第一話 鉄の城からの紅の翼
初めての投稿になります。拙い作品ではありますが、迷走しながらでも完走したいと思っておりますので、生温く見守って下さいませ。
不定期投稿になります事もご容赦下さい。
ロングタイムアゴウのとある世界でのお話。
「・・・・・・ここ、どこ?」
目の前の景色が瞬きの間に変わり、駅前西口の鯛焼き屋に並んでいた筈の私の眼前には、大自然&荘厳な景観の巨城がそびえていたりする。
とりあえずスマホを取り出して、そのお城をカメラに収めていた私。と、上着の裾をひきながら妹がうつろな声で問いかけてきた。
「ここ、どこ?お姉ちゃん・・・・・・」
うん、それは私も聞きたいのだ妹よ。いやまぁさっき聞いたけどね。スマホをしまい、やや後ろにいた小柄な少女に顔を向けると、彼女も私同様に呆けた顔で眼前の景色に圧倒されているようだ。
「ホントどこだろうね此処?とりあえず鯛焼きはフイになったようだけども」
「今日の限定品、ジャーマンポテト食べたかったなぁ・・・・・・」
「うん、先週から楽しみにしてたのにね」
うむ。甘いだけが鯛焼きではない!いや甘いのだって大好きだけれどもね?
さて、このアホな会話を交わしている二人。お聞きのように姉妹でありますよ。
私は横浜在住の女子高生、桂木彗栗色の髪を肩甲骨の辺りまで伸ばした健康優良児。まぁ背が伸びないのが目下の悩みでしたが、現状そんな悩みどーでもよくなってます!
妹は中学生で星(私はセーと呼んでいる)薄墨色のセミロングで姫カットな我が家のリトルプリンセス。ちっちゃく可愛い!マジで天使である。
私も166cmしかないが、妹は150cmに届かないミニサイズ。マジヤバイ可愛い。語彙が足りず妹を表する言葉が拙いのには忸怩たる思いである。あとね・・・二人で彗星という名は親のセンスを多少なりとも疑ってしまうのよ私。どこぞの必殺技かっ!・・・・・・うん、おに・・・兄は流だし、危うく流星になるトコだったとかマジカンベン。って、私は何に説明しているのだろう?やはり混乱状態なのかな?必死に精神の安定をはかっている模様と思いたいのよ。切実に!
「一応聞くけどセー、私達ってさっき事故とかにあってない・・・よね?」
「確か、あと二人でってところだったよ。鯛焼き!」
うん。やっぱり食べたかったよね。鯛焼きの部分の力強い響き、分かるよ。その筈だったよね?それが何故にこのロケーションよ!?
「これは・・・所謂・・・アレかな?アレだと思う?セー?」
恐る恐る妹に尋ねる私。正直夢だと思いたいのだが、肌に感じる空気や耳に届く音、何より目の前の建造物の存在感が現実だと訴えていた。まぁ、今見上げている巨大なお城は大きさ以外は某指輪的な白亜の城ではなく、黒曜石っぽい?どちらかと言えば城塞的で鉄の城と言った感じかな?
というか地球の石造建築物の範疇では決して無いと言い切れるレベルで巨大なのよね。このお城。
「お姉ちゃんもセイも生きてココにいるのなら異世界転移。気付かないうちに死んじゃってるなら異世界転生って事だと思うよ。転生ならどうして成長した姿なのかって思うけど、そーゆー話も無いわけじゃないから可能性はゼロじゃない、かな?」
さすがグリモな妹。古今東西、新旧ジャンル、媒体問わずにあらゆる書籍・文書・文章を読み漁る歩く図書館である。所謂ネット小説で流行ってた?異世界物もちゃんと読んでいたようだ。だが、知らずに死んでるって怖いわ!そっちじゃありませんように。
「う~ん・・・・・・とすると、私ら異世界に来ちゃってる訳ね。どう見ても地球の景色じゃないモンね?って!家が大変な事になっちゃわないコレ?」
「主にお父さんとお兄ちゃんが・・・だよね」
そーだー(遠い目)どーしよー。それにお爺ちゃんとお婆ちゃんに知られたらお父さんが(精神的に)殺されるし、おそらくお兄・・・兄はお母さんに怒られる気がする。なんで私達に着いていかなかったのかと。過保護だぁ・・・というか、普通に事件になっちゃってるよね?捜索願いとか出されちゃうんじゃん!?
