉は穏やかで、リリアの肩から力が抜けるのが分かった。
リリアの目が潤み、頬がほのかに赤らんだ。
「ご主人様…そんなに優しくしていただいて…」
彼女は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに決意を固めたように顔を上げた。
「でも、やはり鶏胸肉のお料理を作らせてください!」
ご主人様は小さく笑い、片手を軽く振った。
「あぁ、鶏胸肉の料理で頼む。」
「かしこまりました!」
リリアはエプロンをぴしっと直し、キッチンへと駆け戻った。彼女の動きはまるで舞踏のようで、銀髪が陽光にきらめく。
「すぐに鶏胸肉のグリル焼きをご用意させていただきます!」




