表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも、お姉ちゃんに任せなさい!  作者: 佐々木 みこと
35/52

第33話 水の女神の想い人

お待たせいたしました。

今回は、水の神殿のエリス・フェアリーさんと会見です。


ブックマーク、評価ありがとうございます。

読者の皆様、いつも応援ありがとうございます。(^^♪

ミーナへ極秘任務(?)を依頼した翌日、私は昨日と同じ応接室で『水の神殿』の神殿騎士エリスさんを迎えています。エリスさんも今日『死神の巣』のグレイさんやアストリア侯爵家のシュリさんと同じく、正式な同盟締結のために領地へと帰還するとのことで、出発前に私に挨拶をしたいということでした。


エリスさんとの今日の会見は、二人だけのプライベートな形にしてもらいました。……というのも、私の護衛騎士は普段男性のみなので、傍にいると何となく話題に遠慮が出てしまうように思ったからです。おそらく遠慮してしまうのは私だけなのでしょうが、とりあえずハロルドさん達には隣の部屋と応接室の外に分かれて待機してもらうことにしました。


◇◇◇◇◇◇


今、私の目の前に座っているエリスさんは、本当に『水の女神』という『二つ名』がピッタリの素敵な女性です。色白の肌はで透き通るように美しく、キラキラと艶のある長く青い髪、背も高くて足もスラリと細長く、まるでモデルのようです。スリーサイズも女性なら誰しも憧れてしまうのは確実です。最初にあった時も思いましたが、もしも耳が尖っていたら『エルフ』の女性はこんな感じに違いありません。


そんなエリスさんを目の前にして、同性ながらつい顔が赤くなってしまう私ですが、できるだけ平静を装い、昨日と同様にできるだけ上品に応対するように心がけます。



「エリスさんまで帰ってしまうと、寂しくなりますね」


私がそう言うと、エリスさんは目を細めながらニコリと微笑みました。

本当に『水の女神』そのものです。


「ミユ様にそう言っていただけると光栄です。私も常にお傍でお仕えしたいと思いますが、まだミユ様が『聖女』であることを公にするわけにはいきませんから…」


私の男性ばかりの護衛の中に一人女性のエリスさんがいてくれれば、同じ女性としてこれほど心強いものはありません。しかし、この大陸で『二つ名』を持つ超有名人の彼女が私の護衛になれば、周囲から“私の存在”が疑問視され、“聖女”であることが公になるのは時間の問題です。


そうなれば、エメラダ神聖国の中央派と各地の教会が何らかの行動を起こすことは目に見えています。私達としては、ザナッシュ公爵との一件が片付くまでは、中央派と神殿派の対立は引き起こしたくないのが現状なのです。



「本当に残念です…。でも、先日お願いした件もありますし、また近いうちに来ていただけるのでしょう?」


私が先日『お願いした件』というのは、水の神殿で作っているという“米”と“日本酒”をいくらか分けて欲しいという件です。


以前、レイシアさんから水の神殿で神に捧げる酒を造るために“米”が栽培されていると聞いて、何とか手に入らないかと思っていたので、先日エリスさんが滞在しているこの機会にダメ元でお願いしてみたところ「聖女様が嗜む程度であれば…」と快く了承していただいたのです。


さすがに、水の神殿では“米”も“日本酒”も神聖なものなので、大量に交易品にするのは不可能とのことですが、将来的に神殿派が中央派に勝利してエメラダ神聖国を改革し、私が聖女として米作り・酒造りを大陸中に広めるという方法であれば神殿領外へ持ち出すのも可能になるのでは…とのことです。


まだまだ先の長い話となりますが、日本人の私としては“お米”を主食にしたい気持ちは強いので、優斗のためにも出来るだけ早く実現したいと思っています。


また、米や日本酒が手に入るということは、こうじや酢もこの世界に存在するということに繋がり、元の世界の食にまた一歩近づけたようで、とても嬉しいです。



「そうですね……。しばらくは私がこちらに来訪するのは難しいかと思います。頻繁にアストリア侯爵家やカダイン伯爵家に出入りすれば、色々と噂が飛び交うでしょうから……。それよりも、近い内にミユ様が水の神殿に来訪していただけると助かります。恥ずかしながら、水の神殿の内部には“聖女の存在”を疑問に感じている者もおりますので……」


