89.社員の覚悟と村の覚悟
「....ということがあったんだ。」
レイジーが朝の出来事を山斬に伝え終わった。
「ふむふむ..ワティフェィが寝ている間にそのような事があったのか..」
「オオオオ!!!ウプイイイイイ!!!」
まあまあ離れている筈なのにしっかり聞こえる。
「ソレニシテモ、ボラバンサンハ朝カラ泣キッパナシデスネ〜」
「ウプイちゃんが死んだから、無理は無いわ...」
「..................やっぱり....村の外に出るのは.........」
哲也はまた弱音を吐く、だが..
「そうだね..ソフィーの身体の事もあるし、今日は延期にしよ...」
その哲也の意見が承諾されようとしたその時!
「いや!村の奥に行くわ!」
そう言い放ったのは、なんとソフィーだった。
身体がミイラみたいに包帯で巻かれているのに、片手にまつば杖をして立って、いつの間にか側までやって来ていた。
「あの子を助けようとして分かったわ。このまま延期してる暇はないわ!あの植物はたけのこラズベリー軍の分生体である事は間違いない!仕事に関係あるのなら、これ以上被害を増やす訳にはいかない!」
ソフィーは仕事に関与すると、急に協力的になった。
「ソフィーが大丈夫なら延期する必要はないね!」
「そうね、予定通り決行しましょう。それより...」
そう言うと、ソフィーは山斬の方を向いた。
「山斬くん、昨日の情報はアノちゃんから聞いたけど、具体的な説明お願いしていいかしら?」
「分かった、昨日.....」
そして山斬は昨日の夜中の出来事を鮮明に話した。
「なるほどね...レイジーさんの事を疑いたい訳じゃないけど..この様子は族長さんがやっている事になりそうね..まあ一番濡れ衣を着せやすいのかもしれないわ、とにかく今夜が重要よ.....???」
するとソフィーは少し考える仕草をして、アプシュルノの方を向いた。
「...!ソフィーさん私がど..どうかしましたか?」
急に視線を向けられて、アプシュルノは驚いた。
しかし、その驚きは少しオーバーにも見える。
「.....いえなんでも無いわ。ちょっと邪推をしちゃっただけよ。驚かせちゃってごめんなさい。」
皆んなは話す事はある程度解決すると、族長の家が騒がしくなっている事に気づいた。
「なんの騒ぎだろう..行ってみよう!」
レイジーについていくと、なんとボラバンが演説をしていた!
族長の家の真横にある岩の上に乗って、その周りには村人が集まっていた。
「聞いて欲しい!まず一昨日の夜、この村から5人の子供が消えてしまった!そしてこの朝!ワシの.......ワシのウプイが!!!死んでしまったんじゃっ...........うっ............
そしてワシはここで族長として誓う!もうこれ以上の犠牲は増やさないと!村と森の間に防壁を作り、出入りを制限するんじゃ!ワシの息子と娘以外は見つけ次第、捕えた状態で村に入れろ!森に入る事は勿論厳禁じゃ!ワシの子供の残り2人は生き残っていて欲しいが、ワシはこの村の族長でもある!皆を見捨てていく訳にはいかないのだ!だから皆もワシに従って欲しい!」
「オオオオオオオ!!!!!!!!」
村人の歓声が激しく呼応した。
「んー...村からはもう犠牲は出ないだろうけど、これじゃ村から出にくくなっちゃうなあ...」
レイジーは困ってしまった。すると、
「レイジーさん、更に深夜に行動すればいいだけよ。夜中の12:00位はどうかしら?」
「なるほど!行動を深夜にすればいいんだね!皆んな!今日は昼の内に寝ておいてほしい!深夜12:00!こっそり集合して森の奥に行く!これでいいね?」
レイジーのその言葉に皆んなは相槌を打った。
だが哲也だけは首を横に小さく振っていた。