とはいえ今は自分達の身の安全の確保が最優先だろう。再度スマホを取り出してコンパスアプリを開く。
「おぉ、ちゃんと動いた。お城の方がほぼ北になるね」
「じゃあ地磁気は存在している世界なんだね。ん~出来れば電気をなんとかしたいけど」
「念の為にセーのスマホは電源・・・お、さすが。もう切ってたか。私の方は予備バッテリー2本と外付けバッテリーも2つとアダプター、タブレットにもアダプターっと」
「セイの方はスマホとノーパソ。この子達の予備バッテリー1つずつにアダプター、それと電子辞書。この子は電池とアダプターだよ。電池は充電器あるけど・・・やっぱり電源ないとだねぇ」
お互いのリュックに入っているアイテムを確認。女の子のご用達アイテムは無論だが、チョコやキャンディーなどの当座のカロリー摂取アイテムも必須である。あ、私のリュックのポケットには常時携帯カロリー食品が数日分入れてある。お兄ちゃ・・・んんっ!兄の趣味、アウトドアのレクチャーのおかげであることよ。ありがとうお兄ちゃん。あ・・・
「当座の食料は手持ちでなんとかなるけど、この世界の動植物の詳細を知らないと簡単に狩りって訳にも行かないし・・・異世界ってなら魔物とかもいそうだし、安直だけどやっぱあのお城に行くのが今のベストかな?」
ココがどういう世界なのかは異邦人の私達だけで考えても埒があかない。どうしたってこの地の人々を見て、聞いて、知らなければどこにも進めないと思う。ここの常識含めた諸々のルールなんて一つも分からないから。何より私には妹がいるのだ。守るべき我が家の掌中之珠の為にも生きていかねば、まずこの生きる事を大前提として帰る方法を探って行こうと考えた。
帰れないという可能性はひとまずおいておく。マイナスになるような思考は今現在必要無い。ただでさえいきなりの異世界で実は混乱気味の心を折る訳には行かない。多少無理をしてでも上げていかねば。私はお姉ちゃん!
「あ、お姉ちゃん。何か飛んでーー来るよ!」
少しあさってな事を考えていたら妹の慌てた声がして、その指さす方向を見上げると確かに空から鳥のようなシルエットがこちらに向かって来ているようだった。
「んんっ?何あれ?」
お城の右手ーー北東の山間からのぞく空の一点に浮かぶ鳥?は山と私達との距離を鑑みても違和感があった。
距離に比して明らかにサイズがおかしい。普通の鳥なら点にしか見えない筈の遠方に見えている姿は、しっかりと鳥のような形状が確認出来てしまうのですよ!?
「ねぇ、ものっそ速くない?近づいて来るの・・・・・・」
「アレってやっぱりファンタジーのお約束かなぁ。生物の頂点みたいな?」
「既にほぼ視認出来てる。まさしくソレ。紅い・・・・・・ドラ・・・ゴンさん。みたいよ」
まだ色々と覚悟が一部しか完了していないというのに、そのドラさんったら真っ直ぐ私達に向かって来ていた。あの距離で餌感知?ちょ、待っ、オイオイ妹逃がす隙も無しかい?
ってもうお城上空!リアル焦眉の急ってか。ウワデカイ。ナニコノカイジュウ。スケールオカシイ。オシロトタイシテカワラン。タスケテワレラノウル○ラマン。
「ほわぁ。赤いゴ○ラ翼付き?」
イモウトヨ。ヨユウダネ。イヤタシカニキョダイナツバサガツイテルケドモ。イヤタシカニミタメハゴジ○デスケドサ。
アア。ダメダ。シコウモカラダモシゴトシナイ。イモウトヲニガサナキャ。イモウト・・・イモ・・・・・・セー!
「セー!逃げっ、て?えええぇえぇ~っ!?」
ようやく現実復帰した私が妹を逃がそうと動いたけれど、その妹は怪獣の足下にじゃれついていた・・・・・・おぉい!
「うわぁい。ゴ○ラ(いやドラゴンです)さんだよ。お姉ちゃん見て見てぇ。大きいよぉ」
絶句という言葉の意味を今ほど理解出来た事はないと思う。妹はカッコいい・可愛いモノ(あくまで妹基準)に目がない。だがしかし、今の状況でしかも生きたドラゴンに躊躇なくダイレクトアタックしかける?生死に関わるでしょうが。
しかしながら妹の直感はほぼ99%あたるのだ。絵面は考え無しのお花畑少女にしか見えないけどね・・・・・・
だが、どういう訳かこのドラゴンに危険を感じなかったからじゃれに行ったのだろうと結論づけると、先ほどまで感じていた命の危機もスコンと抜けたが、それでも念の為妹にダッシュで駆け寄る。そのまま抱きかかえてお城に向かおうとした時、頭上から声が響いた。え?声!?
『待ってくれぃ、娘達』
絶句パート2!今この怪獣喋ったか?
「・・・・・・へぁ?」
「お姉ちゃぁん!喋ったよ。この○ジラ(ドラゴンですって)さん」
こらはしゃぐな妹よ。落としちゃうでしょうが。でもって私、へぁってなんだよ。
『イヤ逃げずとも良い。我れはそなたらを害する気は無い。というか我れは己が運命に遵い汝らにこの命を捧げよう』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
「ふおぉおお~、お姉ちゃん。ゴジ○(ドラゴンなのっ)さんが仲間にぃ!」
「うわわ、こらセーはしゃぐな。荒ぶるなぁ落とす。落とすから」
妹よテンション高いな。よほどこの怪獣が気に入ったのかい?今さっき出会って命の危機を感じていた私がアホのようだ。
「だってぇゴ○ラ(だからドラゴン)さんが。喋って、しかも仲間に!これは上がるよ色々と」
いつもの落ち着きどこ行った仕事しろ。てかゴジドラゴン、あんたも唐突すぎるわ。異世界来て10分で怪獣の仲間とかキャパ超えるっちゅーの!ししゃもじゃない、しかもその顔と巨体で近づく姿なんて絶対狩られると思うでしょ。
『ムム、すまぬの。我れからすれば当然の事なれど、主らには確かに理解不能であろう。怖がらせてしまい許せ主よ』
「ん?なんで考えてた事が分かるの?」
『オォそれはのぉ、主らが我れの元主の子孫だからじゃのぉ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
「お姉ちゃん、それって私達がココに来ちゃった訳に関係してるんじゃないかな?」
お、妹が帰って来た。でも私はまたもや混乱中。何?私らが子孫・・・つまりは私達のご先祖様って事で、その人はこの世界の住人っちゅー事ですか?