本当に申し訳ないといった様子で話すエリスさんですが、それは仕方のないことだと思います。何百年も何千年も現れたことのない『聖女』が急に現れたと言っても、話だけでは信用できないのが普通の反応です。


むしろ、シュリさんやエリスさんの話で領内のほとんどの人が私の存在を信用したことのほうが不思議です。きっと二人の領内での信頼度・信用度が物凄く高いということなのでしょう。



「はい。私も一度、水の神殿を訪れて色々と見学させていただければと思っています。マリクさんも同盟関係の強化には必要なことだと言っていました。それよりも、その……私は何をすれば、私に疑問を持っている方々の信用を得られるのでしょうか?」


正直『聖女』と言っても、私に出来ることと言えば…『癒しの力』と『膨大な魔力量』を披露することくらいしかありません。少し不安なのでエリスさんに尋ねてみました。


「大丈夫ですよ。ミユ様が水の神殿にいらしたら『誰もが納得する方法』がございますので、それを行っていただけるだけで大丈夫です♪ もちろんマリク様からも“こころよく”承諾をいただいておりますので、その際はよろしくお願いいたします」


(えっ? ものすごく嫌な予感しかしませんけれど……)



「あ、あの……その『誰もが納得する方法』というのは?」


私が恐る恐る尋ねると、エリスさんは少し天井に目線を動かし、右手を口のあたりに添えて少し考える素振りを見せながら、


「ふふっ……それは、後日のお楽しみにいたしましょう!」


と言ってこの話を打ち切ってしまいました。


(むぅ~っ 何か水の神殿に行くのが不安になってきたよ……)




◇◇◇◇◇◇


その後、しばらくエリスさんと他愛のない会話を交わしたのですが、彼女と話をするにつれて、本当に彼女が魅力的な女性であることが身に染みてわかってきました。すると、私の中でどうしても彼女に聞いておきたいことが頭の中に浮かんできたのです。


それは………シュリさんとの関係です!


アストリア侯爵家で私の前に二人が一緒に現れた時、あまりの美男美女ぶりに「なんてお似合いな二人なんだろう……」と思ってしまい、それからというもの「もしかしたら二人は付き合っているのでは?」ということが、心の中で燻ぶっていたのです。


それが今、彼女と話をするうちに思い出されてきてしまいました。もしかしたら、私が今日、護衛のハロルドさん達に応接室への同席を認めなかったのも、無意識に私がその話をしたいという欲求があったからかもしれません。


「あ、あの! エリスさん」


「はい。何でしょうかミユ様?」


「こんなことを聞いて良いのかどうか……その……わからないのですが……」


「??? ミユ様、私が答えられることであればお答えいたしますので遠慮なくどうぞ……」


エリスさんが首を傾げながらも承諾してくれたので、ここは思い切って質問をぶつけることにします。


「エ、エリスさんは、アストリア侯爵家のシュリさんとお付き合いしているのですか?」


「ミユ様…どうしてそのようなことを?」


「い、いえ、その……アストリア侯爵邸で初めて会った時に一緒にいましたし、とても二人がお似合いだったので…」


「………そう……ですか……。ミユ様、私はシュリ様とはお付き合いはしておりません。とても尊敬しておりますが、ミユ様が考えているような恋愛感情はございませんよ」


(・・・・・・・ふぅ~~~っ)


エリスさんの返事を聞いて明らかにホッとしている私を見て、エリスさんがクスリと小さく笑いました。でも私にとっては物凄く重要なことだったので、カトリーヌさんに習った感情を表に出すことを抑えることなど、すっかり忘れて安堵の溜息をついてしまいました。


しかし安堵したのと同時に、一つの疑問が頭をよぎります。

それは……「エリスさんほどの女性が好きになる男性って誰?」……です。

こちらも思い切って聞いてみることにします。


「えっと、それではエリスさんは、どのような男性が好きなのですか? 今、好きな方がいらっしゃるのですか?」


自分でもかなり図々しいことを平気で質問してしまったと思いましたが、『旅の恥は掻き捨て』ならぬ『異世界の恥は掻き捨て』ということで、容赦してほしいと思います。


「ミ、ミユ様!? いったいどうされたのですか? ……私は男性を好きになることはありませんので………アッ!!」


「!!!!!!!! えっ? エ、エリスさん。今、何て!!」


おおっと、今、エリスさんから爆弾発言が飛び出しました。エリスさんがまさか、異性に興味がないとは思いませんでした。こちらの世界でもいらっしゃるのですね。


(……なるほど、それで優斗に初めて会った時も平然としていたのか……。)



そんなことを考えながらエリスさんの恥ずかしがる様子を見ていると、


「ミ、ミユ様!! 今のは聞かなかったことにしてくださいませんか?」


「……そ、そうですね。二人だけの秘密にいたしましょう。……でも、エリスさんの目に留まる女性というのは、どのような方なのでしょうか? それだけでも教えてください!」


エリスさんのような美女が顔を真っ赤にして恥ずかしがる様子がとても可愛らしくて、つい意地悪をしてしまう私がいます。私がこんな性格を持っていたとは自分でも驚きです。


「!!! ミ、ミユ様に…わ、私のお慕いする方を教えられるわけがございません」



(そうだよねぇ…………んっ? 私に教えられないってことは……)



「もしかして、私の知っている方……ですか?」


「!!!!!!!!!!!!」


(うわぁ――――――っ エリスさん、わかりやすい! 可愛い!!)


エリスさんが更に顔を真っ赤にして俯いているのを見ると、明らかに私の知っている人物のようです。そして、エリスさんが恋愛話に免疫がないことも明らかになりました。もしかしたら、こちらの世界の人自体があまり他人と恋愛話をしないのかもしれません。


(それにしても、私が知っている女性でエリスさんと接点がある人かぁ………)



該当する人物を頭の中でリストアップしようと試みましたが、二人しか該当する人物が思い浮かびません。一人は外交・商務長官のカトリーヌさん、もう一人は……


「ゴホッゴホッ! エ、エリスさん……ま、まさか」


もう一人の人物があまりにも意外すぎて、思わず咳込んでしまいました。

エリスさんが私の言葉にピクリと反応します。



「レ、レイシアさん……ですか?」


「!!!!!!!!!!!!!!」




(うわぁぁぁ――――――っ! 当たってしまった!!)



最悪です!! レイシアさんはエメラダ神聖国に留学中、エリスさんと同級生だったそうですが、様々な分野でエリスさんに勝ったためしがなく、極度な劣等感を持っているのです。エリスさんのことになると、今でも恐ろしいまでの敵対心をむき出しにして周囲を恐怖に陥れるほどです。


そんなレイシアさんの顔が思い浮かんで思わず頭を抱えてしまいます。

しかし聞いてしまった以上、何とかやんわりとレイシアさんがエリスさんをどう思っているかを伝えなければならない気がします。


「あ、あのエリスさん……その大変申し上げにくいのですが、レイシアさんは……エリスさんのことを……色々な面で“好敵手ライバル”と思っているようで……」


「えっ!! ほ、本当ですか!!」


(あ、あれ? 何か喜んでいる?)


私としては、やんわりとレイシアさんがエリスさんに対して好意を持っていないと伝えたかったのですが、何故か満面の笑顔で私を見つめています。


「え、えっと…エリスさん? 何で嬉しそうなのですか?」


私が囁くように聞いてみると、


「えっ? レイシアが私のことを“好敵手”と認めているということですよね! それなら、彼女に私の力をさらに見せつければ、後もうひと押しで彼女の心を私の物に出来る状況ということですよね?」


(は、はい? 何でそうなるの??)


エリスさんの考えていることが全く理解できなかった私は、なぜ力を見せつけることがレイシアさんの心をゲットすることに繋がるのかを聞いてみました。



◇◇◇◇◇◇



「な、なるほど…。水の神殿では、そのようにして好きな相手を振り向かせるのですね。驚きました……」


エリスさんから聞いた内容に本当に驚きました。


どうやら、エリスさんが生まれ育った『水の神殿』は、完全な『実力主義社会』のようです。つまり、能力の高いものが、自分より能力の低いものを従えるのが当たり前の世界で、“身分”も“実力”によって勝ち取るものなのだとか……。


そのため、エリスさんは『水の神殿』の跡取り娘と称されていたり、『二つ名』を持っている“武力”と“魔法”の実力者であるにもかかわらず、“神事”と“軍の統率・指導力”の面で他の人よりも劣っていることを理由に、まだ“神殿騎士”の役職のままなのだそうです。


恋愛に至っては、好きな相手がいれば自分の優秀さを相手に知らしめて、相手が「もう貴方にはかないません」と降参させてから、求婚するのが一般的なのだそうです。


普通に考えると、結婚当初から相手を尻に敷く形になりそうな予感がしますが、愛があれば大丈夫なのでしょうか……。


それにしても、今のエリスさんのやり方では、負けず嫌いのレイシアさんにとって“火に油を注ぐ”結果になるだけです。お互いが好意的な関係になるのは、100%不可能でしょう。


(う~ん…どうしたら良いかしら……)


無意識に腕組みをして、難しい顔で考えていると、


「ミユ様? どうなさいました? 何か問題でも?」


(問題あり過ぎです!! ……とは、答えられないよねぇ……)


「えぇ……、今の話を伺っていると、エリスさんが考える“相手に好かれるための手段”は、こちらの国では合っていないかもしれません」


「えっ?」


私は異世界人なので、この国の人の恋愛観について自信を持って答えることは出来ません。とりあえず曖昧な返事をしつつ、エリスさんにそれとなく気づかせてあげられればと思いました。


「レイシアさんは今、私の弟の優斗に好意を向けているのはご存じでしょう? 優斗はエリスさんのように強くありませんよね」


「は、はい。魔力量は破格だとは思いますが……」


「つまり、レイシアさんが好意を寄せる相手の基準は、『水の神殿』で考える“能力の高さ”では無いのではありませんか?」


「!!!!!!!!!!!!」


エリスさんが、そんなことは考えもしなかったという驚愕した表情で固まっています。しかし、私はエリスさんを絶望させるためにこんな話をしたのではないので、ニコリと微笑んでから彼女に語り掛けます。


「私もレイシアさんのことを良く知っているわけではありません。でもきっと、もっとお互いが理解し合えば、より好感度を上げるための方法が見つかるのではありませんか?」


「ミユ様! ありがとうございます。 厚かましいお願いですが、レイシアとの仲がより高められるようにご協力いただけますか?」


(えっ? “より高められる”……って、今おそらく氷点下ですけど…)


本人の真面目な表情からすると、レイシアさんからある程度は好感度を得ていると思っている様子です。……とりあえず、そこには触れずにおこうと思いました。


「はい、承知いたしました。二人が“今よりも良い関係”が作れるように色々と考えてみますね」


「ありがとうございます」



◇◇◇◇◇◇



…そんなわけで、シュリさんとエリスさんの関係を聞いてみたら、エリスさんとレイシアさんの仲を取り持つことになってしまいました。


あくまでも『今よりも良い関係』になれるための協力ですから、さほど難しくないのでは……と楽観的に考えつつ、領地へと帰るエリスさんを見送った私なのでした。



エリスさんがレイシアさんに好意を寄せているとは…

今後の二人の関係改善(?)にも注目です。


7月から投稿を初めて、もう半年……あっという間ですね。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

1月は中旬頃から活動再開したいと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