この10数分で襲って来た現状に先ほどの覚悟が押し流されそうになりますよ。10代の子供にどうしろと言うのだ運命の神様よ。
『主よ。詳しく教える前に、ひとまずはそこのシンラ城に入り城主との謁見を果たされるがよかろう』
ゴジドラゴンが促すのと同時、お城の巨大な門が音を立てた。
私・妹・ゴジドラゴンがシンクロしてそちらに顔を向けると、ゆっくりと城門が開き始めていた。展開の早さに着いていけなくなって来た感のある私を尻目に妹が嬌声を上げている。
「凄いよお姉ちゃん。どうやってあんな大きなのが動かせるのかな?」
またもやテンションを上げた妹は私の腕から降りて、すすっとゴジドラゴンの足に擦り付く。
それをもう止める気を無くした私はボソッとつぶやく。
「やっぱ、まほ・・・」
『ウム、主の察しの通りアレは魔法ーーというか、魔導具じゃの。オォ小さい主の思っておるマジックアイテムと言う奴であるな』
・・・・・・うん、思考が読めているのは便利だけども、便利だけどもね・・・セリフ言わせろ!
『ム、すまぬの。マトモに話す相手がココ数百年おらんでの、つい言の葉を交わすよりも先に伝心を使うてしまう』
「伝心って・・・あれ?まさかのテレパシーなの?私らの思考読むだけじゃなく、双方向可能?」
『ウム。主の思うておるテレパシー?か、そうゆう類のモノで間違うてはおらん。前の主とは大抵伝心でお互いに語っておったんでなぁ。まだ二人とは聖約を交わしておらんから、我れが主達の心を見るだけのーーム、そうじゃの小さい主、今のところは一方通行のテレパシーじゃな』
お、ニコニコしながら頷いてる。可愛いな妹よ。自分は喋らずコミュニケーションとは私よりずっと主人っぽいがな。
なんか妹はすっかりゴジドラゴンに慣れた感じで自分の思考は読ませて、ゴジドラゴンが喋るという傍目にはシュールな絵面になっている。いやはやファンタジー世界凄いな!
『フム、どうやら迎えの使者が来たようだの』
ゴジドラゴンとの会話の間に城門は開き、百を超える騎馬が蹄鉄を響かせ城門前の石畳を抜け草原を駆けてくる。
あれってゴジドラゴンの討伐隊とかじゃないよね?こんな巨大な怪獣がお城の前で娘二人といれば、普通は害意を疑うだろうし。
『フ、懸念は無用じゃ。アレは主達の迎えじゃと言うたろう、万一我れを討伐するにしてもたかだか百数十騎ではのぉ。我れを倒すとしてもシンラ城全ての兵でも足りぬとだけは知っておいてもらえば重畳だの』
私へのフォローを入れつつ、シレッと恐ろしい自身のスペックも明かすゴジドラゴンは近付いて来た騎士達に巨体を向けた。
と、今までゴジドラゴンの足下にいた妹が私の横に来る。さすがに大勢の騎馬隊には怯んだかと思えば、眩しいほどにキラキラした瞳で彼らを見ていた。本当に逞しいわ私の妹はさ。
さりとて先ほどの覚悟を思い返し、彼女を自分の後ろへ隠すようにしながら騎士達に対峙した。私達の前に並ぶ騎士達は馬上から敬礼であろう姿勢を一糸乱れずにとってから槍を掲げた。
「うわぁ本物の騎士だよ。儀式用装備っぽいけど、やっぱりカッコいいねぇ」
騎士の姿や装備に更にキラキラを増して見つめる妹だが、やはり先にドラゴンを見た為かテンション自体は落ち着いたらしい。うんうん、お姉ちゃんの心の平安の為にもなるべくそのままでね。
そうして数十秒、最前列の一番華美な装飾の馬に乗っていた騎士が華麗な所作で降り立った。
おぉナイスミドルなおじ様騎士!そのまま彼は優美に私達の前にかしずいて、更なる混乱を私に与える言葉を発した。
「お帰りなさいませ。両姫殿下」
おい!
物語の導入部って難しいですね。続きを読みたくなるような、そういう物語を目指したいと初心者の分際で思ってしまいますが、とりあえずは続けて行けるように致します。
コンセプトはファンタジーのごった煮。自分の好きな設定やシチュエーションを詰め込んで好き勝手したいのです。




